【2018トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑】5年間待ち続けてようやく巡り合った憧れの2ドアハードトップ、スバル・レオーネ RX
1971年から生産が始まった富士重工業(現スバル)のレオーネ。水平対向4気筒エンジンを搭載したFFクーペボディからスタートし、セダン、ハードトップやステーションワゴンといったモデルも作られ、なんと言っても特筆すべきは同社初の4WDが初採用された車種であること。現行モデルの生産が続く看板車種のレガシィ、インプレッサが生まれる基盤となったスバルの歴史を語るのに決して欠かすことのできない車種である。
銀杏並木が黄色く染まった神宮外苑に、約100台のクラシックカーが集まって開催された『2018トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑』。このイベントに参加していたこのレオーネは、1983年式の2代目にあたるモデルで、49才となったオーナーの本橋さんにとって、小学生から中学生にかけてクルマ好きの思春期を過ごした時代に最も憧れた1台だという。
「このRXは4WDに1.8Lツインキャブを搭載したハードトップのモデルです。販売台数が少なく現存する車体が極端に少なくて、車体を手に入れるだけでも5年間かかり、やっと手に入った車体も不動車という状態でした」
ただでさえ販売台数が少ないうえ、競技ベース車両という位置づけだったRXはラリーを中心としたレースで酷使され、現存する車体も極端に少ない。そして、スペアパーツが枯渇しているのも同じ状況だ。
このレオーネが手に入るまでの経緯は、普段乗りの車両として使っていた前オーナーがトランスミッションの不調を感じ不動車に。かといって廃車にしてしまうのはもったいないため、だれかこの状態でも引き取ってくれる人はいないか、と本橋さんも加入するレオーネクラブへ依頼した。「このモデルの情報が入ったら必ず連絡して欲しい」と5年間も待ち続けていた本橋さんにとって、心半分あきらめかけていたなかで、奇跡のようなめぐり逢いだったという。
手に入ったのが今年の初めの話で、そこから外装を磨きリフレッシュ。不動の原因となったミッションはシンクロの不良であると原因を特定した。代替パーツがないためオーバーホールはあきらめたが、オイル交換とシンクロをいたわるギアチェンジで街乗りをできるように復活させた。
本橋さんがここまで2代目レオーネの2ドアハードトップというモデルにこだわりを持つのは、その独特な開放感にある。注目して欲しいのはドアの窓枠だ。サッシュレスドアとも呼ばれる車体形状で、一般のクーペのBピラーに当たる部分が存在せず、クォーターガラスの前半部まで窓ガラスを開閉することができる。普通の2ドア車両なら決して味わうことのできない開放感だ。
旧車好きとして以前乗っていたMS51クラウンも、同様の2ドアハードトップだからという理由で選んだ1台。しかし、ずっと持ち続けていたレオーネに対しての憧れはRXのエンジンが特別だからというのも大きい。
モデル名のRXには、後のインプレッサWRXに引き継がれる、スバルのラリー競技ベース車両という意味が残っている。2代目レオーネに搭載される水平対向EA81型エンジンは、ほかのモデルが最高出力100psなのに対して、ツインキャブのEA81S型は圧縮比も高められ、手作業でのヘッド組み立て工程を経て110psを絞り出すRX専用のエンジンとなった。
水平対向エンジンの低さを利用してエンジンルームにスペアタイヤが配置されているのも、スバルの旧車オーナーとしてのアピールポイント。当時モノの純正ホイールと純正タイヤであるブリヂストン・ポテンザをそのまま置いてあるのも、なるべく当時の仕様と純正パーツを残したいという本橋さんにとってのこだわりだ。
さらにトランスミッションも、RX限定の4速クロスMTを採用することで、自然吸気ながらも他のモデルにはない吹け上がりをみせるのも特徴。これまで2代目レオーネの4ドアモデルも乗ったことがあるという本橋さんだが、体感できるレベルでトルクやパワー感の違いを味わうことができ、その点においても改めてRXというモデルのすごさを認識できたそうだ。
また、イベント当日は実際にこのモデルでラリーに出場していたという元ドライバーとも会うことができ、当時の懐かしさを感じてもらえたというのもRXオーナーならではの醍醐味と言えるかも知れない。
当日伺った今後の目標というのが「息子と揃ってのミーティングイベントへの参加」。というのも驚きなのが、なんと、24才の息子さんも3代目のレオーネに乗るレオーネオーナー。しかも、モデルはRXIIという本橋さんの2代目RXの後継モデルだという。
つまり、本橋さん親子は日本でも稀有な競技ベースモデルのレオーネオーナーの親子ということになるのだ。
そして、この目標は翌日にひかえた旧車イベントで早くも達成できるのだと、嬉しそうに教えてくれた。
イベント中も、息子さんやそのお友達と、年齢の差を感じさせることなく共通の話題で盛り上がっている姿が特に印象的だった。
できるだけ長い間コンディション状態を維持しつつ乗り続けたいという、貴重なレオーネRXオーナーとしてのモチベーションを保ち続けるにあたっても、本橋さんにとって彼らの存在が大きな役割を果たしていくことを期待したい。
[ガズー編集部]
「2018トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル@神宮外苑」の記事
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