【連載全18話】第16話 AMCアンバサダー & ヒンドゥスタン・アンバサダー & オースチン・アンバサダー…なぜか車名がかぶってる!“同名異車”のクルマ特集
世界でこれまで販売されてきたクルマを見ると、同じ名前のモデルがちらほら……。今回の特集では、そんな「メーカー・ブランドは違えど名前が同じクルマ」をピックアップ。週替わりで紹介します。
AMCアンバサダー & ヒンドゥスタン・アンバサダー & オースチン・アンバサダー
「大使、代表、使節」を意味する英語であるアンバサダー(ambassador)。これを最初に車名に冠したメーカーはアメリカのナッシュで、1927年のことだった。戦後の1954年にナッシュはハドソンと合併してAMC(アメリカンモーターズコーポレーション)を結成、その4年後の1958年からアンバサダーはナッシュに代わってランブラーブランドのものとなる。さらに1970年にはブランドをAMCに変更し、AMCアンバサダーとなった。
アンバサダーは、3つのブランドの下で11世代にわたってつくり続けられたのだが、写真はその最終年度となる1974年型ワゴン。AMCのフラッグシップたるフルサイズモデルで、この5ドアワゴンまたは4ドアセダンのボディーに5リッター/5.9リッター/6.6リッターのV8エンジンを積む。
2ドアクーペが存在しないのが当時のアメリカ車にしては珍しいが、販売不振のためカタログから落とされたためである。そして、セダン/ワゴンもこの年限りで生産終了。都合半世紀近く続いたアンバサダーの名とともに、AMCのラインナップからフルサイズモデルは消滅したのだった。
基本的に一世代ながら、AMC版よりさらに長寿を保ったのがヒンドゥスタン・アンバサダー。英国のBMC(ブリティッシュモーターコーポレーション)が1956年にリリースしたモーリス・オックスフォードSr.3を生産設備ごと購入したインドのヒンドゥスタン・モーターズが、1958年に生産開始した。
モノコックの4ドアセダンボディーにサイドバルブの1.5リッター直4エンジンを積んだ、英国流に言えば“bread and butter car”なるオーソドックスなサルーンだが、シンプルな構造でメンテナンスや修理も容易だったことがインドの国情にマッチして普及。改良を加えながら2014年まで、実に56年にわたってつくり続けられた。最終型には1.8リッター直4 SOHCや2リッター直4ディーゼルなどのいすゞ製エンジンが積まれていた。
このヒンドゥスタン・アンバサダーのベースとなったモーリス・オックスフォードSr.3をつくったBMCが、1975年に発売したのがプリンセス1800/2200。同社最大の成功作であるオリジナル・ミニに始まるエンジン横置きのFFを採用したアッパーミドルサルーンだった。そのボディーを“テールゲート付き”に改め、1.8リッター/2リッターの直4 SOHCエンジンを積んだ5ドアハッチバックサルーンが、1982年に登場したオースチン・アンバサダーである。だが悪化の一途をたどっていた製造元であるBMC改めBL(ブリティッシュレイランド)の経営状態もあって、わずか2年後の1984年には生産終了となった。
[ガズー編集部]
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