【連載全11話】第3話 トヨタ・クラウン・・・“長寿の車名”を持つクルマ

長年親しまれてきた車名は、そのクルマが多くの人に愛されてきた証しでもあります。今回は、途中でブランクを挟んだものも含め、車名が何代にもわたって使われている11車種をピックアップし、週替わりで紹介します。

トヨタ・クラウン

1955年に誕生してから70年近く、国産乗用車で最も古い歴史を持つモデルであるクラウン。初代トヨペット・クラウン(RS)は他社が乗用車生産に関する戦中・戦後の技術的空白を取り戻すべく外国メーカーと技術提携を結ぶなか、独立独歩を選んだトヨタがつくり上げた本格的な純国産乗用車だった。国産量産車初の前輪独立懸架を備えたラダーフレームシャシーに、特徴的な観音開きドアを持つ4ドアセダンボディーを架装。1.5リッター直列4気筒OHVエンジン、油圧式クラッチ、2速以上がシンクロメッシュの3段MTなど、当時の日本車としては進歩的な機構を備えていた。

スタイリングをはじめアメリカ車の影響を受けつつも、サイズその他を日本の国情に合わせて最適化した初代クラウンは成功作となり、日本人の自動車観を決定づけた。その後も進化を続け、日本を代表する高級車として自他共に認める存在となった。1980年代に生まれた、豊かな生活を象徴するステータスシンボルであり、オーナーカーの頂点に君臨することを端的に表現した「いつかはクラウン」という広告コピーが、その事実を物語っている。

2022年に発表された16代目となる現行モデルはドラスティックな変革を遂げた。従来のセダンのほか、セダンとSUVを融合したクロスオーバー、SUVタイプのハッチバックであるスポーツ、そしてワゴンとSUVを融合したエステートを加えた全4タイプとなった。純ガソリンエンジン搭載車を廃止し、セダンを除くモデルの駆動方式を初代以来のFRからFFベースの4WDに転換するなど、基本構造も一新。そして中国など一部地域を除き原則として国内専用モデルだった先代までとは異なり、グローバル展開されるなど、車名こそ変わらないが形態はほぼ生まれ変わった。これまでの歴史を受け継ぎつつも、新たな足跡を残していくことだろう。

[GAZOO編集部]

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