BMW M1…記憶に残るミドシップ車

優れたコーナリング性能を実現するために、質量の大きなエンジンを車体の中央にレイアウトした“ミドシップ車”。今回は、その中でもちょっとマニアックな個性派モデルを紹介します。

BMW M1

1978年にデビューしたBMW初のミドシップスポーツであり、同社の高性能モデルの呼称である“M”を冠した第1弾。ホモロゲーション取得のためにロードカーとして市販されたが、本来はMotorsportに由来する“M”の名のとおり、シルエットフォーミュラと呼ばれたグループ4/グループ5レースの覇者だったポルシェ934/935に対抗するレーシングカーとして企画された。

自社にミドシップ車の経験がなかったために、ランボルギーニとの共同開発を選択。シャシー設計はジャンパオロ・ダラーラ、FRPボディーのスタイリングはジウジアーロ率いるイタルデザインが担当。ミドマウントされた3.5リッター直6 DOHC 24バルブエンジンは、ロードバージョンで最高出力277psを発生した。ランボルギーニが生産する計画だったが、同社の経営不振から遅々として進まず、ついにBMWはランボルギーニとの契約を解消。イタルデザインの下請け会社とドイツのバウアー社で作業を分担して造られた。

BMWらしい高性能と高品質、そして快適性を持ち合わせた稀有(けう)なスーパースポーツと評されたが、生産の遅れにより肝心のレース計画は停滞。ようやくホモロゲーションを取得したときにはレギュレーションの改定などにより戦闘力が低下してしまい、スポーツカーレース制覇というBMWの野望はついえた。そうした経緯から、「悲運のスーパーカー」とも呼ばれる。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road