【連載全9話】第3話 三菱デボネアV・・・スーパーチャージャー付きの日本車特集

“過給エンジン”といえば、今の主流はターボエンジン。そして、クルマの内燃機関からさらなるパワーを引き出すアイテムとしてもうひとつ挙げられるのが、スーパーチャージャーです。今回は、その搭載車として知られる日本車を紹介します。

三菱デボネアV

1964年から22年間にわたって基本的に同じ姿のままつくり続けられ、“シーラカンス”という異名を頂戴した三菱のフラッグシップであるデボネア。1986年に初のフルモデルチェンジを迎えた2代目はデボネアVに改名したが、車名のVはV型エンジン搭載やVIPのVなどを意味するといわれた。

初代はこのクラスでは常識だったオーソドックスなFRだったが、新型は前年に登場したホンダ・レジェンドに続いてこのクラスでは珍しかったエンジン横置きの前輪駆動に転換。先代の面影をまったく残さない4ドアセダンボディーに積まれるパワーユニットはV6 SOHCの2リッターと3リッターだったが、デビュー翌年の1987年に2リッターのスーパーチャージャー仕様が追加された。この連載の初回で紹介したクラウンと同様に、当時は3ナンバー車の税金が高額だったため、5ナンバー枠の2リッターエンジンで車重約1.4tのボディーに対し十分なパワーを得るためである。

水冷式インタークーラーを備え、電磁クラッチ作動のルーツ式スーパーチャージャーで過給されるV6ユニットは、自然吸気版の最高出力105PS/5000rpm、最大トルク16.1kgf・m/4000rpmを大幅に上回る150PS/5000rpmと22.5kgf・m/3000rpmを発生。それらの数値は自然吸気版の3リッターに匹敵したが、自動車専門誌による計測では加速性能は3リッター車を上回り、それでいて燃費は良好だった。しかし1989年の税制改定により5ナンバー車のメリットが薄れたため、同年に実施されたマイナーチェンジで登場した3リッターV6 DOHC 24バルブユニット搭載車と入れ替わりでフェードアウトした。

[GAZOO編集部]

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