自分を育ててくれたAE86に乗って34年。このクルマ以外、考えられない理由とは
両親に幼少期の頃のことを聞くと、新聞広告の欄に掲載されているクルマを指差して喜ぶくらい、物心つく前からクルマが大好きだったと話してくれた「Toshiさん」。
そんなToshiさんの愛車は、トヨタ・カローラレビンAE86 GTアペックスで、気付けば34年のお付き合いになるそうです。こんなに長く乗ると思っていなかったという、AE86に乗り続ける理由とは?
今回は、Toshiさん×AE86 の お話をお届けします。
―――購入したのは、いつですか?
平成3年に、愛車として迎え入れました。
それまではバイクに乗っていたんですけど、20歳になって何とかクルマを買える目処がついたから、念願叶ってという感じでしたね。
―――なぜ、AE86を選んだのですか?
小さくてもそれなりに走るクルマが、大きなスポーツカーより速い、というシュチュエーションに憧れていたんです。
それこそ、AE86が格上のクルマを負かすだとかね♪
だから、自分もそういう風に走りたいという夢があったんですよ。
―――なるほど!それでAE86というわけですね。
はい。実は、MR2も候補に上がっていたんですけど なんせ高くてねぇ〜。
その点AE86だと、1番上のグレードでも20歳の若造が買える値段で売っていたから。僕のは58年式の初期型で、59万円でした。
ちなみに、お気に入りポイントは、カタログにバーン!!っと大きく載っていた“赤黒”のボディーカラーです。
というのも、中学生の頃に、自転車でディーラーを尋ねて、カタログを集めるのが好きでしてね。
当然頂いたカタログの中にAE86もありました。
実際のクルマを目の前にしたとき「あぁ〜!あの時のカタログのAE86だ〜!」って胸が熱くなりました。こんなクルマに乗れるようになったんだなぁというか。
あとは、真横から見たときのドアや窓の形や、ロータスエスプリと同じテールランプなのもお気に入りです。それと、忘れちゃダメなのがエンジン音かな。
―――エンジン音は、どんな音がするのですか?
口で説明するのが難しいな〜!
とにかく、聞いたら直ぐに分かる、4AG独特の音を奏でるんですよね。
そして、AE86の魅力的なところは、速くはないけどドライバーの腕次第で それなりに走ってくれるところなんです。若い頃は、よく峠を走りに行ったものですよ。
運転技術を磨くために足を運んでいたんです。でも、足回りも大したサスペンションを入れていなかったし、乗り心地も跳ねまくってかなり酷かったですけどね(笑)。
それでも、アクセルを踏む力やハンドルを切るタイミングを意識して、上手くコーナリングを曲がれた時は物凄く嬉しいし、面白いんです!
だから、僕はこのクルマに育ててもらったと思っているんです。
初めてのクルマだから色々至らないところもあったけど、AE86が運転のイロハを叩き込んでくれたおかげで、ここまで成長出来ました。
―――だから、手放せないんですね。
そうなんです。まぁ〜あとは、色々な思い出が詰まっているから、愛着が湧いているというのもありますね。
強烈なのでいえば、買って4年くらい経ったときに神奈川県にある道志みちを走っていたら、タイミングベルトが切れて止まってしまったことです。
その頃は携帯もないし、お手上げ状態で、たまたま近くにあったガソリンスタンドから電話して、会社の先輩に泣く泣く電話して迎えに来てもらったということがありました。
―――きっと、その先輩も忘れられない思い出になっていると思いますよ(笑)。
あはは(笑)!確かに!
結局、JAFが呼べなくて、会社の寮まで50分くらいかけて牽引してもらったんですよ。
それは良かったんだけど、エンジンがかからないからブレーキの効きがすごく悪くて、次の日筋肉痛になるくらい踏み込んだのは今でも忘れられません(笑)。
現在は37万5000kmになりました。時が経つのは早いものです。
―――今後は、どういう風に付き合っていきたいですか?
現状維持で、死ぬまで乗っていきたいと思っています。
乗り心地も悪くはないし、燃費は普通に走って12km /ℓくらいで意外に経済的だし、リアシートを倒せば大きな荷物もたくさん詰めるし、これ1台あれば何でも出来ますから。
ただ、長く乗っていくために、今は週末に乗るくらいにセーブしていますけどね。やっぱりこれしか愛車は考えられないんですよ。
それと、このクルマはね、僕の中でずっとカッコいい存在なんですよ。だから、絶対に手放せないんです。
人気のある車種ということもあり、メーカーがヘリテージパーツを販売しているので、維持はそこまで難しくはないと話してくれたToshiさん。
一昨年、ミッションをオーバーホールしたそうで、そこからさらに調子が良いと嬉しそうに教えてくれました。
目指すは50万km、 ToshiさんとAE86のカーライフはまだまだ続きます。
(文:矢田部明子)
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