【鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2018 愛車紹介】新車から47年間乗り続けたワンオーナー車、超希少なスポーツグレードGSのホンダ・Zは…
今も昔も、クルマは所有することで様々な刺激や感動を与えてくれる人生の相棒といえる。そんな相棒だけに、1台の愛車を長年乗り続けているという人も少なくはないだろう。
もちろん時代に合わせて進化した最新モデルを手に入れれば、技術の最先端に触れることができる。常に最新の技術を味わうという考えもまた、クルマと付き合う楽しみ方であることは間違いない。
1台の歴史とともに歩み続けるか、技術という歴史を体感するか。クルマに求める刺激や感動も人の数だけ広がりを見せているのだ。
レジェンドドライバーから往年のレーシングカーなど、日本のモータースポーツの歴史を振り返るイベント『鈴鹿サウンド・オブ・エンジン』。鈴鹿サーキットが主催する今年で4回目となるこのイベントは、国内外の歴史的なレーシングカーだけでなく『タイムトラベルパーキング』と銘打ったヒストリックカーミーティングも見どころのひとつ。今回はそんなタイムトラベルパーキングで出会った奇跡のワンオーナー「ホンダ・Z」のオーナーに話しを伺うことにした。
今では補修パーツの供給もままならないはずなのに、ボディパネルのストレートさやペイントの美しさなど、見るからに愛情が注がれていることがわかるこのZ。
軽自動車が360ccの排気量に限定されていた1970年代初頭に、N360をベースとして造られたスペシャリティクーペだ。独特のリアフォルムは「水中メガネ」の異名を持ち、コンパクトなボディながら大人4人が乗車できる室内空間を確保するなど、まだクルマが贅沢品と呼ばれていた時代のエポックメイキングな1台だ。
そして、そんなZの中でもトップエンドのスポーツグレード『GS』を新車で手に入れ、以来47年間変わらず愛し続けているのだという。
さすがにボディは何度かのオールペンによってリフレッシュされているが、カラーリングは当時の純正カラーで塗り直しているのみ。乗降時に擦れてしまうシート表皮も、張り替えが行なわれているものの純正デザインをキープ。定期的に各部をリフレッシュすることでヤレを最小限に抑えているというわけだ。
そんなオーナーとZとの出会いは試乗車を借りたことがきっかけ。ちょうど5月の連休を使って借りたZのGTで知多半島を1周したところ、その走りは想像以上に楽しめたという。しかし4輪ドラムブレーキはあまりにも効きが弱く、購買意欲はそこまで湧き上がらなかったというのが実際のところ。
しかしGTグレード返却時に店頭に並んでいたGSにはディスクブレーキや5速ミッションが装備されている豪華版。この違いを見たら一気に購入の意思が高まったのだという。
とはいっても当時は月給5万円ほどが一般的な水準の時代。それにもかかわらずGSグレードの新車プライスは46万5000円。もちろん即金で買えるわけもなく、70数回の超長期ローンを組むことで、なんとか手に入れることができたのだとか。
月収の1/3程度をローンの支払いに充ててはいるが、購入したら走り回りたくなる。こうしてガソリン代も月に1万円ほどかけてしまうカーライフがスタートしたのである。
「確かに毎月カツカツで大変だったけど、その分いろいろな思い出ができたよね。フラっと富士山の方まで走ってみたり、一時期は家に帰らないで走り回っていたから、親から捜索願が出されたこともあったね。360ccだけど5速でスピードも速かったから結構快適だし、走っていてもパブリカくらいになら負けなかったよ」
こういった思い出が10年、20年と重なると手放すことが難しくなる。オーナーいわく「思い出が詰まりすぎていて手放すタイミングを見失っちゃった」というように、自分の半生を見続けていた相棒との別れはもはや考えることもできないようになってしまったのだ。
「やっぱりこの年代になってくるといろいろガタが出始めちゃうよね。でもそこを直してしまえば当分は壊れないし、今は最悪の事態も考えて予備のエンジンも保管しているよ」
一般的には故障が頻発したタイミングは買い替え時と考えられる。しかし乗り続ける気持ちがあれば修理を重ねるという選択もあり得る。そもそもこのZのオーナーのように、そのクルマが本当に好きだったら、修理という選択肢以外は考えられないのかもしれない。
さすがに今では毎日のように乗り回すこともなくなったが、コンディションを維持するために定期的に動かしたり、天気のいい日にはドライブも楽しんだりしているという。5年ほど前には能登半島1周ドライブに出かけたりと、まだまだ思い出づくりは継続中。こういった一つ一つの思い出が、愛車との絆をさらに深めてくれるのである。
[ガズー編集部]
「鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2018 愛車紹介」の記事
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