【東京オートサロン2018特集】サニーから86/BRZへ。時代に合わせた東名パワードのエンジンチューン
チューニングファンの脳内に大量のアドレナリンを分泌させるキーワードのひとつ『フルチューンエンジン』。そのエンジンが秘めている性能を極限まで引き出し、ライバルたちに大きな差をつけることこそが、チューニングの醍醐味といえよう。
そして、そのために必要なハイリフトカムシャフトや排気量アップキットなどのエンジンパーツを作り続けているのが、創業50年を迎えた『東名パワード』だ。
自社にエンジンベンチやカム研削機などを備え、社名ロゴに“エンジンスペシャリスト”を掲げる東名パワード。創業50周年の節目ということで、ブースには往年の名マシン『ヒロタ東名サニー』(B110)も展示された。現在も富士スピードウェイのJCCAレースなどで走行していて、搭載されるA12エンジンは東名パワードによってチューニングされたもの。排気量が1303ccまでアップされていて、パワーは約170psを発揮するという。
そんな東名パワードがラインナップする主力製品のひとつが、エンジンの排気量をアップさせる『ストローカーキット』。2JZ用では世界最大を誇る3.6ℓキットは、フォーミュラDのチャンピオンマシンにも使用されるなど、その実力は折り紙つき。
また、EJ20なら2.2ℓと2.6ℓ、4G63は2.2ℓと2.3ℓというように、エンジンによっては複数の排気量が設定され、ユーザーからの要望により細かく応える。
ハイカムも根強い人気を誇る。セッティング不要のポン付けで手軽にチューニングを楽しめる『ポンカム』から、よりハイチューンのエンジンに向けた『プロカム』まで、メーカーや車種を問わないラインナップが魅力だ。
ブースでは新型のタービンも展示された。なかでも注目したいのは1JZ/2JZに最適という『T450B』で、出力はマックスで約450psを見込んでいる。今後テストを重ねできるだけ早い時期のリリースを目指すとのこと。
シリンダーブロック&ヘッドの加工を行い、エンジンパーツを組み付けたコンプリートエンジンも販売。『RB284Gジェネシス』はRB26を2738ccまで排気量アップ。ピストン/コンロッド/クランクはすべて東名パワードの鍛造品で強化され、さらに270度の『プロカム』も組み込まれている。
もちろん現実的にエンジン内部まで手を入れるハードチューンをおこなうユーザーは限られている。しかし、時代ごとのニーズに合わせて仕様や特徴を変えながら新たな製品が生まれ続けているのもまた事実だ。
東名パワードは、そんな86/BRZにむけて、NAらしい自然なフィーリングを残しつつ、大幅なパワー&トルクの向上を果たす排気量アップキットを、東京オートサロン2018で披露したのだ。
ストロークアップによりFA20エンジンの排気量は2.2ℓとなり、扱いやすさはそのままにワンランク上の速さを実現。かつてカローラが「プラス100ccの余裕」というキャッチフレーズを用いたように、排気量の差はストップ&ゴーが多く低回転域を多用するストリートで大きなアドバンテージをもたらす。
耐久性や強度についても、新たな試みが実行に移されている。それはI断面コンロッドの採用だ。
チューニングの世界ではH断面は軽く、I断面は強度に優れるというのが通説。
過去にも数多くのエンジンパーツを世に送り出してきた東名パワードだけど、コンロッドはすべて軽さにこだわったH断面と呼ばれる形状だった。
しかし86/BRZは、吸排気系のライトチューンだけでなく、ターボやスーパーチャージャーなどの過給機によるパワーアップチューンも高い人気を誇っている。
今後のさらなるパワー競争白熱を見越した結果、従来と方向性を変えてI断面コンロッドの強さを選択したというわけ。
なおピストンもNA用の高圧縮タイプと、過給機用の低圧縮タイプを開発中とのことだ。
86/BRZ用のチタンマフラーは、これまで軽量さを重視したシングルタイムのみだったけれど、ユーザーからの「純正のスタイルを崩さない2本出しが欲しい」との声を受け6月ごろにリリースを予定。今後は車両に装着してのデータ取りを行ない、価格は15万円くらいになるだろうとのこと。メインパイプ径は60φで重量はノーマルの半分を軽く下まわりそう。モチロン車検対応品だ。
86/BRZ用エキゾーストマニホールドも、高回転域での吹け上がりやパンチを重視した等長タイプと、中間域のトルクとレスポンスを重視した非等長タイプの2種類をラインナップ。走行ステージやチューニング内容によって選択できる。
2018年はR35用パーツの開発にも力を入れていくという。手はじめに製作されたチタンマフラーは片側2本の左右4本出し!! 続いてタービンキットも鋭意開発中ということだ。
発売時期がまだ先のパーツも多いけれど、86&BRZやR35のオーナーは、東名パワードの新製品情報から目が離せない!?
[ガズー編集部]
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