ホンダ・CR-Xとのカーライフが、第3シーズンに突入した!これからは、一緒にやり残したことを見つける旅へ



高校1年生の時に見たクルマ雑誌に、シャコタンで、カクカクした“何か”を装着したホンダCR-Xが、白黒写真で雑誌の隅の方に掲載されていたそうです。そのド派手な見た目に興味を持った「伊藤さん」は、写真を切り抜き、免許を取ったら愛車として迎え入れることを決めたとのこと。愛車に迎えてから37年経った今でも、このクルマは未だに伊藤さんの隣にいると話してくれました。

今回は、伊藤さん×CR-X の お話をお届けします。

―――37年ですか……。ということは、人生の半分以上を共に過ごしているということですね。

自分でもビックリしているんですけど、もうそんなに経つんですね〜。

“ヤングオート”という、シャコタンにしている人達が好きそうなクルマを掲載している雑誌があったんですけど、そこでCR-Xに一目惚れしたのが乗り始めるキッカケとなりました。免許が無いから雑誌の切り抜きを見て高校3年間を過ごして、18歳で免許を取った時「10年間乗るから!」と親に頼み込んでお金を貸してもらって新車で購入しました。

―――具体的に、どこがカッコいいと思ったのですか?

塊感が良かったんです。絵を描くのが好きなんですけど、ボディーラインをなぞっていくと、実にそれがよく分かりますよ。今でもササっと描いたりするくらい、ここは何年経っても大好きな箇所です。

ただ、このクルマってメジャーではあったんですけど、雑誌に頻繁に取り上げられなかったからなのか、7年目に突入した時に「いつまでも、そんなボッコ乗ってんじゃない!」なんて言われたこともありましたけどね(笑)。だけど、それでも乗り換えなかったのは、やっぱりこのデザインが好きだからです。

僕は、CR-Xとのカーライフは3シーズンに分けられると思っているんですけど、これが第1シーズンって感じかな。

―――では、気になる第2シーズンをお願いします♪

世間にホームページというやつが広まってきて、こんなカスタムしてるよ〜とか、みんなで集まりませんか?というオフ会の走りのようなものが始まったんです。そうすると、今までは1人で乗って楽しんでいただけだったのに、自分と同じようにCR-Xをかっこいいと思っている人がいるんだとか、他の人から影響を受けたり、共有する楽しさを知ることが出来ました。

あとは、第1シーズンでは故障なんてなかったのに、年数が経ってきたせいか不具合がどんどん出てきたのも特徴です。だけど、僕の周りのCR-Xオーナーさんって本当に良い方ばかりだから、「ヤフオクでこんなの出てるよ」「余ってるから、パーツをあげるよー」と言ってくれて、何とか乗り続けられたんですよね。

この頃はね、ちょうど人生の過渡期でジュエリー職人になるために、家から職場までの道のりを往復80km走っていたんです。休みは週に1回くらいで、12年半通い続けて走行距離が45万kmになりました。

―――じゃあ、この時期に走行距離がぐんと伸びたんですね。

そうです。だけどCR-Xってエンジンが強いから、特に何もしなくても余裕で走ってくれるんですけどね。2010年に開発者の方をお呼びしてミーティングをした際に、バブル前にかなりお金をかけてエンジンを開発したと仰っていましたから。

と、こんな感じでメカはサッパリ分かりませんが、見た目にはこだわっていて、黒だったボディーカラーを黒とグレーの2トーンにオールペンしたりしています。で、ここからが第3シーズンです。

―――第3シーズンの現在は、どんなカーライフを送っておられるのですか?

クルマとの付き合い方が、だいぶん変わってきましてね〜。オイル漏れがひどく、あっちこっち錆びてしまったから、まずは店の前に置くことをやめて、ガレージ保管することにしました。あと、今までは配達などの仕事道具として使っていたんですけど、週末やイベント時に乗るだけの趣味のクルマに変えたんです。

というのも、調子が悪くなった時にSNSを見ていると、たまたま「いつかお別れの時期がくる」といった内容を投稿している人を見つけたんです。ずっと遡って投稿を見ると、僕のCR-Xに当てはまる症状が何個かありましてね。

僕にもいつかその時が来るなら、どこかで区切りを付けて、CR-X以外のことに情熱を向けても良いのかな?とも思いましたが、仲間とCR-Xの話をすると、やり残したことがまだあると感じるし、自分のアイデンティティであり、友達とのコミュニュケーションツールだから、免許返納をする最後まで精一杯、一緒に生きていきたいという気持ちが大きいことに気付きました。

まだまだやりたいことの一つとして、純正の面影を残しつつ、ちょっと違うカスタムをやりたいと思っていて♪無限のホイールのフィンを、グラインダーで削ってみたり、後期バンパーを半分に切って、欲しいところだけを切り出して前期型のバンパーに貼り付けるなどといったことを、これからもしていこうと考えています。サイドステップが完成していないので、来年は絶対に完成させなくちゃだなっ!

そう話してくれた伊藤さんは、クルマ業界が少しでも盛り上がればという思いを込めてYouTubeを始めたそうだ。CR-Xはじめ、GRヤリスなどさまざまなミニカーを走らせる動画をアップしているのだとか。

初めての愛車として迎えて37年、ともに成長してきたCR-Xとのカーライフは、これからも新しいシーズンを重ね、より成熟したものになっていくことでしょう。

【YouTube】
ドクタースポルトチャンネル1

(文:矢田部明子)