510ブルーバードに憧れて。旧車の洗礼を受けても譲れないもの。



幼い頃からクルマが大好きだという「サカさん」は、念願だった“510ブルーバードに乗る”という夢が大人になって叶ったと嬉しそうに話してくれました。

乗りたいと思ったキッカケは、幼い頃におじさんが乗っていた、まさにクーペらしいクーペのブルーバードに一目惚れしてしまったからだそうです。ところが、いざ愛車にしてみると、旧車はそんなに甘くなかったとのことで……。

今回は サカ さん×ブルーバードのお話をお届けします。

―――単刀直入に聞きます。一体何があったのですか?

今乗っているのは1800SSSクーペなんですけど、その前は1600SSSクーペに乗っていたんです。これがなかなか手強くて、ある意味“旧車の洗礼”というやつを受けてしまいました。

―――私も今まさに“旧車の洗礼”を受けております……。サビってこんなに厄介だったんだなと、途方に暮れています……。

あはは(笑)。同じですね!とはいっても、僕って全部ピカピカにして乗ろうというタイプではなく、メッキの部分がくすんでいたり、少しくらいなら錆びているのもチャームポイントかな?なんて思える、結構適当な奴なんですよ。

だけど、1600SSSはそういう次元じゃなくて、パテで修復してあるからキャラクターラインが綺麗に出ていなかったり、チリが合っていなかったんです。これが許せなくてね〜。

なぜなら、憧れのクーペというクルマの形は、美しくなくてはいけなかったからです。

―――そこが、サカさんの譲れないところだったんですね。

そうそう!幼稚園の頃、おじさんが乗っていたブルーバードを見せてもらったのが出会いだったんですけど、やっぱりあの時の「うわぁ!なんて美しいクルマなんだ!」と一目惚れした見た目は絶対に再現したかったんですよ。

だけど、1600SSSを綺麗にするとなると、結構時間も手間もかかるから、それなら乗り換えてしまおうと思ったんです。初めての旧車だったから、自分のクルマになると想像するだけでワクワクしてしまって、細部まで見ていなかったというのが失敗でしたね。

―――まさに、現状の私ですよ……。でも、それもまた勉強ですよね♪だからこそ、次の1800SSSを購入する際はかなり慎重になったのでは?

そりゃあもう!インスタにあがっていた写真の雰囲気が、シャキッとしてて良かったから「これだ!」ってね♪

―――なんだか心配になってきました。

あはは(笑)!ブルーバードに詳しい友人も、同じように心配してくれてね〜。「週末なら空いてるから一緒に見に行くよ」と言ってくれたんですけど、何となくそれだと売れちゃうような気がしたんです。

それでショップに連絡を入れて、購入の意思を伝えました。流石にインスタにアップされた写真だけで決めるのは良くないと実車を見に行ったんですけど、立ち姿を見た時に これなら大丈夫だと確信しました。

サビが多少出てはいたけど、骨格が良くてシャンと立っていて、何となく良かったんです。

―――実際の細かい部分はどうだったのですか?

サビは板金でなんとかなる程度だったし、ボロボロだった内装の内張は綺麗に張り替えて理想的な車内になりました。ノーマルっぽい感じに仕上げたいから、生地は色々な種類の中から、黒でシンプルな雰囲気を崩さないものを選んだのがポイントとなっています。

今回の経験を経て分かったのは、何年経っても程度の良い個体はあるということです。僕のように綺麗に修理して良くなる個体もあれば、歴代オーナーさんが大切に乗ってきたから、逆にその必要のないくらい奇跡的コンディションの個体もある。

だけど、市場に出て来てくるクルマにそんな個体はなかなか無いわけで……。あとは、綺麗なことに重きを置く人、走りにフォーカスを当てる人など色々だろうから、旧車選びはそれこそ一期一会。

僕の場合は、だんだんと自分がどういうものを求めているのか分かるようになったという感じですね。これもまた、旧車の醍醐味だなと感じます。

―――そうやって手に入れたブルーバードと、現在はどういったカーライフを送っていらっしゃるのですか?

旧車イベントに足を運んだり、早朝4時くらいからドライブに出かけるなど、自分なりに楽しんでいます。運転しているときは リラックスできる時間で、贅沢に使わせてもらっています。まだまだ色々なことがあるでしょうけど、自分なりに楽しんでいきたいと思います。

ノーマルで乗りたいとのことですが、キャブレターやタコ足マフラー、タイヤホイールなどのカスタム用品を購入してしまったと話してくれたサカさん。

装着するかは分からないとのことでしたが、年明けには付いているのでは?と筆者は予想しています。これからも、ブルーバードで素敵な旧車ライフを楽しんでください♪

(文:矢田部明子)