【東京オートサロン2018特集】マツダ初代ロードスター、TA22セリカなど注目のレストア車両を追った!
大事に永く乗り続けてきた愛車は自動車税が割増になり、エコカーに買い換えると減税や免税が受けられるなど、国単位で新車への買い換えムードを作り出している現在の日本。
いっぽう、アメリカで開催される世界最大規模の自動車パーツ見本市SEMASHOWなどでは、自動車メーカーがレストア車両を製作してブースに展示することも珍しくなく、自動車文化の豊かさや懐の深さの違いを痛感させられる。古き良きクルマ好きにとっては、なんとも悲しい現実だ。
ところが昨年8月、マツダが初代ロードスターのレストアサービス開始を発表。日産のアフターパーツを扱うニスモ(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)も、『NISMOヘリテージパーツ』として、R32 GT-R用のハーネス、ホース・チューブ、エンブレム、外装部品などの再供給をスタートするなど、クルマの作り手側が旧車を思いやる、新しい流れを感じさせてくれるできごとが相次いだのだ。
昨今の旧車人気を一過性のブームで終わらせず、古き良きクルマ文化を支える環境作りが進むきっかけとなるか?その内容を取材した。
東京オートサロン2018のマツダブースには、NAロードスターレストアサービスの紹介として、再生のために丸裸にされた状態の車体が展示された。
ここまで素の状態に戻してから、復刻された新品パーツを使って組み上げられるのだから、新車に限りなく近い仕上がりになるのは必然。これからもロードスターに乗り続けたいというオーナーにとっては垂涎モノのメニューといえるだろう。
昨年12月からwebで募集をスタート。個別のヒヤリング、車両状態の確認、どこまで手をつけるかのメニュー選びなどの手順を経て、実際の作業に進むという。
すでに多くの問い合わせが寄せられているというが、作業スペースや技術者の確保も必要なため、現時点では2〜3ヶ月に1台、1年に5〜6台くらいのペースでレストアを行なっていく予定とのことだ。
マツダ広報担当者にお話を伺ったところ「会社から“赤字は出すな”とは言われているものの、収益性を求められているというよりも、ユーザー様とのコミュニケーション事業のひとつだと捉えています」とのこと。ユーザーを大事にしていきたいというマツダの社風が形になって実現されたプロジェクトと言えるだろう。
では、実際にどのような手順を踏むのか? このレストアサービスのもうひとつの重要な関係先となる『テュフ ラインランド』の担当者に話を伺った。
「弊社はクラシックカーガレージの監査や認証を行う第三者機関です。技術、品質、機器設備はもちろん、運営管理や法令遵守、お客様対応など11カテゴリー150項目以上の基準に基づいて、レストアが正しく行われているかをチェックいたします」とのこと。
自動車大国ドイツ・ケルンに本社をおくテュフラインランドは、世界中でディーラーや整備工場の監査・認定をおこなっているほか、博物館に展示されるクラシックカーやビンテージカーなどの損害車両の査定なども手掛けている。
24時間レースでおなじみのニュルブルクリンクの管制タワーには同社のロゴが掲げられ『TUVタワー』とも呼ばれていて、映像やゲームで見たことがある!というひとも少ないくないかもしれない。
このレストアサービスを始めるにあたり、廃盤となっていたソフトトップやナルディ製ステアリング、ブリヂストン製タイヤなど約150の部品も復刻。レストアサービス利用者以外でも、販売店などから注文できるようになるということだ。
マツダがメーカーの技術力を駆使してクルマを再生し、第三者機関がそれに太鼓判を押す。生まれ変わったNAロードスターのシートに座ってキーをひねり、ステアリングを握って走り出した瞬間のオーナーの表情が目に浮かぶようだ。
いっぽう、アフターパーツ業界でも、愛車に長く乗り続けたいオーナーにとって欠かせない存在のひとたちがいる。
廃盤になったゴム製パーツやプラスチックパーツなどを中心に、復刻再生(リプロダクト)した製品を企画・製造・販売している『リバイブジャロピー』も旧車オーナーを支えてくれている会社のひとつだ。
今年のオートサロンで、レストアされたTA22セリカを展示していた同社。
ドアまわりのウェザーストリップ、ガラスまわりのゴムなど、純正ではもう手に入らないパーツを自社のリプロダクト品に置き換え、風切り音や雨漏りの心配なく快適に乗れるクルマとして生まれ変わらせている。
「ピッカピカにするのは簡単ですが、今回は“当時から大事にしている”感をテーマに仕上げました。パーツの少ないクルマをこれだけ純正状態に仕上げるのは、ある意味かなり手間のかかるチューニングといえるのではないでしょうか」とは、代表の西さん。
エンジンルームをよく見てみると、アルミパーツの表面や金属製ステーなどはあえて磨いたりせずにそのままの状態で再装着。再塗装をおこなったヘッドカバーやエアクリーナーカバーなども、あえてツヤ消しっぽく仕上げるなど“浮かないように”手をくわえているのだ。
「安売りするつもりはないけど、価値がわかってくれる人に乗ってもらいたいね」ということなので、興味がある人は連絡してみてはいかがだろうか。
[ガズー編集部]
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