ラリージャパンを「サービスパーク」で1日満喫するコツを女性コ・ドライバーが解説
待ちに待った世界ラリー選手権(WRC)の第13戦ラリージャパンが2022年11月10日~13日に開催されましたね。皆さんはどのようにラリージャパンを楽しみましたか。テレビ観戦もいいですが、せっかくなら現地でラリージャパンを味わいたいですよね。
現地観戦にはSS(スペシャルステージ)、リエゾン、サービスパークなどありますが、今回はどこよりも早く2023年のラリージャパンに向けて、サービスパークを楽しむためのコツを、全日本ラリー選手権やTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジにコ・ドライバーとして参戦している大倉瞳選手に教えてもらいながら取材してきました。
ラリージャパンは2020年に初開催の予定であったものの、コロナ禍の影響で2年連続の延期となり、ついに「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」として開催が実現しました。
12年ぶりの開催となったのは、愛知県と岐阜県の東側のエリアで、ラリージャパンの本拠地となるのは豊田スタジアムです。
実際に「SS(スペシャルステージ)」と呼ばれるラリーカーが競技を行う区間や、「リエゾン」というSSとSSの間の一般公道を使って移動する区間では走りや音を楽しむことができますが、
「ドライバーと触れ合いたい」
「マシンをじっくり見たい」
「もっとラリーの雰囲気を味わいたい」
などという方には、豊田スタジアムに行くのがオススメです。
豊田スタジアムでは、4日間の競技期間中にいろいろなことを観たり楽しんだりできます。
- スタート前のさまざまなセレモニー(初日)
- ドライバーのサイン会やトークショー(初日)
- ラリーならではの1台ずつスタートする「セレモニアルスタート」(初日)
- 「サービスパーク」でのマシンの整備や修理の見学
- 帰ってきたドライバーのサインタイム(※ありなしはその時の状況しだいですし、競争率かなり高いです)
- 出展ブースや飲食ブース、展示車両
- お土産や応援グッズの購入
- レースを終えたラリーカーが1台ずつゴールを迎える「セレモニアルフィニッシュ」(最終日)
- 表彰式(最終日)
取材したのは競技2日目となる金曜日。豊田スタジアムには平日にも関わらずオープンとなる9:00からたくさんの方が来場していました。
とはいえ、土日はもっとたくさんの方が来場していましたので、少しでもサインをゲットする確率を上げたいという方は、木曜か金曜の来場をオススメします!
入口でチケットを提示し、パンフレットとリストバンドを受け取りいざ会場内へ!
まずは、「こんなにしっかり観戦情報が載っていると、サービスパーク内での計画が立てられて嬉しいですね」というパンフレットで、会場をチェック。さらにそこで大倉さんが取り出したのは、「アイテナリー」と呼ばれる競技スケジュールやマシンがどこにいるのかという配置図などです。
「これはラリージャパンのウェブサイトで競技者向けの情報として公開されています。その中でアイテナリー(写真右)が読めると競技の進行が理解でき、観戦に役立ちます。
- 競技の開始時間
- SSの到着やスタート時間
- 給油場所
- サービスパークの到着や滞在時間
などが載っているので、観戦スケジュールを立てるときはチェックしてみてくださいね。
マニアックな方は、1日の総走行距離や、選手に与えられている各区間の所要時間のチェックをするのも面白いかもしれませんよ」
ラリージャパンのウェブサイトの右上の「競技者」⇒「公式掲示板」
誰でもアクセスでき、競技の進行がリアルタイムで確認できるため、来年観戦予定の方はチェックしてみてください。
(英語多めなのはWRCということで悪しからず)
サービスパークでドライバーのサインを狙え!
「サービスパーク」とは、マシンを整備(サービス)するエリアやチームの作戦本部などが置かれています。
参戦するマシンは、1日に1回~2回このサービスパークに戻り、マシンのメンテナンスや修復を行います。
各マシンにそれぞれ開始時間が定められていますが、今回のラリージャパンではそれよりも早い時間にサービスパークにマシンが戻ってきていました。
それは「リグループ」(トラブルで遅れた車が遅着したり、走行不可になったマシン分の間隔が空いたりするため、走行順(隊列)を組み直すための時間)が昼のサービスの前に設けられていたからです。
この時間調整で待機している時間もマシンやドライバー同士が情報交換しているところなどを観ることができます。
(海外のWRCなどではこの時にサインをもらえたりするところもありますが、今回のリグループのエリアではもらえませんでした……)
アイテナリーを活用することで、一般的に公開されているスケジュールでは分からない、
- リグループの時間がどれだけあるのか
- マシンごとにメンテナンスが何時から始まるのか
- 何時にマシンは出発するのか
などの詳しい時間を知ることで、サービスパークをより楽しむことに役立ちます。
そしてこの「サービスパーク」は重要なラリーの観戦ポイントです。それは
- ドライバーなどを間近に見たり、写真を撮ったり、幸運であればサインがもらえる
- メカニックたちのがマシンのメンテナンスや修復をしたり、その見事なチームワークが観られるといったことが、(基本的には)唯一できる場所だからなんです!
