旧車界隈には同世代が意外といた!高校時代から憧れのクラウンGS121に乗る29歳の旧車ライフ
こうしてクルマ好きの方にインタビューをしていると、いつかは旧車に乗りたい!という方が何年か前に比べて増えていると感じます。
ただ、維持費が気になる……、良い個体が残っていなさそう……、などという理由から、諦めてしまう人も多いようです。ところが、今回お話しを伺った健太さんによれば「意外といけちゃうんですよ」とのこと。
健太さん×クラウンGS121 のお話をお届けします。
――旧車を維持するのって大変そうですが、意外といけちゃうものなのでしょうか?
実際に乗ってみて、僕はそう感じました。今乗っているクラウンは3年前のクリスマスに購入しているんですけど、その時は今ほど人気がなくて車両価格が20万円でした。
維持に関しては、噂で聞いていたよりも何とかなるなという印象を受けました。それは、現段階でもです♪
――というか、なぜ“手がかかる”と言われている旧車を購入しようと思ったのですか?
中学2年生になるまで、家のクルマが81のマークIIだったんです。僕の親は転勤族だったので、横浜と北海道を行ったり来たりしていたんですけど、北海道に住んでいるときに、色々な場所に連れて行ってもらったんですよ。
そういう家族との時間が自分にとっては宝物で、クルマとセットで覚えているんです。だから、「81のマークII=楽しい」とかいう定義が自分の中で出来ちゃったんだと思います。
ちなみに、僕が自分で免許を取って初めて乗ったクルマは、もちろん 81のマークIIでした。
――なるほど!でも、それならなぜクラウンGS121に乗り替えたのですか?
最初に乗るクルマは81のマークIIと決めていたのですが、マークIIの影響で、その年代のクルマを他にも乗ってみたいと感じるようになっていました。
高校生の頃、YouTubeでマークIIと同じ世代のクルマを検索していると、石畳の上を車体を揺らさずに走っているCMがヒットしたんです。
一昔前のリンカーンとかキャデラックを思わせる風貌のド派手なグリルに大きいバンパー、超高級感の漂うクルマに一目惚れしてしまったんですよね。
何のクルマだろう?とケータイで即効調べると、クラウンGS121ということが判明し、乗りたいと思うようになりました。だから、一目惚れってやつですかね。
――じゃあ、恋が実ったわけですね♡
そりゃあうれしかったですよ!ようやく高校生の頃から欲しかったクルマに乗れるんだと、引き取りに行く前日は全く眠れませんでしたから(笑)。
それまでに買うチャンスはあったんですけど、金銭的に余裕がなかったり、働くようになって購入出来るようになったのに、良い個体が見つからずとタイミングがなかなか合わなくて焦らされたんです(笑)。
その時のオーナーさんが「走る曲がる止まるは問題ない」とのことだったので、仮ナンバーをつけて帰ってきました。
――念願のクラウンGS121はどうでしたか?
走り出した瞬間にマークIIとは違うなと思いました。段差を越えたときに、ミシッと軋むような音がして、バネで振動を上下にいなしている感じがするんです。
2000ccなので速くはないのですが、操作フィールが独特で、ゆったりと船みたいというか、スポーティーとは無縁な感じです。
あと、やっぱり豪華!インパネにはソフトパッドを多用しているし、絨毯もふわふわ。こんなに厚くする必要あるの!? という感じ。
―――船ですか。永遠に揺られたくなっちゃいますね(笑)。
そうなんですよ!しかも、どういうシチュエーションで走っても疲れることがないんです。
ベロア生地で出来たシートが柔らかすぎず硬すぎず、お尻が痛くなったりしないから、横浜から門司港であったレトロカーミーティングに参加するために、ほぼぶっ通しで走ったこともありますよ。
そして、改めて感じたのは、運転していてしっくりくるのは やはりこの年式のクルマだなということです。
そりゃあ今のクルマに比べると、安全機能や装備は最新じゃないけど、運転席に座った時に視界に入る内装デザイン、細いハンドルの握り心地、エンジン音や足周りなど、現代のクルマでは出せない味があります。
驚くことに燃費も良くて、11 km/Lくらい走るんですよ。あれ?ガソリンメーター壊れたのかな?と思ったら、マジで走るんです。まぁ、その時はクルマの調子も良かったしなぁ。
―――ということは、今は悪いと……。
エンジンをセミオーバーホールしたんですけど、1年経って年末にやっと帰ってきました。な、な、長った……。どうやら、前のオーナーさんが冷却水の管理を適当にやっていたみたいで、配管からの冷却水漏れでオーバービートしたようです。
―――そんなに長い入院だったのですね。最初の話に戻りますが、それを聞くとやっぱり大変そうです。
あはは(笑)。それだけ聞くとそうかもですけど、予防整備などをしていたら本当に何とかなるんですよ。
これは車種にもよりますが、僕のは部品も絶望的ではないし、汎用品で出てる部品をそのまま使えますしね。1G型エンジンだから、部品が多いというのもあるかなぁ。
―――部品だけじゃなくて、修理できる人を見つけるのも大変そうです。
確かに、それはあるかもしれません。だけど、そういうのは旧車仲間が教えてくれます。そして、友達はすぐに出来るし、全国にいます。面倒見の良い方が多いし、僕は旧車との付き合い方を大先輩から教えていただいた部分が大きいですよ。
あとは、同じ車種に乗っているオーナーさんがSNSで何かしらの発信をしてくれているので、参考にするといったわけです。
―――大先輩ということは、歳上の方が多いのですか?
それがそうでもないんですよ。Xを見ていると、僕よりうんと年下の子も乗っているんです。20ソアラだとか31のレパードとか。今時の若い子でも興味があるんだな〜と感心しちゃいます。
―――健太さんも29歳ですよね?充分若いですよ。35歳から、シミ、シワ、たるみとか一気にくるんですから。美容液とか高価なものとかetc……
・・・…でね(話を変えた)、同い年、年下、年上と幅広い年代の仲間がいるから、何かあっても心強いし、相談にも乗ってくれます。大丈夫なんです。何とかなるんです。
旧車をもっと身近なクルマに感じてほしいという健太さん。この年代でしか味わえない楽しさや魅力、出会える仲間は自分とって大きな財産になったと話してくれました。
年末に帰ってきたばかりの愛車で、次はどんなところに行こうかとワクワクしているそうです。
(文:矢田部明子)
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