傷もヤレも“生きた証”。34年を駆け抜けるトヨタ・カローラレビン(AE86)と叶えた日本縦断の夢
「レビンは“空気”みたいな存在なんです」
そう語るのは、34年間トヨタ・カローラレビンGTアペックス(AE86)とも暮らしてきた「珊瑚」さん。
空気のような存在と聞くと、多くの人が「無関心な存在」というイメージを抱くかもしれませんが、珊瑚さんにとっての愛車は「一心同体」のような存在に近いものでした。そんな珊瑚さんと愛車レビン(ハチロク)との「愛車ライフ」を紹介します。
――まずは、珊瑚さんとハチロクとの出会いを教えてください
最初は「ハチロク」なんて名前すら知らなかったんです(笑)。当時好きな人が乗っていた白黒のツートンカラーでリトラクタブルヘッドライトのクルマが忘れられなくて。それはハチロクでも「スプリンタートレノ」やったんですけど。
――そこから愛車と巡り逢うまでにどんな出来事が?
それから「ハチロクに乗りたい!」って気持ちだけで探し始めました。全然見つからなくて2ヶ月ほど必死に探して、ようやく見つけたのがこの「カローラレビン」だったんです。
最初は「トレノちゃうやん!」って思いましたけど、実車を目の前にした瞬間に「これや!」って思いました。走行距離は2万キロ。AT仕様だったからか、サーキットで酷使されてないコンディションの良さも購入の決め手でした。サーキットも走るようになり、夢だったハチロクとのカーライフが始まりました。
――「運命の出会い」ですね!愛車を手に入れた当時の思い出は?
初めて自分のお金で買ったクルマだったので、めっちゃうれしかったです。でも、どうしてもMT仕様に変えたくて、知り合いの整備士さんに頼み込んで載せ替えてもらいました。
そうしたら運転の楽しさが一気に広がりましたね。両手両足を使って操作するのが楽しい!特に2速から3速にシフトアップするフィーリングが好きです。遠くへ出かけるときは、やっぱりMTのクルマが良いですね。
――一時期、ボディを迷彩柄にラッピングしていたことがあるとか?
貼っていたのは6、7年前のことです。「ハチロクが空気みたいな存在になってきたな」と感じ始めていた頃で、気分転換のつもりで迷彩のカッティングシートを貼ったんですけど、すごく気に入ってましたね。
名古屋のハチロクオーナーさんたちと、2日間かけて一緒に貼ったんです。真夏の暑い中、ドライヤーをかけながら汗だくで(笑)。
――仲間との共作、素敵です。このレビンで気に入っているポイントも教えてください
やっぱり、車内の「ヤレた感じ」が好きですね。
ハチロクは「生きた証」が残ってるほうが、硬派な感じがして好きです。例えば、使い込んだレザーバッグが味わい深くなるのと一緒で、すべてがこのクルマの歴史であり、魅力やと思っています。
――家族の支えがあってこそ、維持できた部分ってあるのでしょうか?
それは大きいです。夫も結婚前はハチロク乗りでした。彼はハチロクを降りましたけど、ずっと「大事に乗れよ」って言い続けてくれています。
このレビンに乗りながら娘二人を育てていたので、メンテナンス費用や車検代が厳しかった時期は、深夜バイトをして車検代を稼いだこともありました。
――「大切に乗れよ」に、応援以上の想いを感じます。珊瑚さんのお子さんがレビンを運転したとお聞きました!
次女が運転してくれたときは、ホンマにうれしかったです。チャイルドシートに座ってた子が、運転席にいる姿を見られて感無量でした。
幼稚園の頃はオフ会に行くのも嫌がっていたんですが、その後「ハチロクが好きになりました」ってレビンのイラストを描いた手紙をくれたんです。これは今でも大事にしている宝物ですね。
――そして、悲願だった「愛車と日本縦断」の達成、おめでとうございます!
めっちゃうれしいです!
