クルマで行く「孤独のグルメ」…安東弘樹連載コラム

私は様々なメディアで、テレビ東京系の深夜ドラマ「孤独のグルメ」が好きです!とシーズン3が始まった位から公言しています。

シーズン3は2013年に放送されましたから当然、TBSの社員時代からラジオ番組等でアピールを続けていた、という事になります(笑)。

そのお陰か?フリーランスになって暫く経った頃、何と、番組に出演させて頂く事になりました。感動したのは言うまでもありませんが、演技の経験も無い私が、アナウンサー役ならともかく、団地のリノベーション会社の社員役、という本当の演技をしなければならなかった為、それはそれは酷いシーンになってしまいました。

主演の松重豊さんには勿論、スタッフの皆さんに対して申し訳なく、自分が出演した回は確認の為に一度、観た切り、一度も観ていません。

これまでシーズン9まで放送されていますが、全てのシーズンの全ての回はDVDや録画等で、最低、10回は観ていますので、自分の責任で貴重な1話の放送を観られなくなってしまった事を後悔しつつ、やはり出演させて頂いた事には、ひたすら感謝しております。

前置きが長くなってしまいましたが、私はTBSの社員時代からリアルに「孤独」で“聖地巡礼“をしており、その全てを車で回っています。

番組には地方のお店も時々、出てくるのですが、私、遠い所だと新潟まで行って来ました。

それも主人公の井之頭五郎が訪れた、お店に行くだけの為に、です。

これは社員時代の事でした。

新潟に有るのは国道沿いの釜めしのお店で、優しそうな御主人と奥様、二人だけで営業されている小さなドライブインです。

しかし、一つの釜毎に炊き込む本格派。美味しくない訳がありません。

王道の具ですが、とにかく「お米」と出汁が絶品で、文字通りあっという間に平らげてしまいました。

しかも井の頭五郎と同じで私もお酒が呑めない代わりに、とにかく食事は大量に食べられますので、釜めしの他に定食も頂きました。定食のご飯も抜群に美味しく、米どころ新潟の底力を見せつけられたのです。

そして、番組で知らなければ、一生、この、お店と出会えなかったと思うと、あらためて番組に感謝して帰路についたのでした。

その時の交通手段は言うまでもなく、自分で運転する自分のクルマです。

新潟の時はMTのスポーツカーでした。

帰りは、あまりの満足感で高揚していたのか、350キロちょっと、そのお店から千葉の自宅までトイレにも寄らず、文字通り、ノンストップで帰宅してしまいました。

とても良い思い出です。

それから最近では、このコラムでも紹介したジムニーで郡山のドライブインに行って来ました。

かっつり系の肉料理中心の定食屋さんで、私が注文したのは炒めた豚肉をポン酢に付けて頂く「オイル焼き定食」これも豚肉の油分をポン酢が良い具合に中和してくれて、まさに永遠に食べられる一品でした。

同じくジムニーでは、高崎にある「お結び」の専門店へも。ここは居酒屋なのですが、数十種類の「お結び」を、お寿司の様に御主人に注文していきます。私はお酒を飲まない代わりに18個の「お結び」を頂きました。一つは、そんなに大きくないのですが、とにかく具が全て美味しく、気付くと18個も食べてしまっていたのです。御主人に「いや、凄いねー!」と、褒められたのが嬉しかったです。「川のり」「すじこ」「雲丹」が美味しかった~。

しかし、ジムニーで、藤岡の一人焼肉が出来てホルモンが美味しいお店に赴いた時は、何と定休日ではなかったのですが「臨時休業」でショックを受けました。

あ、そういえば、家族用のSUVでは、タンメンと餃子が美味しい、高齢ですが、はつらつとした御夫婦と弟子?の若者、3人で切り盛りしている下仁田にある中華料理のお店に、お邪魔しました。

この時は仕事のロケが群馬県であり、思い立って訪れてみたら、奇跡的に営業をされていて、しかも一人だけ、入店出来たのです。

あ、そうそう!このSUVの慣らし運転は、番組で紹介された仙台の「牛タン」屋さんへの旅で終わらせました。仕事終わりの納車の日に、そのまま仙台まで走り、翌日のお昼ご飯を、そのお店で食べて、少し寄り道をして、東京の、そのクルマの販売店に1000キロ走行した状態で入庫しました。

担当のスタッフには「私、この仕事を25年ほどやっていますが、納車の翌日に1000キロ点検に持ってこられたお客様は初めてです」と言われたのも良い思い出です(笑)。

ちなみに、その牛タン屋さんも午前11時頃に訪れてみたら、まさかの行列が出来かかっていてあらためて番組の影響力の大きさに驚きました。 

基本的に、「孤独のグルメ」で紹介されると、お客さんが殺到するのが恒例で、しかも他の番組と違うのが、その状態が“何年も続く”という事です。

これは残念な事でもあるのですが、お客さんが増えすぎて廃業せざるを得なかったお店や、廃業まで行かなくても暫く、休業を余儀なくされたお店も少なくありません。

あるお店の御主人は、番組のスタッフに「番組が放送された後は暫く、大変かもしれませんが、ご了承頂けますか?」と言われ、内心「テレ東の深夜ドラマなのに、偉そうに」と思い、「大丈夫大丈夫!」と笑いながら応え番組に出演したら、本当に御近所がパニックになるほどお客さんが押し寄せ、警察が出動するまでになってしまい、半年程、休業する事になった、とお店が再開した後に訪れた時に笑いながら話して下さいました(笑)。

「イヤー、テレ東の深夜、というか、この番組を舐めてたらエライ目にあったわ」という言葉が番組ファンとしては嬉しかったのを覚えています。

あ、こんな事も。鳥取県に、ある番組で取材に行った時は、コロナウィルスへの蔓延防止等重点措置が解除された直後だったので、これはチャンスと思い鳥取砂丘の近くの、ホルモン焼肉のお店に食べに行こうと予約の電話をした所、「鳥取県民以外のお客さんは、まだ、お断りしているんです…」と申し訳なさそうに言われてしまって断念した事も有りました。

その時も鳥取県まで自分のクルマで行ったからこそ、そのお店に寄る事が可能であったのを覚えています。実際は伺えませんでしたが(涙)、でも、お店の感染防止策には賛同できましたので、「いつか!」と、いまだに想っています。

そうなんです。クルマの良い所は時間も気にせず、しかも少し距離があっても、何処にでもアクセスできるという事です。しかも「孤独のグルメ」に出てくるお店は個人経営のお店が殆どで、ネットの情報も、あてにならない事が多く、営業時間も大きく変わっていたり、予定通りにならない場合も多いのですが、そんな時も車内で時間を潰す事も出来ますし、他のお店を調べて、すぐに移動する事も出来ますので、孤独のグルメツアーには、最適な移動手段だと、日々、実感しています。

しかも私はお酒を吞まないので、美味しいお酒がお店に有っても悩む必要もありません。

クルマ、またクルマの運転と「孤独のグルメ」が好きで良かった!と、しみじみ思っています。

唯、一つだけ注意して頂きたいのは、都市部でなくても、お店の近くに駐車場が無い場合、間違っても路上駐車等、違法駐車だけはしない様にしましょう!

私も、絶対に、お店や近隣の方々に迷惑だけは掛けない様に気を付けています。

ではマナーを守って、あなたも素敵な「孤独のグルメツアー?」へ行ってらっしゃい!

安東弘樹

MORIZO on the Road