【RX-7 40th Anniversary 愛車紹介】国籍不明な個性的スタイリングに惚れ込み。20年越しで手に入れた3代目マツダ・コスモ
マツダの代名詞ともいえるロータリーエンジン。その歴史を振り返るうえで、絶対にハズせないのが『コスモ』という車名だ。
その初代モデルは1967年に発売されたコスモスポーツ。量産市販車にロータリーエンジン(10A型)を世界ではじめて搭載した記念すべき名車だ。その名前は、北米市場を意識して高級スペシャリティカーとなった2代目コスモAP、そしてその流れを踏襲しつつ当時のハイソカーブームに合わせて豪華な装備を満載した3代目へと引き継がれていく。
1981年に登場した3代目モデルの“マツダ・コスモ"は、マツダの高級サルーンであるルーチェと共通のプラットフォームに、2ドア/4ドアハードトップ、セダンの3タイプのボディスタイルを設定。ハードトップモデルには、特徴的な4灯式リトラクタブルヘッドライトを採用している。
また、ボディ同様搭載エンジンもバリエーション豊富で、12Aロータリー、2Lレシプロ、2.2Lディーゼルの3種類のバリエーションを展開。さらに1982年におこなわれたマイナーチェンジでは、世界初のロータリーターボ12A-Tエンジン搭載車を追加。1983年には新開発の13Bエンジン(自然吸気)も追加された。しかし、その個性的なスタイルは残念ながら当時の日本市場で受け入れられることはなく、コスモの名は1990年の“ユーノス・コスモ"へ引き継がれていくこととなった。
そんな3代目コスモを20年以上探し続け、昨年ついにオーナーになったのが佐藤信義さん。めぐり逢ったのは1984年式の後期型ロータリーターボ搭載モデルのリミテッド。なんといっても、今どきのクルマにはないオーバーハングの長さによるスタイリングがお気に入りで「1本ワイパーやリトラクタブルヘッドライトなど、スーパーカーの要素を満たしているのもポイントですね」とのこと。
後期モデルと前期モデルの相違点はドアミラーの採用やセンターピラー形状の変更のほか細部にまで及ぶというが、テールランプだけはあえてレンズが区切られた旧車的なデザインの前期用に交換したという。
鮮やかなレッドのボディカラーは純正色ではなく前オーナーがオールペンしたものだが、まるで新車のような輝きを放つすばらしい仕上がり。「このタイプのコスモはかなりマイナーな存在だし、独特なスタイルは無国籍感の漂うもの。ご近所さんたちは、このクルマをイタリア車と思っているみたいですよ」と佐藤さんは笑いながら説明してくれた。ちなみに佐藤さんは免許取得後にユーノス・ロードスター(タン内装のVスペシャル)を購入、その後にリンカーン・タウンカーを手に入れ、このコスモとあわせて3台を今でも所有し続けているそうだ。
カタログスペック160psという当時の国産車トップクラスのパワーを誇った世界初のロータリーターボエンジン12A-Tは、吸気側に補助ポートが追加され燃費と低速トルクの改善を図った新型の12A-6PIに日立製の反動型のターボチャージャーを組み合わせ、ロータリーエンジン初のEGI(電子制御燃料噴射システム)も採用していた。
しかし佐藤さんが購入した当初は完調とはいえない状態だったため、吸気経路をアルミパイプで作り直したほか、冷却水の漏れ修理なども実施。ひとつずつトラブル対策を重ねていった結果、気兼ねなくドライブを楽しめる状態に仕上がったという。
なんといっても苦労したのは、補修用のパーツがまったくといっていいほど手に入らないこと。例えばガスケットと呼ばれるパッキン類は汎用シートからワンオフ製作したというエピソードからも、それなりの覚悟がないと乗り続けることができないクルマだということがわかるだろう。
また貴重な当時もののチューニングパーツも各部に装着されているが、なかでもご自慢なのが今ではめったにお目にかかれない“SIRENA"のエアロパーツ。フロントバンパー内にスッキリと収めた大容量タイプのインタークーラーもお気に入りのポイントだ。
インテリアに目を移すと、80年代に大ブームとなったハイソカーの雰囲気が漂う。メーターコンソールは左右にエアコンやライト類、クルーズコントロールスイッチなどが配されたもので、メーターパネルは凝ったデザインのデジタルタイプが採用されていた。
標準装着のステアリングは2本スポークタイプだが、スポーティな3本スポークタイプに変更。油温や水温などを正確に表示する社外品の追加メーターも、助手席前にパネルを製作してスッキリと収められている。
足まわりは、エナペタル製のワンオフサスペンションで程よく車高をダウン。ゴールドメッシュのBBS製ホイールは、ハブのPCDが120という特殊なサイズなため、変換スペーサーを介して装着している。
気になるのはその走りの実力だが、意外に低回転からターボがよく効くので乗りやすく、その気になればスポーティな走行もこなせるという。たまのドライブとイベント参加が中心だが、その注目度は絶大。
セブンの日(7月7日)におこなわれた大黒ふ頭でのミーティングに参加した際には、様々なチューンドRX-7が大集合なのにも関わらず、複数の海外雑誌やインターネットメディアに取り上げられたという。
取材で知り合ったオーナーさんに対し、敬意を評して『変態ですね』とお伝えすることがあるのだが、佐藤さんは笑顔で「褒め言葉ですね」と返してくれた。
そんな筋金入りのマニアが、このコスモをどのように自分色に染め上げていくか? いつかどこかのイベントで再会するのが、楽しみで仕方ない!!
[ガズー編集部]
「RX-7 40th Anniversary at FUJI SPEEDWAY」の記事
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