2023年の4月から5月にかけて、沖縄県を残す都道府県へ行くことができました。そして2024年4月にはついに沖縄県にも行けて、夢だった日本縦断をこのレビンと果たすことができました。
――レビンに車中泊されながらの旅。苦労したこと、うれしかったことを教えてください
まずは、旅のプランを立てるのが大変でした。安全第一、しっかり準備することが大事やなと思って。立ち寄るスポットを決めて、車中泊可能な道の駅をリサーチして、どこの日帰り温泉に入るかまで考えて、きっちりスケジュールを立てたんです。
車中泊をするには、暗くなる前に到着せなあかんから、早め早めの行動が鉄則。明るいうちに温泉を済ませて、道の駅に移動するっていう流れを毎日繰り返してました。
うれしかったことは、旅の終着点でもある沖縄県に上陸した瞬間ですね。感動のあまり全身に電流が走ったかのような震えが走って、涙が出ました。SNSでつながっていた沖縄のハチロク仲間が出迎えてくれたのも、めちゃくちゃうれしかったです。
この旅が成功したのもレビンがしっかり走ってくれたからです。大きなトラブルは一切なかった。ホンマに頼りになる相棒です!
――感動の瞬間が伝わってきます!沖縄へ行くきっかけとなった出来事は何だったんですか?
「もう一度北海道に行くなら、まだ行ってない沖縄に行きーや」と娘たちが背中を押してくれたんです。沖縄を往復するフェリー代があまりにも高額なので諦めてたんですが、今しかないと決意しました。
――さまざまな土地を訪れたと思うのですが、素敵な出会いはありましたか?
山口県の秋吉台カルストロードで、何気なく話しかけてきたご夫婦と、次に行った温泉でもバッタリ再会したんです。すっかり意気投合して、群馬県の旅のときは「お土産持っていくわ!」と言って、ホンマに群馬まで来てくれました。こんなご縁が生まれるから、旅っていいなぁと思います。
――グッときます!印象に残る場所はたくさんあったと思いますが、その中でも心に残る場所ってありましたか?
南三陸町の震災復興祈念公園ですね。テレビでは何度も見たことがあって、宮城県へ入ったら絶対に行こうと決めていました。
やっぱり自分の足で現地に立つと、全然違いました。あの場所に暮らしていた方々を思うと、胸にズシンときましたね。なんともいえない気持ちがこみあげてきて。
それまでは震災って、自分にとって遠い話やと思っていた部分がどこかにあったと思います。でも、こうして実際に自分の目で見ると「まだ続いている現実なんや」と気づかされます。あの景色は、一生忘れられへんと思います。
――これからのカーライフ、レビンに語りかけるならどんなことを伝えたいですか?
「お前と出会って34年。ミッションが壊れて泣いたり、色んなことがあったけど、ほんまによく走ってくれた。念願の日本縦断も一緒に走り切ったし、お前と一緒に見た景色、感じた風、すべてが宝物や。まだまだ一緒に走ろな!」でしょうか。
一時期、私がこの世を去ったらレビンを廃車にすることも考えたんです。でも、今はクルマとして希少価値があり、なにより長年大切にしてきたクルマなので売られてしまうのは悲しい。だから廃車にはしないと思います。そのとき時代がどう変わっているかわからないけれど、娘たちにまかせます(笑)。
愛車レビンと挑んだ「日本縦断の旅」は、珊瑚さんにとっては観光旅行だけでなく、人生に必要な「心の節目」を作る集大成のような旅だったように感じました。
「空気のような存在」。その言葉には、愛車と過ごした時間の重みと愛情が滲んでいました。子育て、愛車の維持に苦労した日々、お子さんが愛車を運転した日、そして夢だった日本縦断の旅。珊瑚さんとレビンの「旅」は、これからも続きます。
【Instagram】
Chiyango(日常アカウント)さん
sangoshow.35(旅専用アカウント)さん
【TikTok】
86sango 珊瑚さん
(文:野鶴美和)
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