マツダスピードロードスター スポーツカー好きは親子の遺伝、希少車のあるべき姿を残していきたい伝承の心

  • GAZOO愛車取材会の会場である南長野運動公園で取材したマツダスピードロードスター(NB8C)

    マツダスピードロードスター(NB8C)



1989年のデビューから、4世代に渡って35年も継続生産されているロードスター。この日本を代表するライトウエイトスポーツは、今も各世代ともに熱心なオーナーに愛され続けている。
そんな歴代ロードスターには多くの限定モデルが存在するのだが、中でもスカイさんが所有する2001年式『マツダスピードロードスター(NB8C)』は、2世代目のNB8C 型をベースにわずか200台限定で生産されたというレア車である。

かつてはマツダのモータースポーツディビジョンとして、国内外で多くのレースに参戦したマツダスピード。中でも特に有名なのは1991年のル・マン24時間レースで、マツダ787Bを駆り、日本車では初となる総合優勝を飾る快挙を成し遂げた。そんなマツダスピードの名を冠した限定モデルは、NBロードスターの各種限定車の中でも、特に貴重な存在である。

もちろん名ばかりのマツダスピードではなく、マツダスピード製のエアロパーツやアイバッハ社と共同開発した専用サスペンション、さらに強化されたエンジンマウントやデフマウントに加え、エキゾ-ストマニホールドも専用品を装備するファインチューンが施されているのだ。

そんな希少なマツダスピードロードスターは、スカイさんの手元にやってきて3年。

「はじめはNDロードスターの購入を考えていたんですよ。あのシュッとした顔つきがカッコよく思えて、購入を目指して貯金をはじめたくらいですから。でもお金が溜まった時点で、改めて他の世代のロードスターも見てみようと思ったのですが、その時に目に入ったのがこのマツダスピードロードスターだったんです。子供の頃に父親が持っていたカーレースのDVDとかを見ていて、グループAのカルソニックスカイラインが好きだったこともあって、青いボディカラーに惹かれちゃったんです」

NDロードスターから見ると、NBロードスターは2世代前の時代に逆行したことになるが、早速実家にいるお父さん相談してみると意外なほどに好反応。と言うのも、お父さんも若い頃からクルマ好きで、R31スカイラインGTSやR32スカイラインGT-Rなどを乗り継いでいたため、NBロードスターにも好意的な印象があったと言う。

しかも、マツダスピードチューンの限定車とあれば、息子のクルマであっても、ちょっと乗ってみたくなるのは心情と言うわけだ。

こうしてお父さんとともに愛知県まで現車を見に行くこととり、そこで目にしたマツダスピードロードスターは、思っていた以上に鮮やかなブルーのボディが印象的で、なおかつほぼフルノーマルの状態にハードトップも付属しているといった好条件だったこともあって即購入を決意したという。

ちなみにマツダスピードロードスターのエンジンは、基本的にはノーマルのDOHC 1.8リッターのまま。しかし前述のようにエンジンマウントやデフマウントの強化、そして専用エキゾーストマニホールドによってチューニングが施されている。これらはピークパワーを求めるものではなく、ベースエンジンの良さを最大限に活かし、トルクフルなエンジンで乗って楽しいクルマへと仕上げられているのだ。

マツダスピードロードスターの特徴でもある、専用の“エキマニ”も当時のものがしっかりと残されている。まだ電子制御の介入が少なかった世代のモデルでもあるため、アナログ的な吸排気系チューニングでの効果がテキメンだったというのも、NBロードスターの魅力のひとつと言うわけだ。

現在住んでいるのが富山県のため、凍結防止剤の影響が心配の種。特に換えのき効かない限定車で、これからも長く乗っていきたいと考えているだけに、下回りもしっかりと防錆処理を行なっているのは愛情の表れ。それでもやはり心配になってしまうため、冬の間は350kmほど離れた実家まで持っていき、以前乗っていたホンダ・フィットに乗り換えて雪の期間を過ごしているというほど大切にしているという。つまりは、このマツダスピードロードスターは春から秋にかけ、その性能を存分に味わっているとのことであった。