サービスパークに戻ってきて、マシンを所定のエリアに停めると、ドライバーはチームスタッフとの打ち合わせやメディア取材の後に、ファンのところに来てくれることが多いです。
その時にサインがもらえたり、一緒に写真を撮ったりすることチャンスがあります。
でもこのエリアはたっくさんのファンでごった返すため、もし最前列を確保したいのであれば、3時間くらい前(土日はもっとかも……?)から待機する必要がありそうです。
よりラリーの雰囲気を楽しむならラリー2や国内参戦チームのサービスパークへ
ここまでお届けしたサービスパークの様子は「ラリー1」という最高峰のクラスのものでしたが、同じく世界を転戦する「ラリー2」や「ナショナルクラス(国内のラリーチームでラリージャパンにエントリーしたチームなど)」は、また少し雰囲気が違います。
こちらは、ラリー1のような巨大なテントやサービスエリアの前に柵がなく、マシンのメンテナンスの様子を間近で観られます。
ラリー1のサービスでは、プロフェッショナルなメカニックたちが無駄のない動きで自分に与えられた仕事に対し最高の仕事をしている様子を堪能することができます。
いっぽう、ラリー2以下のチーム、特に日本のチームは人数も少ないため1人のメカニックが複数の業務を担当し、お互い声を掛け合いながら、決められた時間内にマシンをメンテナンスしていきます。
例えば、ラリー1はサービスの時間をカウントダウンするモニターがあり、個々のメカニックが特に会話を交わすでもなくテキパキとメンテナンスが進められます。
それに対し、日本のチームは「あと○○分だからね」「そっち大丈夫?」などといった声が聞かれ、チームとしての活気が感じられます。
このような雰囲気の違いを感じることも楽しみ方の一つかもしれないですね。
せっかくなので、大倉さんと一緒に選手にお話を聞いてみました。
まずは上の左の写真、すっかりコ・ドライバーとして貫禄も出てきた、元SKE48の梅本まどか選手(46号車 ウェルパインモータースポーツ)です。
大倉「国内のラリーと比べて、時間の使い方とか進行の仕方に差がある?」
梅本「差、あります!WRCは余裕がありますよ!」と驚きの言葉も。どうやら全日本ラリーよりも「レッキ(コースの下見走行)」が余裕のあるスケジュールだったり、「ペースノート(ドライバーが作るコースの指示書。SS中はこれをコ・ドライバーが読みます)」を作る上で、記入すべきポイントが見落としづらかったりするそう。
大倉さんはペースノートを作っているとだいたい深夜0時を回ってしまうことがあるそうですが、今回梅本さんは10時に寝られた日もあったそうです。
そして写真の右は43号車 チームブリッドの佐々木康行選手とコ・ドライバーの中嶌杏里選手です。
佐々木選手がWRCらしいなと感じたところは、SSにたくさんの観客がいるだけではなく、リエゾンにもいたるところに観ている方がいたとのこと。海外勢だけでなく国内チームにもたくさん手を振ってくれることがすごくうれしかったそうです。
競技面では、全日本ラリーと比べてコースが長くてクルマやブレーキが持たないので、走り切るためのマネジメントが必要だったとのこと。
コース脇の溝などを警戒して、海外勢もあまりインカットをしていなかったよ、と小話をしてくれました。
家族で楽しめる豊田スタジアム観戦
サービスパーク以外にも豊田スタジアムでは、さまざまなトークショーや出展ブース、飲食ブースにお土産を買えるグッズショップと、たくさん楽しめるものもあります。
また、豊田スタジアムという常設の大規模会場だからこそ、スタンドで座ってご飯を食べながら大画面でJ SPORTSさんのライブ中継を観ることができます。さらに、お手洗いもきれいでたくさんありますし、雨が降った場合でも雨宿りをする場所があるなど、ご家族やカップルで来場しても安心して楽しむことができるのが好印象でした!
もちろん、WRCマシンの全開走行を観たいという方も多いかもしれませんが、アクセスが良くて長くたくさんWRCの雰囲気が楽しめるサービスパークの観戦もとても魅力的なんです。
今回、木曜のセレモニーの様子から、サービスパーク、SS、リエゾン、それぞれの楽しみ方をシリーズでお届けしてきましたが、2023年のラリージャパンに向けて観戦プランの参考にしてもらえると嬉しいです!
(協力:大倉瞳さん 文、写真:GAZOO編集部 山崎)
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