乗るたびにグランドツアラーとしての懐の深さを実感。レガシィツーリングワゴンはセダンに負けない理想の一台

  • GAZOO愛車取材会の会場である世界遺産の万田坑で取材したスバル・レガシィツーリングワゴン

    スバル・レガシィツーリングワゴン



子供の頃からクルマが大好きだったという福岡県在住の『らざほ』さん。興味の対象となっていたのは流麗なスタイリングのスポーツカーやワイルドな4駆などではなく、ひと昔前には大衆車と呼ばれていたような、ごく普通の4ドアセダンであったという。

その熱量は中学、高校時代に観た『TAXI』や『トランスポーター』といった映画の影響によって更なる高まりを見せ『将来、運転免許を取ったら、絶対マニュアルミッションの4ドアセダンに乗るぞ』という決意を固めたという。

「いろんな候補の中から最終的にレガシィB4に絞りました。スバル車を好きになったのは、昔、父がインプレッサに乗っていたことや、大学時代の友人の影響ですね。2020年に社会人としてデビューしたら、すぐにでも手に入れる予定でしたが、マニュアル車が大前提だったこともあって、予算に合った物件がなかなか見つかりませんでした。そうやって迷っている間に世の中はコロナ禍に。これはホントに想定外で、移動制限もどんどん厳しくなって、自由に販売店を見て回ることさえ困難になってしまったんです」

『早く愛車が欲しい』という焦りの気持ちとは裏腹に、物件探しは思うように進まず…。先が見えてこない状況に、一時は購入を断念することも考えたというらざほさん。そんな時、ふと思い浮かんだのがレガシィツーリングワゴン(BP5型)の存在であった。

新車当時は大ヒットを連発していたワゴンボディのレガシィは、4ドアセダンのB4と比較すると中古車の物件数はケタ違いで、ボディカラーや装備などの選択幅も大きく広がることに。

それから数ヵ月後、ようやく条件に見合った一台をネット上で発見。その車両は走行7万kmのワンオーナー車で、神奈川県にある販売店の物件だった。

「すぐに問い合わせたところ『まだありますよ』との回答が。実車確認はしておきたかったので、日帰りで神奈川まで行って来ました。コロナ感染の懸念もあったので、とにかく短時間で九州に戻るのが最善と思い、試乗は諦めましたが、見た目の状態がとても良かったのでその場で購入を決断しました。何より最大の決め手となったのは、そのスタイリングですね。実車は写真以上にカッコよくて、あれだけセダンにこだわっていたのに、ツーリングワゴン独特の伸びやかなルーフラインに惚れ込んでしまったのです」

購入した車両は、2リッターターボを搭載したGTモデルの中でもサンルーフやパワーシートを備えた上級グレードで、トランスミッションは希望通りの5速マニュアル。

手元に届いてから初めて運転した時の印象は、ツインスクロールターボがもたらすパワフルさや、4輪駆動の安定感、落ち着いた色調のインテリアなど、すべてが想像以上だったと語るらざほさん。

職場では、同期入社組の中には残念ながらクルマ好きはいなかったが、らざほさんがレガシィを購入したというウワサは人づてに社内に広まっていき、スカイラインGT-Rやシビック タイプR、そしてミニなどに乗るクルマ好きの先輩社員達から声を掛けられるようになったという。

「職場の先輩だけでなく、紹介の紹介という流れで、個性的な愛車を持つ方々とも知り合いになれたのもこのクルマのおかげですね。コロナ騒動が落ち着いた後は、桜の時期になるとみんなで長崎や佐賀、大分方面へのショートツーリングを楽しんでいます。もちろん、一人でも暇を見つけてはあちこち出掛けていますね」

「観光スポットやご当地グルメの食べ歩きなどにはあまり興味が無くて、とにかくずっと運転していたいタイプなんです(笑)。九州はほぼ行き尽くしたし、中国方面も山口、広島辺りで定番とされているドライブコースもほぼ制覇しました。私の実家は徳島県なんですが、帰省する時は愛媛行きのフェリーを使ってレガシィで帰っています。九州もイイけど、四国にも景色が素敵な場所がたくさんあるんですよ。そんな場所にクルマを停めて、ラゲッジに座って飲むコーヒーの味は格別。こんな使い方ができるのもワゴンならではですね」

購入時はフルノーマルだったクルマだが、現在ではシンプルさを基本にして、BBS製の鍛造ホイールや、HKS製レガリスマフラー、HKS製ハイパーMAX-S車高調整式サスペンションなど、信頼性の高いパーツを装着。自分流のアレンジをプラスしながら、ジェントルなカスタマイズを楽しんでいる。

さらにドライブには音楽が欠かせないということで、カーオーディオ専門店でスピーカーをアップグレードした他、ドア周りの制振処理も実施。購入から4年間で7万km以上を走破しているが、各部の整備やメンテナンスも定期的に行なっており、オルタネーターやタイミングベルト、ハブベアリングといった年式相応の劣化部分を交換した以外、これまで大きなトラブルは無いという。

最近では、機関部分への負担の一因とされている短距離使用を控えるべく、近場の移動には自転車を活用するなど、コンディションの維持に対する細やかな配慮もしているそうだ。

「ダッシュボードには、この年代のスバル車の持病とされているベタつきが出てきているので、オーストラリア製のカバーを取り付けています。ステアリングにも表皮の劣化が見られますが、ドアの内張りやスカッフプレートには新車時からのビニールが残され、前オーナーさんがとても大事にしていたクルマだったことが分かります。私もその意思を受け継いで、無茶をさせることなく大切に乗り続けたいと思います。洗車は結構こまめに行なっていて、早く済ませようとしている時でも2〜3時間。スタートが遅れて昼過ぎからになると、夜中までかかっちゃいますネ」

2003年にBP型レガシィが発売された当時のコンセプトは『世界に通用するグランドツーリングカー』。その言葉の通り、市街地から高速、悪天候時など、あらゆる環境下でも“自分が思うままの走り”を堪能できることが、このクルマの最大の魅力だと語るらざほさん。仕事で疲れた時でもレガシィに乗れば心身共にリフレッシュされるとのことで、一回のドライブで数百キロ走ることはごく当たり前となっているそうだ。

「見た目はスマートなのにパワーは280ps(マニュアル車)と強力で、軽く踏み込むだけでもスポーツカーのような加速を発揮してくれるんです。ワゴンとしての実用性も高くて、以前、友達の引っ越しを手伝った時も大活躍しました。荷物の出し入れでの傷や汚れは気にしていません。後でキレイにすれば良いので。それより、このクルマの良さを友達に知ってもらえたことの方が嬉しかったですね。以前までは“運転免許を取ってから最初のクルマ”というのは、運転に慣れるための練習用で、2〜3年乗ったら買い替えるものと思っていました。けど、レガシィに乗るようになってから考えが変わりました。最初からいきなり理想の一台と出会えた私は、本当にラッキーですね」

当初は購入候補にすら挙がっていなかったはずのツーリングワゴンだが、今ではかけがえのない相棒に。最後に“強いて欠点を探すとしたら?”の問いかけに対しては「他に欲しいクルマが思い浮かばなくなったこと」との答えが。

レガシィとらざほさんとの長い旅路は、これからが本番と言えそうだ。

(文: 高橋陽介 / 撮影: 西野キヨシ)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:三池炭鉱 万田坑(熊本県荒尾市原万田200-2)

[GAZOO編集部]

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