今や貴重な5ナンバーミニバンを比較:シエンタ&フリード…サイズ、居住性、荷室
従って5ナンバーサイズのミニバンが欲しいユーザーにとって、トヨタの『シエンタ』とホンダの『フリード』は従来以上に大切な選択肢になった。そこで今回はサイズや質感、使い勝手など注目の両モデルを比較してみたい。
◆ボディサイズ、視界、運転のしやすさ
先代シエンタは、フリードに比べて視界が悪かった。それが現行型では、サイドウィンドウの下端を低く下げて視界を向上させている。
さらに最小回転半径は、シエンタが5mに収まる。5.2mのフリードよりも小回りの利きが良く、シエンタは運転しやすく感じる。
●ボディサイズ(全長×全幅×全高)
シエンタ 4260×1695×1695[1715]mm (※[ ]内はE-Four車)
フリード 4265×1695×1710[1735]mm (※[ ]内は4WD車)
フリード+ 4295[4265]×1695×1710[1735]mm (※[ ]内は4WD車)
◆居住性
居住性で大きく異なるのは2列目シートだ。シエンタの2列目は、ベンチタイプだけで乗車定員も7名のみだ。その点でフリードの2列目は、セパレートタイプのキャプテンシートが主力になる。キャプテンシートは両側にアームレストが装着され、ベンチシートよりも座り心地が快適だ。
しかもフリードの場合ほかのミニバンとは逆に、キャプテンシートの価格がベンチシートよりも安い。こういった点を考えると、フリードの2列目シートには、シエンタとは違う魅力がある。
3列目は一長一短だ。身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ1つ分に調節した場合、3列目に座る乗員の膝先空間はシエンタは握りコブシ半分程度だ。それがフリードは2つ分と広い。
その代わりフリードは、床と座面の間隔がシエンタに比べて40mm少ない。つまりフリードの3列目は、足元空間は広いが、座った時に腰が落ち込んで膝は持ち上がる。
◆荷室の使い勝手
荷室も一長一短だ。シエンタの3列目シートは、2列目の下側に格納されるから、広げた荷室に3列目が張り出さない。その代わり格納の操作が少々面倒だ。2列目を動かしてから、3列目を下側に格納して、2列目を元の状態に戻す手間を要する。
フリードは3列目を左右へ跳ね上げる一般的な方式だ。格納された3列目が荷室に張り出すが操作性は良い。
◆動力性能&エンジンフィーリング
ハイブリッド、ノーマルエンジンともに、実用回転域の駆動力はシエンタに余裕を感じる。ただし不意にアクセルペダルを踏み増した時などに、シエンタでは直列3気筒の少し粗いノイズが聞こえる。
フリードはノイズの音量自体は大きめだが、直列4気筒でもあるから音質の違和感は小さい。
◆走行安定性と乗り心地
ステアリング操作に対する反応の仕方は、シエンタが正確だ。しかも峠道などを走った時に、ボディが左右に振られにくい。乗り心地も含めて、シエンタには足まわり関連の設計の新しさを感じる。
◆安全装備&運転支援機能
シエンタでは自車が右左折する時でも、直進車両を検知して衝突被害軽減ブレーキを作動させる。横断歩道上の歩行者も検知する。フリードも「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を標準装着するが、シエンタほど先進的ではない。
◆買い得グレードとおすすめユーザー
コンパクトミニバンでは、価格の安いノーマルエンジンが買い得だ。ノーマルエンジンの燃費性能も相応に優れているから、ハイブリッドの燃料代を節約するメリットが相対的に乏しくなる。従ってシエンタの買い得グレードは、ノーマルエンジンの「G」(234万円/7人乗り)だ。
フリードもノーマルエンジンの「G」(227万5900円)を推奨したい。両グレードを比べると、価格はシエンタが高いが、フリードがオプションにしているサイド&カーテンエアバッグとLEDヘッドランプを標準装着する。さらにシエンタには、斜め後方の並走車両を検知するブラインドスポットモニターも標準装着されている。
従って機能と価格のバランスでは、シエンタが買い得だ。一方フリードは2列目にキャプテンシートを用意するなど、ミニバンらしさが濃厚に感じられる。それでもシエンタは安全装備を充実させて、価格は割安だから推奨度も強い。このカテゴリーは競争が激しいため、後から発売された車種が有利になる。
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