トヨタ2000GT…リトラクタブルヘッドランプのクルマ特集

パタパタとまばたきするようなアクションが印象的だった、リトラクタブルヘッドランプのクルマたち。その中から、記憶に残る国産車を紹介します。

トヨタ2000GT

トヨタがヤマハ発動機と共同開発した、日本初の本格的なグランツーリズモ。1965年の第12回東京モーターショーでプロトタイプがデビュー、速度記録挑戦や第3回日本グランプリ参戦などの実戦テストを経ながら開発が進められ、1967年に市販開始となった。

テールゲート付きの流麗なクーペボディーの中には、Xボーンフレームに4輪ダブルウイッシュボーンサスペンション、2リッター直列6気筒DOHCエンジン、4輪ディスクブレーキ、マグネシウムホイール、ラジアルタイヤなど、日本初採用となるメカニズムや装備が満載。リトラクタブルヘッドライトもそのうちのひとつだった。

開発当初は、低いノーズの先端に位置する、ライトカバーに覆われた部分をヘッドライトとする予定だった。しかし、それでは「ヘッドライトの位置は地上24インチ(約61cm)以上」という米国カリフォルニア州の法規(当時)に適合しなかったため、リトラクタブル式を採用。先端にはフォグランプが取り付けられた。

発売当時の238万円という価格は当時のクラウン2台分以上だったが、開発および生産コストとの対比でいえば完全に赤字で、生産台数も337台にとどまった。だが2000GTは、1960年代における日本の自動車技術の、ひとつの頂点を示す象徴的存在だった。そして映画『007は二度死ぬ』にも登場するなど、トヨタのみならず日本の自動車工業全体の知名度向上およびイメージアップにも少なからず貢献した。

[ガズー編集部]