【ノスタルジック2デイズ】どうせ作るなら日本初の1台を! K24Aスワップの快速510ブル

ノスタルジーを感じさせる昭和旧車が集まるイベントとして、今年で11回目を数えるヒストリックカーのビッグイベント『ノスタルジック2デイズ』。
普段は滅多にお目にかかることのない激レア車から、フェアレディZやハコスカといった人気のモデルまで様々な旧車が集まる会場で注目を集めていたのが、この1970年式P510ブルーバードだ。
なんと、左ハンドル仕様をベースにエンジンをホンダのK24Aに載せ換えた超希少なカスタマイズカー(もちろん公認車検でナンバーも取得!)なのである。

大衆車のサニーに対し、ミディアム層を狙ったモデルの510ブル(『ごーいちまる』『ファイブテン』とも呼ばれる)は、2ドアセダンや4ドアセダン、ワゴンなど様々なボディが用意され、1.3リットルから1.8リットルの4気筒L型エンジンが搭載されたモデル。
ラリーなどで活躍はしていたものの、ファミリーカーとしての印象が強く、どちらかといえば『燻し銀』的なキャラクターであった。
しかし90年代に差し掛かった頃から、アメリカでの活躍に注目したファンからの支持が高まり、レースで活躍したBRE(ブロック・レーシング・エンタープライズ)仕様などのカスタマイズが盛んになっていき、今では日本でもハコスカやZに並ぶ旧車として人気が高まっている。

現在ではSR20などへのエンジンスワップによるパフォーマンスアップが人気のカスタマイズ手法となっているが、この流れを作り上げた立役者ともいえるのが、ノスタルジック2デイズでこの510をディスプレイしていたS&Aオートクリエイトだ。
もともとユニークなクルマが好きだったというこの510オーナーも「510購入を考えた際にクルマ探しからSR20換装までお願いしようと考えて、数々の実績とクオリティの高さを誇るS&Aに相談に行きました」というのが最初の1歩だったとのこと。

ところが、代表の中戸川さんから、現在価格が上昇中でオススメし難いSR20のかわりに、アメリカで人気が高まりつつあるホンダのK24Aへの換装を提案されたというオーナー。
当初は日産車にホンダのエンジンという組み合わせに違和感はあったものの、SR20よりも新しい世代のエンジンであること、一時期大ブレイクした車種だけに格安で手に入ること、アメリカでも人気のエンジンということ、そして何より『まだ日本では例のないスワップ』というキラーワードに魅力を感じ、K24Aへの換装を決意したという。

プロジェクトを進めるにあたって、まずはベースとなる車両探しからスタート。「改造してある車体よりもできるだけノーマルに近く、コンディションの良いものを」というアドバイスを受け、ビバリーヒルズに住む高齢の女性が所有していたワンオーナー車で、3ATのフルオプション仕様を探し出して購入した。

エンジンスワップにあたってはすべて現物あわせで行われたのだが、限られたスペースに横置きのK24Aを縦置きに変更して搭載するのは苦労の連続!
吸気系はK24A用インマニとS2000に搭載されるF20A用サージタンクをドッキングし、形状を大幅に変更。ミッションはアメリカから取り寄せたアダプターを使ってS2000用を流用している。
さらに、排気系も当初はK24Aノーマルを利用していたが、管長を最大限に取れるようにエキマニをワンオフ製作するなど、スペシャルなアイテムが随所に組み込まれているのである。

もちろんボディに載せれば完了というわけではなく、そこからエンジンを動かすためのコンピュータとつなぐハーネスも、イチから作り直し。同時にコンピュータはハルテックを利用しつつ、メーターもスタック製に変更済みだ。今後さらにカスタマイズを進めることも想定し、あらかじめ拡張性をもたせているのも特徴のひとつといえる。

ホイールなどのアクセサリーはオーナー自らがコーディネイト。特にVTOのホイールはBREから購入したもので、BREロゴのセンターキャップが装着されていた。
またシートもアメリカで人気があるステイタス製の最新モデルをツイード生地で導入するなど「510のカスタムシーンを分かっている」とS&A中戸川さんも太鼓判を押すパーツチョイスが行なわれている。
また、購入当初には装着されていなかったダブルバンパーは、後日入手して装着。リップスポイラー装着といった考えもあったが、現在はこのバンパーを生かしたノーマル風ルックの雰囲気を楽しんでいるとのこと。

エンジン換装がひと段落したところで乗った感想は「パワーもトルクもノーマルとは段違い。特に車体が軽いため楽しいんですけど、動体視力と体力がついていくか…」というもの。
しかしパワーがアップした分、やはりボディの剛性感が不足しているため、今後はボディ補強から足まわりなど基礎部分をしっかりと作り直していくことが最優先。
それと同時にせっかくのK24Aのポテンシャルを生かせるカム交換や4連スロット化など、まだまだ夢は尽きることがない。
今後さらにハイスペック化して、さらに快適、快速マシンへと進化していくはずだ。

(テキスト:渡辺大輔 / 写真:平野 陽)

[ガズー編集部]

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