【連載全17話】第9話 メルセデス・ベンツ600・・・パワフル&ゴージャス! V8エンジン搭載車

排気量のダウンサイジングが進むなか、徐々に数が減りつつあるV8エンジン搭載車。今回は、かつて輝きを放った国内外のV8モデルをピックアップし、週替わりで紹介します。

メルセデス・ベンツ600

戦前は直列8気筒7.7リッターエンジン(スーパーチャージャー付きもあり)を搭載した超高級車である、“グローサー・メルセデス”こと770Kを頂点に据えていたメルセデス。戦後はドイツで3リッター以上の税金が高額だったこともあって長らく直列6気筒3リッターエンジン搭載の300がフラッグシップだったが、それに代わるモデルとして、満を持して1963年に送り出されたのが“グローサーの再来”たる600である。

モノコックボディーは全長5.5m、ホイールベース3.2mのリムジーネ(セダン)と、全長6.2m、ホイールベース3.9mという乗用車としては世界最大級の大きさを誇るプルマン(リムジン、写真)の2種類を基本に、プルマンのルーフ後半を開閉可能なソフトトップにしたランドーレットなどのバリエーションが用意された。

自動車高調整装置付きのエアサスペンションで支えられるシャシーに搭載されるパワーユニットは、メルセデス初となる90度V型8気筒SOHCで、6.3リッターの排気量から最高出力250PS、最大トルク51.0kgf・mを発生。すべて油圧作動のパワーステアリング、パワーウィンドウ、集中ドアロックなどを備え、車重はリムジーネで2470kgに達したが、4段ATを介しての最高速度は205km/h、0-100km/h加速9.7秒という、世界でも指折りの高速サルーンでもあった。

ほかのメルセデスが新世代となった後も、別格的存在として変更がないままつくり続けられたが、1981年に生産終了。生産台数はリムジーネ、プルマン合わせて2700台弱だった。

[GAZOO編集部]

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