リラックマからはじまったトヨタ・ヴィッツとのアクティブストーリー

  • GAZOO愛車取材会の会場である平城京朱雀門ひろばで取材した2016年式のトヨタ・ヴィッツ1.3F(NSP130)

    トヨタ・ヴィッツ1.3F(NSP130)

クルマを選ぶ基準は人それぞれだけれど「キッカケはリラックマです」という回答に出会ったのは初めてだ。
「このクルマを買ったのは32歳の時でした。就職するときに運転免許を取得して、仕事では稀に運転することもありましたが、AT限定でほとんどペーパードライバーって感じでした」という、ポリンさんの愛車は2016年式のトヨタヴィッツ1.3F(NSP130)である。

「よく友達のクルマの乗せてもらって出かけたり、1人でも旅行に行ったりしていました。けれど、いつも新幹線で移動するのは安くはないんですよね。友達ともいろいろなところに行くので、当時クルマにはまったく興味なかったけれど『どうせなら自分のクルマを買おうかな』と思ったんです。もちろんクルマに関する知識もなかったので、どんなクルマを買おうかと迷ったんですが、そこで思い出したのが“リラックマが登場するクルマのCM”でした」
小さいころからキティちゃんなど可愛いキャラクターやアイテムが好きで、雑貨屋さんで見かけたリラックマにどハマりしていたというポリンさんの記憶に刻まれていたのは、リラックマが助手席に乗ってかわいい仕草を連発するヴィッツのCMだった。

「そのタイミングではCMに出ていたモデルはもう販売されていなくて、そのひとつあとのモデルでしたが、ヴィッツを買うことにしました。その当時、リラックマの黄色いビーズクッションがお気に入りだったんですが、ちょうどそれとおなじイエローがオプションカラーで選べたのも、理由のひとつですね」

こうして2015年12月に契約し、翌2016年2月にポリンさんのもとにやってきたのが、鮮やかなルミナスイエローのトヨタ・ヴィッツ。現在は様々なカスタマイズが施されているが、購入した時はディーラーオプションパーツも付いていないソリッドな状態だったという。

「実は、子供の頃に自転車でコケて骨を折ってしまったことがあったんです。それ以来、乗り物を運転することに恐怖感があって、教習所に通っていた時は40km/h出すのも怖いといった状態でした」というポリンさん。しかし、愛車ヴィッツを手に入れたことで徐々に変化が…。

「地元を走って練習するところから始めたんですが、1ヵ月、2ヵ月と経つうちに少しずつ慣れてきて、徐々にですが遠いところにも行くようになりました。そのうち旅行にも出かけるようになったんです。もう、その頃にはすっかり運転が楽しくなっていて、1ヵ月に1000km近く、年間で1万kmくらい走るようになりました。おっかなびっくりの運転だった最初の頃と比べたら考えられないですよね」

すっかり運転することが楽しくなったポリンさんは、じょじょに愛車のカスタムにも興味を持つようになっていったという。

「もともと友達がサーキットによく行っていて、自分も乗せてもらうことがあったんです。そうやって走っているのを見たりとか、SUPER GTを見るようにもなって、自分も段々と走りたくなったんですよ。2019年に勤めていた会社を退職して、転職活動中に『自分でも走ってみようかな?』となって、ヘルメットスーツとグローブと買って、それが初めてのサーキット走行でしたね。最初はもう全然タイムもでなくて。でも、ハマっちゃいました」

はじめてのサーキット走行に向け『走っているクルマを見てカッコいいと思った』というTRDエアロを装着したのを皮切りに、タイヤ&ホイールを交換し、ブレーキも強化。シートもレカロのセミバケに交換したという。
「ウイングも未塗装の製品を買ってきてショップで装着してもらったし、マフラーはお気に入りの車検対応品が見つけられなかったので、とりあえず雰囲気だけでも、とマフラーカッターを装着しました。エンジンはエアクリーナーのフィルターだけは変えていますけど、それ以外はノーマルですね」

取材会ではスタッドレス用のエンケイ製ホイールを装着していたが、夏場はサーキット系ユーザーには定番のボルクレーシングTE37を履いているという。そして最近、タイヤをアドバンネオバに交換したら、サーキットでのラップタイムが1秒も短縮できたそうだ。
「実は数日前にクスコのスタビライザーを取り付けたんですよ。もしかしたら作業が終わらなくて、今日の撮影会に参加できないかも!? なんて心配したんですけど、どうにか間に合いましたよ!」と、とても楽しそうに話してくれた。

ひとりでドライブに出かけることが多いと言いつつも、年に3回ほどは兵庫県のセントラルサーキット等で開催される走行会に参加しているという。また、石川や富山で行なわれているオフ会にも参加するなど、さまざまな形でヴィッツとのカーライフを満喫しているそうだ。

「ヴィッツ仲間ともSNSでフォローしあったりして、旅行先でタイミングが合えば一緒に並べたり写真を撮ったりして楽しいですね」

ちなみに、ポリンさんがクルマにハマったキッカケであるリラックマも、ヴィッツと同じくらい大切な存在としてそばにあり続けている。車内はもちろん、自宅にもグッズがたくさんあるそうだ。

「置き場所がなくてもう増やせないですね(笑)。車内のリラックマはドライブのときは助手席で、サーキットに行く時はお留守番してもらっています」と、相当な入れ込み具合だ。

「今はダウンサスなので、足まわりがタイヤについていってないみたいで、この先は車高調整式のサスペンションに交換してみたいですね。それから、夢としてはエンジンのスワップもしてみたいです。最終型のセリカなどに搭載されている2ZZエンジンにしたいんですけど、色々と難しいこともあるようなのですが、海外では実例もあるので」

「このヴィッツを購入した時は、メーカーオプションなどは付けなかったんです。けど、ちょっとずつアフターパーツを装着していくうちに、ますます気に入ってしまって…。正直、サーキットを速く走りたいなら、エンジンを載せ替えるとかではなく、GRヤリスに乗り換えるという選択肢もあるんです。けれど、ヴィッツを手放すことなんて考えられないですからね」

お気に入りのキャラクターがもたらしてくれた、想像もしなかった出会い。興味のなかったクルマや運転が大好きになり、フルノーマルだった新車は自分好みに育て上げ、名実ともに愛車となった。
今日もヴィッツの助手席にリラックマを乗せて、ポリンさんはドライブを楽しんでいることだろう。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 清水良太郎)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:平城京朱雀門ひろば(奈良県奈良市二条大路南4-6-1)

[GAZOO編集部]