【連載全17話】第14話 キャデラック・ドヴィル・・・パワフル&ゴージャス! V8エンジン搭載車

排気量のダウンサイジングが進むなか、徐々に数が減りつつあるV8エンジン搭載車。今回は、かつて輝きを放った国内外のV8モデルをピックアップし、週替わりで紹介します。

キャデラック・ドヴィル

ゼネラルモーターズ(GM)そしてアメリカの最高級ブランドであるキャデラック。1915年のタイプ18以来、V8エンジン搭載車を主力に据えていたが、その排気量が最も大きかったのが1970年代だった。最高級パーソナルクーペのエルドラドは1967年にFFに転換していたが、1970年にはそのエンジンが500立方インチ、8192ccにまで拡大された。乗用車用のV8エンジンとしては史上最大となるこのエンジンはしばらくエルドラド専用だったが、5年後の1975年にはフルサイズのキャデラック全車に標準となったのだった。

写真は下位から2つ目の、ポピュラーなグレードだったドヴィルのセダン、すなわちセダン ドヴィル。これまた歴代最大級だった、ホイールベース3.3m、全長5.9m弱、全幅2m超というサイズのボディーに積まれる90度V型8気筒OHVエンジンは、前述したとおり8.2リッター。注目すべきはその最高出力で、たった190PSと、200PSにも満たなかった。1972年に出力表示がそれまでのSAEグロスからSAEネットに切り替えられたことと、年々厳しくなる排ガス規制によって当時のアメリカ車は軒並み出力が低下していたのだが、キャデラックの場合はそれが顕著だった。1970年にエルドラド専用ユニットとして登場したときは400PSであり、額面では半分以下になってしまったことになる。ちなみに24PS弱というリッターあたりの出力は、戦後型のガソリンエンジンとしては最低レベルだった。

翌1976年型にもフルサイズには巨大な8.2リッターV8が積まれたが、1977年にはエルドラドを含む全車そろって7リッター(180PS)にダウンサイズ。その後はエンジンのみならずボディーもどんどん縮小されていったのだった。

[GAZOO編集部]

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