AZ-1に乗り続けて31年。後世に語り継ぎたい理由とは?
「若いうちは、運動性能に振り切った小さなオモチャみたいなクルマに乗りたかったんです」と話してくれたのは、今回取材させていただいた「ろっしさん」。
そして、そう思い始めた時に、ミッドシップで超個性的なAZ-1が登場したと、うれしそうに教えてくれました。しかし、運転歴2年のろっしさんには少々過激だったようで……?
今回は、ろっしさん×AZ-1の お話をお届けします。
―――どう過激だったのですか?
軽くて、速くて、キビキビ走るのはもちろんのこと、ある種の危うさを兼ね備えているんです。その部分が、そう感じさせたのかなぁ。
―――危うさ……、ですか?
AZ-1は軽量でミドシップなことと、とってもシャープなステアリングという特徴があるんですが、ハンドルを少し切ると鼻先がスッと入るクイックさがあるのに、リアが思ったよりついてこない。と思ったら、突発的にリアがブレイクみたいな感じとなっているんですよ。
怖いと思うことはないけど、その感覚に慣れていないと、ビックリしちゃう人もいるかもしれません。
先日、ビートオーナーが試乗したあとに「このクルマ、モビルスーツみたいだね。顔がクイっと向いたら、すぐにそっちに走り出すみたいな感じだもん」って言っていました。モビルスーツに乗ったことはないのですが(笑)、とにかくそれくらい癖があるというか、慣れるのに時間がかかる個性的なクルマなんです。
体調が悪い時は、あまり運転したくないくらいです。これが1つ目で、あとは……
―――まだあるんですね(笑)。
改造車でもないのに目線が低いことと、助手席が床にボルト締めだったりするところかな。
―――それは、また……。違った危うさがありますね。
あはは(笑)。でも、実際にそうなんですよ。AZ-1って、すごく詰め込んだパッケージングで、ハンドルに手をかけて手のひらを伸ばすと小指が窓に当たるくらい狭いんです。
これでも、運転席は斜め左を向いて、ハンドルは左にオフセットしてあるんですけどね。
―――ということは、助手席はもっと狭い?
そうそう。男性だと、真っ直ぐに膝を伸ばして座れないほどです。なんですけど、奥さんは興味もないクルマのイベントに、助手席に座ってついてきてくれるんです。
―――オーナーに厳しめのAZ-1と、優しい奥様♡プラスマイナスゼロじゃないですか! ちなみに、そういうイベントにはよく参加されるのですか?
予定が合えば、足を運ぶようにしています。参加するようになったのは5年前からで、ここ数年という感じですかね。
まあ、イベントに行ってもキワモノ扱いで、遠目から見ている人が多いですけどね(笑)。でも、だからこそイベントに行くようにしているんです。
―――と、いいますと?
新車からここまで乗っていると、後世に語り継ぎたいという思いが強くなっていったんですよ。
スカイラインほど人気があるわけでもない、86ほど乗っている人が多いわけでもない、個性的なクルマだから好きな人は好きだけど、ごく一部の限られた人が乗るこのクルマを残していくには、まずは色々な人に知ってもらわないとって。
乗る人がいないと、いくら元気に走っていても、廃車になってしまう可能性が出てくるわけですしね。
―――イベントに参加してみて、効果のほどは感じられましたか?
効果というか、意外にも子供達に大人気なことがうれしかったです♪ ガルウィングと同じように手くびを曲げて写真撮ってくれたり、運転席に座ってくれたり。興味を持ってくれる人が、たくさんいることが分かりました。
あと、20万kmのタイミングでエンジンをオーバーホールしたり、ボディーのフルレストアなどをしているので、維持する上での方法?を知りたいという人にも話を聞かれることがあります。
―――なるほど。生産されて年月が経っていますし、維持の方法を知りたいという方は多そうですよね
5~6年ほど前までは思ったよりも難しくなかったんですけど、近年は欠品パーツが増えて、中古の消耗部品も高騰してきたため年々維持が厳しくなっています。
幸いなことに、長年乗っていると面倒を見てくださるショップも知っていますし、直接お話を下さった時は、僕のわかる範囲で精一杯お伝えしています。
ほかには、ドアサッシュパネルの接ぎ目、運転席に座ると斜め右上30°辺りでしょうか?そこが錆びやすいよ〜とか。
僕は雪国に住んでいたので、リアのホイールハウスの袋状?の部分に融雪剤が付着して、錆びたことがあるから気をつけて!とか。
いや〜、ココってバックウィンドウパネルとリアフェンダーを外さないと目視出来ない場所だから、穴が空いているのが分かったときは、まさか……!? という感じでしたね。
シャシーパネルが多重構造になっているから、エンジンルームからは全く見えないし……。そう考えると、完全ガレージ保管以外の個体は、大なり小なり影響が出ている可能性があると思うんです。加えて、純正のシャシー塗装は、錆止めに対しての効果はあまり期待できないようですから。
とまぁ、こんな感じで、あくまで自分が乗ってきて感じたことを、参考になるかは分かりませんが、お伝えしています。
―――では、最後の質問です。AZ-1を後世に語り継ぎたい理由とは?
それは間違いなく、AZ-1が大好きだからです。狭くて、手がかかって、危うさのある(笑)、この個性的なクルマが、今後も色々な人に愛されて欲しいと思っているんです。だからこそ、後世に繋げるための布教活動をしています。
と、明るい声で話してくれた ろっしさん。話していると、電話越しにヒシヒシと感じる愛は今後も変わることなく、1年、また1年と深まっていくことでしょう。
【Instagram】
ろっしさん
(文:矢田部明子)
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