【東京オートサロン2019】衝撃的な出会いから四半世紀以上乗り続けてきたZ32に、これからも乗り続けるための施策とは
新年最初のカスタムカーイベントでもある東京オートサロン。来場者が右肩上がりに増えていて、併設する大駐車場も駐車スペースが足りなくなるほどの賑わいを見せている。そして、来場者の愛車がズラリと並ぶこの駐車場でも、新旧様々なカスタムカーを目にすることができるため、クルマ好きにとって見逃せないスポットともいわれている。そんな駐車場で見かけたのが、この1991年式フェアレディZ(Z32)だ。
多くの旧車ファンが熱望する初代S30型を皮切りに、現在まで6世代のモデルがラインアップされているフェアレディZ。その中でもZ32型は1989年に誕生した第4世代。バブル景気の絶頂期に誕生したこともあり、大型化したボディにV6 3.0Lツインターボエンジンなど、その作りも豪華さを極めているのが特徴だ。
特にボディは2シーターモデルと2by2モデルではシャシーが異なり、ホイールベースまで変更されるというこだわりの設計が与えられる。
スタイリングとパフォーマンス、さらに贅沢な作りを実現したグランドツーリングとして、日本市場だけでなく欧米におけるZ人気を不動にしたモデルなのである。
そんなZ32を四半世紀以上の相棒として所有し続けているのがオーナーのジョーカーさん。これまでスカイラインジャパンやセリカXX、BMW・535など、その時代の定番と呼ばれる車種を乗り継いでいたため「クルマに対するこだわりが強いようでいて、逆にミーハー」というのが自己評価だとか。
そんなジョーカーさんとZ32の出会いはまさに偶然。ある日、所有していたクルマを買い取り店に持ち込んだ際に、そこにあったのがこのZ32。その姿にひと目ボレし、ワンオーナーのフルノーマル車で履歴もしっかりしていることから、その場で購入を決意してしまったそうだ。
それまでは購入前にそのクルマに対するデータを調べ、周囲の反応などを見極めたうえで決断するというのが自身のなかでのクルマ購入のプロセスだった。しかしこのZ32はそういったプロセスを経ることなく、即断即決で購入を決意させるほど衝撃的な出会いだったという。
もちろん購入当初は様々なカスタムを楽しんでいた。例えばスタリングは社外のエアロパーツを組み合わせて自分好みに変更、さらにエンジンまわりもインタークーラーを前置きにするなど定番のメニューを積み重ねている。
特にスタイリング面では、オリジナルのエアロフォルムを生かしながら、仮想NISMO仕様をコンセプトにして各部に赤色のラインをプラスすることで「Z33やZ34のバージョンニスモがZ32世代にあったなら」を表現しているとのこと。
しかし、誕生から30年近く経るにつれて、その考え方にも変化が現れはじめた。というのも、現在このZ32以外に欲しいと思えるクルマがないため、今後、別のクルマに買い換えるのではなく、このZ32に一生乗り続けることを考えはじめるようになったのだ。
そこで、これまでカスタムに偏っていた思考を改め、最近はリペアやリフレッシュをメインにした整備に重点を置くようにしているのだという。
「やっぱりZ32はこのグラマーなスタイリングがいいんですよね。エンジンもツインターボだからパワーがあるし、でもそんなにガンガン踏んで楽しむのではなく、ゆったりとクルーズするのが気持ちいい。だからこれからも長く乗り続けられるように、まずはエンジンのオーバーホールからスタートしていきたいです」とジョーカーさん。
現状でもエンジンは特に不具合はなく、普段の使用には一切問題もない。しかし今後のパーツ供給状況やリペア部品価格の高騰、さらに万が一にもトラブルが起きた後では取り返しがつかないことも予想される。
そのため、現状のコンディションチェックをおこない、今後のトラブル予防を兼ねてエンジンからメンテナンスを開始しようというわけだ。
同時に、長年使い込んだ証として運転席の劣化が目立ち始めているインテリアも、純正形状をベースにアルカンターラなどへの素材変更もおこないながら、リペア&カスタムを進めていこうと考えているそうだ。
「東京オートサロンには毎年来ていますが、Z32はほとんど見かけなくなりましたね。でも最近は、カスタムだけでなくリペアのためのヒントやアイデアが見つかれば、来た甲斐があるというものです」と、愛車へのスタンスが変化した今、東京オートサロンの楽しみ方にも少し変化が現れているようだ。
90年代車は既に30年近く車齢が進み、『ネオクラシック』と呼ばれはじめてからも10年以上が経過している。
ひと目ボレでの購入から20数年。ドライブからカスタムまで多くの楽しい思い出を作り出してくれたZ32と、これからの10年、20年も同じように楽しい思い出を作り続けていくために、ジョーカーさんは新たな目的地へとナビをセットし、走り始めたようだ。
(テキスト:渡辺大輔 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
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