トヨタFJクルーザーを15年かけ安全で遊び心あふれるクルマに進化させる

迫力満点のサイズとレトロ調の可愛らしいルックス、そして「沖縄では当時ほかに乗っている人がいなかった」という北米仕様のトヨタFJクルーザーに魅力を感じ、逆輸入して乗り続けているという伊波さん。15年かけて愛情をたっぷり注いだ愛車とのカーライフに迫る。

トヨタが北米向けに開発し、2006年から製造&販売を開始したレトロデザインのSUV、FJクルーザー。ランクル40系をモチーフとした丸目にオーバルグリルのデザインなどが人気を集め、2010年には日本国内向けにも発売されることとなったモデルだ。
そしてこの日本仕様が発売される以前の2008年に、北米仕様のFJクルーザーに興味を持ち、逆輸入して現在も愛車として乗り続けているのが、沖縄県在住の伊波 正さん(59才)。

トヨタ車とはいえ、アメリカ向けに作られた車両のためすべてがオーバーサイズ、さらに日本向けに仕様変更されていない状態のFJクルーザーは、普通であれば扱いにくさや苦労を感じる部分に嫌気が差してしまうことも考えられる。
しかし伊波さんはご自身で根気よく試行錯誤しながら長い月日をかけて少しずつ改良を重ね、15年経った今ではさまざまなカスタムを施してフル公認を取得するほど、このFJクルーザーを楽しみ尽くしているという。
伊波さんはどのような想いでこのFJクルーザーを作り上げ、そして乗り続けているのか、お話を伺った。

幼少期から常にバイクやクルマが身近にあり、気づけばクルマ好きだったという伊波さんが四輪駆動車にハマったのは、20代前半のことだったという。
「40年ほど前にオフロードバイクにハマり、その時に四駆のクルマが走っているのを見て楽しそうだなって。若い頃は先立つものがなかったので、安いジムニーを乗り回していたら楽しくて病みつきになって、ジムニーだけで数台所有していました。そんな20代の頃から四駆だけに乗ってきたんです」

伊波さんによるとかつての沖縄はオフロード走行を楽しめる場所が豊富にあったものの、そういったスポットは段々と減っていったそうだ。そんな事情もあって四駆を降りて普通車に乗ろうかと考えるようになったタイミングで、ちょうどFJクルーザーの存在を知ったのだという。

「街中で小洒落た感じでのることができて、沖縄で誰も乗っていないクルマに乗ろうといろいろ模索していたとき、知人からインターネット上にアップされていたFJクルーザーを見せてもらい、他にはないデザイン性がとても気に入りました。ゴツい国内の四輪駆動車とはちがって、四駆好きじゃなくても乗れそうな丸っぽいデザインで、レトロな雰囲気なのに当然ながら新車だから最新装備が設定されている。そしてなにより、まわりに同じ車両に乗っている人がいないことが決め手になりました。ところがディーラーさんに話を聞いてみてもこのクルマに関する情報がなく、結局は自力で調べることに…」

他人が手をつけていないことをやるのが好きだった伊波さんは、諦めきれずにアメリカのトヨタにも電話してみたところ、現車を見ずに写真だけでやり取りをする流れに。
「海外仕様のクルマに対する不安はありましたけど、基本は日本の工場で製造してそれをアメリカに送っているということがわかって安心し、買う決断ができました」
そして伊波さんは、15年前にこのFJクルーザー(2007年式)を逆輸入。それからは通勤での使用や四駆仲間とのキャンプなど伊波さんの愛車として活躍しているという。

「もともと北米専売モデルだったため、すべてがオーバーサイズ。とくに横幅が規格外で、ミラーまで入れると2m近くあるので私も最初は乗るのが怖かったですね。通常の大型車であれば左に小さい補助ミラーが付いているものですが、このクルマはそれもないですし。それにデザイン的にはオシャレなんですが、フロントガラスが小さいくAピラーの幅も広いので死角が多かったり…」

そこで伊波さんは、さまざまなアフターパーツカスタムを楽しみつつ、安全に乗りやすくするための対策も同時に行っていく。
「外装関係で最初にカスタムしたのが、車体をさらに大きく見せるためのオーバーフェンダーです。そしてボディサイズ対策として、サイドミラーの中にカメラを埋め込みました。サスペンションは快適さも考えてビルシュタインを選び、アーム関係は海外製のものに変えています。サイドステップ部分も純正だと足をかけにくい感じだったので、海外製アイテムに交換しました。ホワイトになったフロントグリルとオレンジにしたエンブレムは私の思いつきで塗装したもので、ライトのイカリングも自分で追加しています」
見た目のカッコよさに加えて、乗り心地や使いやすさ、そして安全面も考慮したカスタムが施されているという。

そして観音開きドアを開けると、専門業者に依頼して制作してもらったという鮮やかなレッドのレザーシートが目に飛び込んでくる。
「シートカバーのワンポイントのようなワッペンは、私が自分でデザインしたんですよ。今日着ているシャツにもほら(笑)」

そしてそんな伊波さんが一番気に入っているカスタムが『3ケタ万円を費やした』というカーオーディオだ。
「もともと趣味で音楽をやっていたこともあって、フロントにはイタリア製のアンプを積み、後ろのスペースには振動板に木を使った珍しいタイプの日本ビクター製スピーカーを搭載しています」

そんな伊波さんは、今年3月に仕事を早期退職したこともあり、最近はほぼ毎日のように自宅ガレージで何かしら愛車たちの作業しているのだという。そしてこのガレージがまたすごいのだ。
「10年前に家を新築する際に、ビルトインガレージも作ることにしたんです。イメージは所さんの世田谷ガレージですね。最初はFJクルーザーだけでしたが、みんながいろんな乗り物の情報を僕に持ってくるもので、今ではこのFJクルーザーのほかに、フェアレディZ、ポラリス製バギー、そのほかにバイク4台とセグウェイ2台、電動バイクにオーダで作った折りたたみ自転車、ラジコン4台が常駐している状態です」
まさに伊波さんのコレクションが集まった素敵なオモチャ箱!!

「もともと機械をイジるのが好きなので、このFJクルーザーもオイル交換を含めてできる限り自分で作業しています。消耗品の交換以外は17万km乗っていながらいまだに故障知らずなんですよ」
ちなみに、最近はS30で旧車イベントに、このFJクルーザーはキャンプやアウトドア関連のイベントなどに乗っていくことが多いそうだ。
「自転車やセグウェイはドライブ時にこのクルマに積んでいき、散策やキャンプの移動用に使ったりと、かなり重宝しています。アイテムを持っているとみんなとワイワイできますしね。S30やバギーは、たまにはマニュアル車に乗りたいなって思った時に天気と相談しながら楽しんでいます」

北米仕様車ならではの独特なデザインやスタイルはそのままに、日常を共にする相棒としてより使いやすく進化させ、キャンプなどのアウトドア遊びにも大活躍しているというFJクルーザー。
唯一無二の1台となった愛車は、新車購入から約15年が経った今も、そしてこれから先も、伊波さんのカーライフを充実させてくれる大切な存在であり続ける。

取材協力:オリオンECO 美らSUNビーチ

(⽂:西本尚恵 / 撮影:土屋勇人 / 編集:GAZOO編集部)