角張ったフォルムが好きすぎて手に入れた2台目のスバル・フォレスター

  • GAZOO愛車取材会の会場である福島県福島市四季の里で取材した初代フォレスター(SF型)

    初代フォレスター(SF型)



アメリカでは6代目となる新型モデルが既にデビューした、スバルフォレスター。各年代の歴代モデルを振り返っていくと、それぞれに個性的なスタイリングが実現されており、同じフォレスターでも『自分はこの形が好き!』という、同車名ながらも、各モデルによってそれぞれ固定のファンがいるといった車種である。

2000年式の初代フォレスター(SF型)に乗る“たむたむさん”もその一人。
「20代の頃に街で見かけて一目惚れしました」と、その角張ったフォルムの虜になった経緯を語ってくれた。

「それで、この型(SF)を購入して乗っていたんですけど、9年ほど乗ってガタが出てくると、当時はまだ若かったですから維持していくのが大変になってしまって。それで別のクルマに乗り換えたのですが、自分も40代に差し掛かって、やっぱりあのSF型の無骨なスタイルが好きだな〜という気持ちが高まってきまして。もう一度あのクルマに乗りたい! と思い、再び購入することにしたんです」

そうして、人生2度目のSF型フォレスターを中古で購入したたむたむさん。しかも購入したクルマの初度登録年月が、以前乗っていたフォレスターとたまたま同じだったそうで「そんなところにも、ちょっと運命を感じてしまいました(笑)」と満面の笑みを浮かべる。

SF型こと初代フォレスターは、角が立ったスクエアなフォルムが特徴で、メカニズム的には同世代の初代インプレッサをベースにしている。発売当初は全車2.0リッターの水平対向4気筒ターボエンジンを搭載したが、後に2.0リッターと2.5リッターの自然吸気モデルも追加された。たむたむさんの愛車は、ターボエンジンを搭載した『S/tb』というグレードだ。

「やっぱりターボだと移動も楽で、遠乗りでも苦を感じずに出掛けらるんですよ。若い頃はしょっちゅう弾丸旅行や車中泊もしていましたけど、今は宿を取って気ままな旅行を楽しんでいます。1カ月に1回くらいのペースで、必ずどこかしらには出掛けていますけど、その土地の地酒を呑むことも楽しみのひとつなんです(笑)」

最近出掛けた旅行先で印象に残っているのが、福井県の三方五湖ですね。テレビで紹介されていたドライブインの“イカ丼”がどうしても食べたくて、3泊4日の温泉旅行を計画。イカ丼はもちろん、三方五湖レインボーラインから望む景色も満喫したそうだ。

「昔からMT派なんですけど、その土地その土地の景色が良い道を走る時も、やっぱりMT車で運転していた方が楽しいですね」

たむたむさんのフォレスターは見るからに車高が落とされ、随所にカスタマイズも見られるが、参考にしているのは当時SF型フォレスターに設定されていた、いわゆるSTiバージョンたちだ。
当時のSTiバージョンとしてまず挙げられるのは、S/tbをベースにノーマルより車高を30mmほど落とし、エアロパーツなどの専用アイテムを装備するなどSTiが独自のチューニングを加えた『S/tb-STi』および『S/tb-STi II』というグレード。また、モデル末期の2001年にはエンジンの吸排気系やECUをアップデートして、最高出力を250psとした「STi II タイプM」という800台限定モデルも登場した。

いずれの場合も、本来はロードクリアランスを大きく取るべきSUVを、あえてローダウンしているため、それって本末転倒では!? という意見が当時あったのも事実。一方で、人と一緒が嫌いなマニアのハートを強く刺激したのも確かで、角張ったボディがベタっと地を這うスタイルはSF型フォレスターの中で随一の個性とも言える。

「外装にはSTiバージョンの前後バンパーやサイドアンダースポイラー、リヤスポイラーを装着しています。今日は前のクルマに装着していた、ZERO SPORT製のリヤスポイラーも持ってきちゃいました(笑)。ぼちぼち付け替えてみようかなと思っているんです」

その他にも北米仕様のサイドマーカー付きウインカーランプを装着したり、ルーフレールをボディ同色で塗装したりと、見映えの変化も楽しんでいるたむたむさん。
アルミホイールは往年のアドバンRCというモデルで「昔、雑誌で見かけたGC8型インプレッサがすごくカッコよくて、そのクルマが白のアドバンRCを履いていたんです。そのイメージに近づきたくて選びました」とのことだ。

たむたむさんは『自分でできる整備は自分でする』という気持ちで愛車と向き合うことを大事にしており、今は見映えを変えるカスタマイズよりも、クルマのコンディションに気を配ったメンテナンスを重視しているそうだ。その想いと姿勢は、なんと部品取りとなる同じ型のフォレスターをもう一台用意し、それを保管しているというほどの熱量である。

「ある程度はインプレッサの部品が流用できるんですけど、エンジンのホース類なんかはもう製造終了しているので、やはり部品取り車があった方が安心なんですよね。エンジンのインタークーラーはBH型レガシィの純正流用なのですが、ノーマルのインタークーラーパイプは樹脂製で、レガシィのは金属でできているんですよ。耐久性の高さなども考慮して流用することにしたんです」

そういった部品に関する知識や情報を蓄え「できるだけ自分で管理してあげたい」と、手も動かしながらフォレスターの細部に目を行き渡らせるたむたむさん。言葉の端々からは、愛車に対する愛情が滲み出ている。

「やっぱり、この形が好きすぎて買い直したクルマですから、少しでも長く維持してあげたいんですよ」

取材時の走行距離は13万6495km。たむたむさんの愛情があれば、その倍や三倍の距離を走ることもまったく夢ではないだろう。好きな旅行にふらっと出かける。そんな何よりの生き甲斐を支えてくれるフォレスターは、これからもずっとたむたむさんのそばに寄り添い続けるに違いない。

(文: 小林秀雄 / 撮影: 中村レオ)

許可を得て取材を行っています
取材場所: 四季の里(福島県福島市荒井字上鷺西1-1)

[GAZOO編集部]

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