フィアットX1/9…記憶に残るミドシップ車

優れたコーナリング性能を実現するために、質量の大きなエンジンを車体の中央にレイアウトした“ミドシップ車”。今回は、その中でもちょっとマニアックな個性派モデルを紹介します。

フィアットX1/9

1972年に発売されたフィアット初のミドシップスポーツ。大衆車であるフィアット128の横置きFFのパワートレインを、そっくり運転席の背後に移設してミドシップスポーツに仕立てた手法は、これ以降多くのフォロワーを生んだ。

リトラクタブルライトと着脱式トップを備えた、シャープなウエッジシェイプのボディー。スタイリングと全体的なパッケージングは、ベルトーネのチーフデザイナーだったマルチェロ・ガンディーニが担当。シャシー設計には、ランボルギーニ・ミウラやデ・トマゾ・パンテーラなども手がけたレーシングカーデザイナーのジャンパオロ・ダラーラがコンサルタントとして参画。小粒ながら、その成り立ちはイタリアンスーパーカーの血筋を受け継いでいた。

当初のエンジンはシングルキャブ仕様の1.3リッター直4 SOHC。非力さは否めなかったが、ミドシップならではの軽快な操縦性が魅力で、新世代のライトウェイトスポーツと評された。1978年にはエンジンを1.5リッターに換装、1982年にはブランドがフィアットからベルトーネに変更され、1989年までにおよそ18万台が造られるロングセラーとなった。

[ガズー編集部]