「子供の頃からスポーツカーが好きで、父の影響もあってずっとスカイラインが好きだったんです。でも小学生の頃になるとイニシャルDの影響でAE86が好きになり、中高生になるとNSXがカッコ良いなって思うようになって。考えてみると好きだったクルマに共通するのは車高が低くて速いクルマなんですね。そんな中で行き着いた先がロードスターっていうのも、自分的には納得のいくチョイスだったのかもしれません」

購入の決め手となったひとつがスターリーブルーマイカの専用色でもある。このボディカラーに合わせ、内装のステッチなどもブルーが取り入れられているため、スカイさんのフェイバリットカラーが盛りだくさん。さらに青率を高めるため、メーターベゼルなどにもワンポイントのアクセントを加えているのは、オリジナリティを主張するポイントでもある。

加えてルームミラーのカバーにもブルーメタリックを組み合わせてアレンジ。基本的にはマツダスピードロードスターのノーマルスタイリングを崩すことなく、随所にアクセントを加えている。

「マツダスピードがチューニングをして完成させたノーマルがベストだと思っているので、大きなカスタマイズは今後も考えていません。でも、マツダスピードロードスターを知らない人が見るとカスタマイズしているように見られることが多いんですよね…」

純正装着されるエアロパーツも、もちろん何ひとつ欠品なくオリジナルのマツダスピード製をキープしている。特にNBロードスターが発売された2000年代初頭は、社外エアロパーツの装着が大流行し、大きくスタイリングを変えられるカスタマイズとして、クルマ好きの間では一般的していた時代でもあった。

マツダスピードからも同様にエアロがオプション化されていたことを考えると、この限定車を知らない人が見たらカスタマイズ車に見えてしまうというのも仕方のないことかもしれない。とは言っても、走らせていれば損傷の危険性もあるエアロパーツが、当時のまま残されているのは歴代オーナーが大切に乗っていた証。その意思をスカイさんも受け継ぎながら、限定車のあるべき姿を残していきたいと考えているのだ。

もちろんエアロパーツだけでなく、ホイールも純正のスペシャルアイテムをキープ。ブルーのボディカラーに映えるゴールドのホイールは、マツダスピードロードスターのスペシャル品。コントラストの強いアイテムもまた、スカイさんの心を鷲掴みした要因のひとつだ。とは言っても、現在はサスペンションを社外品に交換しているため、フルオリジナルとは言えないのが心残りなのだとか。しかし、純正サスペンションも所有しているため、ダンパーのオーバーホールが完了したら晴れてフルオリジナルと呼べる状態へと復活させるとのことだ。

愛車に対する思い入れと同時に、スカイさんが強く心に秘めているのが郷土愛。そのため車内には地元兵庫県の県鳥でもあるコウノトリと、現在住んでいる富山県の県鳥のライチョウという2匹のぬいぐるみが乗せられている。さらに、地元がロケ地にもなった“水曜どうでしょう”のDVDなども積み込み、地元を忘れないという心構えも十分だ。

「マツダスピードロードスターは、主に通勤で使用していますが、GWなどの長期休暇にはドライブに行ったり、実家への帰省やイベントへの遠征などに活躍してくれています。カスタマイズするよりも、乗って楽しみたいという感じですかね。まだ先のことになりますが、ロードスター40周年記念のイベントがあれば、このマツダスピードロードスターで参加したいですね。だからまだまだ大切に乗り続けていかなければなりません」

NDロードスターにひと目惚れしたことをきっかけに、さらにディープなロードスター沼に足を踏み入れたスカイさん。誕生から23年が経過した現状では、助手席側のウインドウレギュレーターが不調とは言うものの、その他、走りに関しては特に不具合は感じていない。

購入時に8万6000キロだったオドメーターはすでに13万9000キロ。3年で5万キロを走りながらも、不安は一切感じていないという。深い愛情に支えられた超レア限定車は、40周年記念を迎える5年後も変わらず走り続けていることだろう。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:南長野運動公園(長野オリンピックスタジアム)(長野県長野市篠ノ井東福寺320)

[GAZOO編集部]