【連載全11話】第4話 マセラティ・ミストラル スパイダー/AC428コンバーチブル・・・やっぱり似てる? デザイナーが同じクルマ特集

「よく似たヒトは世界に3人いる」などといいますが、クルマにも驚きの“そっくりさん”が存在します。デザイナーが同じと聞けば、それも納得。そんな名車を週替わりで紹介します。

マセラティ・ミストラル スパイダー/AC428コンバーチブル

1963年のトリノショーでデビューしたミストラル。実はミストラルとは後に加えられた英語名で、当初、本国では単にイタリア語で2座を意味するドゥエポスティ(2 posti)と呼ばれていた。成り立ちとしてはマセラティ初の量産ロードカーだった3500GTのそれを短縮したシャシーに、カロッツェリア・フルアの手になるテールゲート付きのファストバッククーペボディーを架装。4カ月ほど遅れてルーフを取り去ったスパイダーが追加された。

パワーユニットはF1やレーシングスポーツ用ユニットの血統を受け継いだダブルイグニッション(ツインプラグ)、インジェクション仕様で最高出力252PSを発生する3.5リッター直6 DOHC。5段MTを介しての最高速度は255km/hと公表された。1965年には排気量を3.7リッターに拡大、翌1966年には4リッターも選択可能となった。1969年に生産終了となるまでに828台のクーペと120台のスパイダーがつくられた。

映画『フォードvsフェラーリ』でも描かれた、レーシングドライバーからコンストラクターに転身したキャロル・シェルビーの発案から生まれたACコブラ。英国ACカーズ製の車体に米国フォード製のV8ユニットを積んだ伝説的なスポーツカーである。そのホットモデルであるACコブラ427のシャシーを延長してフルアの手になるモダンな2座コンバーチブルボディーを載せ、スパルタンなコブラに対して豪華な内装を与えた高級スポーツカーが、1965年のロンドンショーでデビューしたAC428コンバーチブルである。

パワーユニットはコブラと同じくフォード製の、車名のとおり428立方インチ(7リッター)のV8 OHVで、最高出力は345PS。変速機は4段MTまたは3段AT。MT仕様で最高速度245km/h以上、0-100km/h加速5秒台というコブラ譲りのパフォーマンスを発揮した。1967年にはファストバックと称するクーペが加えられ1973年までつくられたが、イギリスからイタリアにシャシーを送り、ボディーを架装した後にイギリスに送り返して組み上げるという手間のかかる製造方法もあって、価格はジャガーEタイプの2倍以上、アストンマーティンDB6よりも高くなってしまった。おかげで生産台数はコンバーチブル29台、ファストバック51台に留まり、前者は姿のよく似たマセラティ・ミストラル スパイダーの4分の1にも満たなかった。

[GAZOO編集部]

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