【連載全18話】第10話 マセラティ・ミストラル & 日産ミストラル…なぜか車名がかぶってる!“同名異車”のクルマ特集

世界でこれまで販売されてきたクルマを見ると、同じ名前のモデルがちらほら……。今回の特集では、そんな「メーカー・ブランドは違えど名前が同じクルマ」をピックアップ。週替わりで紹介します。

マセラティ・ミストラル & 日産ミストラル

ミストラル(mistral)とは、アルプス山脈からフランス南東部の地中海沿岸に吹き下ろす冷たく乾いた北西風。この連載の第6回でマセラティ・ボーラを紹介したが、同社で初めて風にちなんだ車名を冠したモデルがミストラルだった。テールゲート付きの2座ファストバッククーペが1963年のトリノショーでデビュー、数カ月遅れてスパイダーも登場した。いずれもスタイリングを手がけたのは、トリノのカロッツェリア・フルアである。

当初のエンジンは先代にあたるマセラティ3500GTIと同じ、ルーカス製の機械式インジェクションを備えた3.5リッター直6 DOHCだったが、1965年には3.7リッターに増強され、さらに1966年には4リッターも用意された。トランスミッションはZF製5段MTが標準、ボルグワーナー製3段ATがオプションで、4リッター版MT仕様の公称最高速度は255km/h。1970年までにクーペ828台、スパイダー120台がつくられた。

マセラティ版の登場から30年後にデビューした日産のミストラルは、欧州で開発され、スペインの日産モトール・イベリカ社で生産されたSUV。欧州市場はテラノIIの名で販売されていたが、日本向けに手直しされたモデルがミストラルと命名され1994年から輸入販売された。

初代テラノをベースとしたラダーフレームのシャシーに、イタリアのI.DE.Aがデザインした4ドア+テールゲートの7座ワゴンボディーを架装。パワートレインは2.7リッター直4 OHVディーゼルターボと4段ATを組み合わせ、駆動方式はパートタイム4WDだった。1996年にシャシーを短縮した5座の2ドアショートボディーを追加し、従来の仕様は4ドアロングと呼ばれるようになった。1997年にマイナーチェンジを施した後、1998年に国内向けの生産を終了。1代限りでミストラルの名は消えた。

[ガズー編集部]

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