21年前にさほど興味なく購入したトヨタMR2、今では肌に馴染んだ相棒
MR2に乗りたかったというわけではなく、むしろ妥協して購入したクルマだと話してくれた「辻村さん」。それなのに、気付けば人生の半分以上を一緒に過ごしているそうです。
「多分このまま手放さない、いや、手放せない気がする」とのこと。なぜ辻村さんがそう思うようになったのか、を伺ってきました。今回は、辻村さん×MR2のお話をお届けします。
――ずっと乗ってらっしゃるとお伺いしたので、すごく愛着があるのかと思っていました。
いやいやいや(笑)!ありますよ? あるんですけど、足車として乗っているので、愛着と言われると少し違う気がして……。
――正直に言って下さい。本当は?
ありますって(笑)!でも、21年間ほぼ毎日乗っているから、いて当たり前という存在なんですよね。愛でてきたというよりは、一緒に生活してきたという感じです。
――そもそも、乗り始めたキッカケは何だったのですか?
父の会社の後輩が、結婚して子供が産まれたから、MR2を手放すということで譲り受けたんです。当時僕は20歳の大学2年生で、バイトも色々しましたが、クルマを買うまでは手が回らなかったんですよ。
それで、ずっとクルマが欲しいと言っていた僕を見かねた父が、「程度の良いスポーツカーが20万円で買えるぞ!」と連絡をくれたんです。値段的にも、それならと何とかなるかなという感じだったんですけど……、MR2か〜みたいなのは正直ありましたね。
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――あまり、好きなタイプのクルマではなかったのですか?
はい……。オーナーさんが、新車で購入して11年間大事に乗ってきたということで状態は良かったのですが……興味のないクルマだったんですよ。
ぶっちゃけると、小学1年生の時によく街中で見かけた、エンジンを後ろに積んでいる〝変なクルマ″という認識しかありませんでした(笑)。今となってはすごく個性的なクルマだと思いますけどね!
――そこから、よく購入するに至りましたね。
ボディカラーが赤色だったからです。赤いセーター、赤いペン、赤いスカイライン鉄仮面、何故か赤色が好きだったんですよ。それは今も変わらずで、身の回りのものは赤だらけです(笑)。
――なるほど。実際に愛車として迎え入れてどうでしたか?
エンジンが後ろにあるので、曲がる時もフロントがすっと入って前が軽く、面白い走り味のクルマだなと感じました。ただ、簡単にいうと板3枚ですぐ後ろがエンジンなので、「うるせーなー」とも思っていましたね(笑)。
今はその音の良さに気付けましたけど、これ以外に乗るクルマは無かったから、乗るしかないんだぞ!という背水の陣的な要素が強かったです(笑)。
――あはは(笑)!初めての愛車がMR2って、かなりパンチが効いてますものね!
かなり手こずりました……。というのも、マニュアル車に教習所以来乗っていなかったので、エンストしまくりだったんですよ。だから、公道を走るのが怖くて、人もクルマも来ないような山奥で、夜な夜な坂道発進の練習をしていました。
あとは、そういう運転技術だけではなくて、維持も大変で……。僕が譲り受けた時点で11年落ちだったんですけど、大学を卒業してすぐにエアコンが壊れて、16万くらいかけて修理したり、コンプレッサーの調子が悪くなって、また修理にお金がかかったりと、なかなか手を焼きましたね。
――あの…、身も蓋もない質問なんですけど…。そこまで乗りたかったわけでもなくて、そんなに手がかかるなら、乗り換えてしまえば良かったのでは?
いつもそばにいたクルマだったから、なんというか……別れたくないんです。例えば、就職試験にもこれで行ったし、仲良しの同期のお母さんが亡くなったときもこれで行った。関東に転勤になった時もコイツはついてきてくれたんです。
人生を共にしてきた部分があって、乗っていると不思議と自分が1番自然体でいられるクルマなんですよ。乗れば勝手が分かるし肌に馴染む、そういう間柄にあると言えばいいのかな。
それに、よく見るとスタイルがすごく良いでしょう?あとは、2人乗りだから、どうしても乗る人を選んじゃう。そういう理由で、オーナーがコロコロ変わってしまうという儚さも好きなんです。
あとはね、コイツは初代オーナーさんの時から車検を切らずにずっと乗り続けているから、新車からずっと同じ2桁ナンバーが付いているんです。そこもすごいところでしょ?あとはね……
――トドのつまり、めちゃくちゃ好きってことでOKですか?
いや、好きというか……、肌に馴染んじゃって一緒にいると心地よいというか。猫可愛がりしてるわけじゃないから、愛着と言われるとまた違う気がするし。
――いや、もう好きって認めちゃいましょう。ね?
はい……。こんなにも時を一緒に過ごしているんだから、そりゃ好き以外の何者でもないですよね。
2003年1月に行われた成人式の時に、ふざけてMR2と一緒に写真を撮ったんですよ。それから20年が経ったんですけど、友達が40歳のセカンド成人式をやろうよ!と誘ってくれたんです。
幸い体型が変わっていなかったから、成人式の時のスーツを着て、同じ格好をして写真を撮りました。また、20年後も撮れたらいいね〜なんて話していたんですけどね。多分、その時もコイツ(MR2)は側にいると思います。なんというか、別れたくないからさ〜。
きっと、辻村さんはこのクルマに乗り続けることでしょう。それは、義務でもなんでもなく、それが自然なこととして。
クルマと人が寄り添うカーライフというのは、まさに辻村さんのことかもしれませんね。
(文:矢田部明子)
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