【連載全15話】第5話 メルセデス・ベンツ450SE/450SEL…「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」受賞車特集

2021年3月、新型トヨタ・ヤリスが「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。これに関連して、欧州で最も権威ある自動車賞のひとつとされている同賞の歴代受賞車の中から、特に話題性の高い15車種をピックアップし紹介します。

メルセデス・ベンツ450SE/450SEL

1972年に登場した、コードナンバーW116こと初代Sクラス。メルセデス自身がSクラスと名乗った最初のモデルで、デビュー当初は2.8リッター直6搭載の280S/SEと3.5リッターV8を積んだ350SEのみ。翌1973年に追加された4.5リッターV8搭載の450SEとそのロングホイールベース版の450SELが、1974年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。欧州カー・オブ・ザ・イヤーでは小型実用車が重視される傾向があり、意外にも思えるが、メルセデスの受賞はこれまでのところ、この一度きりである。

ヘッドライトが前の代までの縦長から横長に変わり、いっそう低く、幅広くなった伝統のグリルを持つボディーは、ESV(安全実験車)の思想を採り入れた、前後がクラッシャブル構造の強固なモノコック。シャシーはリアサスペンションがセミトレーリングアームの独立となり、1930年代以来のメルセデスの特徴のひとつだったスイングアクスルはついに消滅した。エンジンは前述のように4.5リッターのSOHC V8で、インジェクション仕様で最高出力225PSを発生。3段ATを介してのパフォーマンスは最高速度210km/h、0-100km加速9.3秒と公表された。

同車は動力性能に操縦性、安全性、フィニッシュなどすべての点において最高水準にまとめられたモデルということで、高級サルーンの新たなスタンダードとなった。実用可能なクラシック・メルセデスとして、今も高い人気を誇る。

[ガズー編集部]

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