【連載全12話】第8話 トヨタ・セラ・・・個性的なドアのクルマ特集

「前開き」に「跳ね上げ式」、なかには「上下スライド式」なんてクルマも……。今回は、ドアの開閉方式が個性のひとつとなっている世界の名車を週替わりで紹介します。

日本中が好景気に沸いたバブル期には、経済状況や環境問題の厳しい現代では考えられないような、遊びごころのあるクルマが存在していた。そんなモデルの一台が、トヨタセラ。1987年の東京モーターショーにデザインスタディーとして出展されたAXV-IIが、1989年のショーに細部を改めセラの名で再出品され、1990年に市販化された。

その特徴は「全天候型オープン」というキャッチフレーズを可能にした、グラッシーキャビンと称する巨大なガラス製キャノピーと、それを切り取るように跳ね上がるドア。当時はガルウイングと呼ばれていたが、開閉方向が垂直ではなく斜め上方に広がるように開くこの形式は、今日ではバタフライドアと呼ばれることが多い。ちなみに1992年に登場したF1以降、この形式のドアを採用しているマクラーレンではディヘドラルドアと呼んでいる。

セラのベースとなったのは、当時トヨタのボトムラインを支えていた4代目スターレット。ガラス製ルーフによる重量増に対応して、エンジンはスターレット用1.3リッターに代えてカローラなどに使われていた1.5リッター直4 DOHCユニットを搭載。温室のようなキャビンの温度上昇対策としてエアコンも上級車用を積んでいた。

ショーカーそのままといっていいガラス製キャノピーを量産化してしまった生産技術の高さとともに、世のクルマ好きを驚かせたのが160万円からという車両価格。ボディーはもちろん内装までほとんどすべてを専用設計したにもかかわらず、ベースとなったスターレットの最上級グレードと30万円も違わなかったのだ。相当なコストがかかるに違いないファンカーをこれほどの低価格で出せたのは、あの時代だけに許されたことなのかもしれない。

[GAZOO編集部]

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