マクラーレンF1…記憶に残るミドシップ車

優れたコーナリング性能を実現するために、質量の大きなエンジンを車体の中央にレイアウトした“ミドシップ車”。今回は、その中でもちょっとマニアックな個性派モデルを紹介します。

マクラーレンF1

ブラバムとマクラーレンで数々の傑作F1マシンを設計し、鬼才と呼ばれたデザイナーのゴードン・マレーが、「20世紀の高性能スポーツカーの頂点」をテーマに掲げて開発したミドシップスーパースポーツ。1993年に市販化された。

市販車としては世界初となる、F1マシン譲りの軽量かつ強固なフルカーボンコンポジットのモノコックボディーに、理想的な重量配分を得るべく特異なセンターステアリングレイアウトを採用。鋭いレスポンスを求めて選ばれた、自然吸気のBMWモータースポーツGmbh社製6.1リッターV12 DOHC 48バルブエンジンは、最高出力550ps以上を発生した。乾燥重量1018kgの車重に対してパワーウェイトレシオは約1.85kg/psという驚異的な値となり、6段MTを介しての最高速度はリミッター解除時で390km/h以上。文字通りケタ外れのパフォーマンスを発揮したのだった。

その非凡な成り立ちゆえに価格は日本円で約1億円と高価で、生産台数は106台にとどまったが、一切の妥協を排して理想を追求した設計は、今なお高く評価されている。またレース仕様のF1-GTRがFIA GT選手権などに参戦し、1995年のルマン24時間で総合優勝。1996年には全日本GT選手権でドライバーとチームのダブルタイトルに輝いている。

[ガズー編集部]