好きなものを組み合わせた結果生まれたのは、オールラウンダーなカローラレビン(AE111)
ご自身の好きなものを愛車で表現するオーナーはとても多い。
そして「昔のレースのカラーリングとアニメが好きだったので組み合わせて楽しんでいます」という今回ご紹介するオーナーさんも、クルマをひと目見れば伝わる通り熱いクルマ好きのおひとりだ。
この個性あふれるトヨタカローラレビン(AE111)のオーナーは、神奈川県在住のトレビンさん(31歳)。トレビンさんにとっては免許を取得してから初めてのマイカーで、手に入れたのは今から10年前の2013年で彼が大学4年生だった頃に遡る。
「探していた条件がトヨタ車で自宅の狭いスペースに駐車できるボディサイズで、サーキット走行もできるスポーティーなクルマだったんです。若いうちにクーペのような実用性よりもかっこよさを重視した選択をしたかったというのがありまして。
候補はほかにもスターレットやアルテッツァ、セリカといくつかあったんですけど、たまたま最初に出てきたのがこのクルマだったんですよ。で、乗ってみたら意外と良かったんですよね」
ちなみに、トヨタ車を選んだのはこのころちょうどトヨタ関係のメーカーへの就職が決まっていたことと、親のクルマもマークIIなどずっとトヨタ車だったことでトヨタ車への信頼が強かったからという。
トレビンさんが購入したのは1997年式のトヨタカローラレビン(AE111)のBZ-Rグレード、マニュアル仕様車だ。グレードに対するこだわりはとくになかったのだとか。
「購入時はどノーマルでした。最初その状態でサーキットを走ってみて『タイヤをもっとこういうのに換えてみたいな』という感じで積み重ねていろいろいじっているうちに、10年経ってこんな感じになりました(笑)」
トレビンさんは現在まで年5回ほどの頻度で関東近辺のミニサーキットを走っているそうだが、このレビンは普段の生活のメインカーでもあり、通勤や買い物もこのクルマでこなす。そのため性能面ではガチガチのサーキット仕様ではなく、普段の通勤でも運転が楽しめるクルマに仕上げているのがポイントだ。
「エアロは昔そんなに高くなかったので中古のものをネットオークションで買いましたね。車高調とブレーキパッドはエンドレスを愛用しています。
室内で変えているのはステアリングとシート、あとはスピードメーターが動かなくなった代わりに後付けしたデジタルメーターくらいです。あ、サーキットのラップカウンターも追加しています。カスタムするというよりも、とにかく普通に乗っているだけでも十分楽しいです!」
中でも、一番気になるのはなんといってもこのオリジナルのカラーリングだろう。この仕様にしたのは2年前とのこと。
「僕はもともとレースが好きで、このFETカラーは昔のJTCCというレースに出ていたカローラのデザインをこのクルマにはめてみたらこうなりました。実は何回かころころとデザインを変えていて、前はデンソーサードでその前もまた違うカラーリングで今がたまたまFETカラーという感じです」
ちなみにJTCC(全日本ツーリングカー選手権)とは1994年から1998年まで開催されていた4ドアセダンのレースだ。
ちなみに彼の見た目へのこだわりはこれだけではなかった。
「ヘッドライトをトレノ純正にしているんですよ。中身が黒かシルバーの違いだけなんですけど、黒の方がシュッとしていてかっこいいなと。その当時はまだ真っ白のクルマでなにかワンポイントが欲しいなと思っていて、ちょうどネットオークションで購入しやすい値段で出品されていたので買ってみたら、思った通りのイメージでした」
トレビンさんのニックネームの由来はこれだと気づいたのは、言うまでもない。
そんな彼は、同じように実在したレーシングカーのデザインを楽しむ仲間とSNSを通して繋がるようになり、取材時に開催されていたスーパー耐久第2戦富士にもその仲間と遊びに来たのだという。
「24時間レースは毎回来ていますね。トランクや後部座席にテントやキャンプ道具を詰め込んで、友達と一緒にダンロップコーナーのところに設営しました。
レースって本当に観ていておもしろいスポーツですよね。僕にとっては野球と同じで、クルマという道具を使ったスポーツだと思っているんです。スーパー耐久だけじゃなくて、SUPER GTやスーパーフォーミュラーも大好きです」
JTCC参戦車両のリスペクトデザインといい、サーキット走行も楽しむトレビンさんは根っからのレース好きなのだと改めて感じた。
そんなトレビンさんが、人生最初のマイカーであるこのクルマに乗るようになってすでに10年が経過するわけだが、5年ほど前にはエンジンブローしてしまい同じ型のエンジンに載せ替えたこともあったという。
その時のことを「手間がかかって一番このクルマに乗れない時間が長かった」と振り返っていたが、気になるのはそんなことがありながらも現在まで乗り続けている理由だろう。
「それが僕自身もわからないところで、なぜか降りたくなくなっちゃったんですよ。愛着なのか呪いなのか…(苦笑)。
もともと買った時は大学生でしかもサーキットで走ると決めていたので、どうせ潰してしまうだろうし早く乗り替えることになりそうだと思っていたはずなんですけどね。でも今はこれが事故でダメになるか車検に通らなくなるまでは、正直乗り替える気はまったくないです」
きっともう理屈ではないのだろう。
ちなみに古いクルマに乗り続けると決めた場合、軽自動車などのセカンドカーを所有する方も多いが、彼のセカンドカーはなんとJZA70スープラだという。なんでも遠出のドライブ用なのだとか。
ご本人曰く「後から買ったのでセカンドカーです(笑)」とのこと。トレビンさんの愛車選びは、便利さより運転の楽しさのほうが重要なのだろう。
最後に、気になる次のカラーリングについても聞いてみたところ、「難しいことを聞きますね(笑)」と苦笑い。
「絶賛検討中です(笑)。一度全部真っ白に戻してから、カストロールカラーをやってみるかサードに戻るのか…。あるいは、今S耐で走っているクルマのデザインでもおもしろいものないかなって探していますよ!」
トレビンさんにとってこのカローラレビンは、大好きなレース観戦やアニメ、走る楽しさにDIY作業と、ご自身の好きなものをすべて体現するための唯一無二のツールであり、大切な相棒なのだ。
このレビンが手元にある限り、彼のカーライフはこの先もワクワクしたものになるに違いない。
(文:西本尚恵/撮影:中村レオ)
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