【連載全17話】第3話 タトラ77・・・パワフル&ゴージャス! V8エンジン搭載車

排気量のダウンサイジングが進むなか、徐々に数が減りつつあるV8エンジン搭載車。今回は、かつて輝きを放った国内外のV8モデルをピックアップし、週替わりで紹介します。

タトラ77

19世紀末から自動車製造を開始したチェコのタトラ。1920年代には小型車から大型高級車、大型トラックまで、名設計家であるハンス・レドヴィンカの手になるユニークなモデルをそろえていた。そのタトラが1934年に発表した77は、当時世界で最も進歩的な設計の大型高級サルーンだった。

全長5.2mに達する4ドアセダンボディーは、量産車としては世界初となる本格的な流線形を導入。箱型断面のバックボーンフレームに四輪独立懸架を採用したシャシーの後端に、Vバンク間の高い位置に配置された1本のカムシャフトから長いロッカーアームを介してバルブを駆動するという、一般的なSOHCともOHVとも異なる設計で、しかも空冷で潤滑方式はドライサンプという、3リッターの90度V型8気筒エンジンを搭載。最高出力は60PSにすぎなかったが、空気抵抗の少ないボディー形状によって車重約1.7tの車体を145km/hまで引っ張るとうたっていた。しかし、やはりアンダーパワーという声はあったようで、翌1935年に登場した改良型の77Aでは、V8エンジンは排気量3.4リッター、最高出力70PSに増強された。

それ以降、第2次世界大戦後の共産化、そして東西冷戦の終結とチェコを取り巻く状況は激変したものの、タトラのフラッグシップは空冷V8リアエンジンというコンセプトを一貫して維持した。変えようにも変えられなかったというのが実情だが、1999年に生産終了したタトラ最後の乗用車となった700の空冷V8エンジンは、200PSを発生する3.5リッターDOHCユニットとなっていた。

[GAZOO編集部]

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