【連載全15話】第4話 NSU Ro80…「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」受賞車特集
2021年3月、新型トヨタ・ヤリスが「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。これに関連して、欧州で最も権威ある自動車賞のひとつとされている同賞の歴代受賞車の中から、特に話題性の高い15車種をピックアップし紹介します。
NSU Ro80
1968年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた、ロータリーエンジンの本家本元であるNSUによる革新的なアッパーミドルサルーン。史上唯一のロータリーエンジン搭載の受賞車となる。
NSUの血が受け継がれたアウディをはじめとする1980年代のドイツ製サルーンに影響を与えた、空力性能に優れた前衛的デザインのボディー。そのノーズに積まれる497.5cc×2のロータリーエンジンは最高出力115PSを発生。クラッチレスの3段セミATを介して前輪を駆動、全長×全幅×全高=4780×1760×1410mmというサイズのボディーを最高速度180km/hまで引っ張るとうたわれた。2860mmというロングホイールベース、コンパクトなロータリーエンジンとFFの組み合わせにより室内は広く、高性能かつ快適な新時代のサルーンとして受賞は当然と思われた。
ところが、いざ市場に出ると自慢のロータリーエンジンにトラブルが続出した。クレーム対応に追われたNSUは改良を続け、一時は信頼性を回復するかに思われたが、1973年に起きた石油危機により、ロータリーは燃料消費が多いことから再び販売は低迷。そのまま浮上することなく、デビューから10年後の1977年に生産終了。生産台数は3万7000台余にとどまる。
[ガズー編集部]
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