新車で購入し30年。これからも乗り続けたいと思わせてくれるトヨタ・セリカ
1994年の10月にトヨタ・セリカ GT-FOUR ST205を新車で購入。
オーナーになり今年で30年の歳月が過ぎたと、まるで宝物の一部をコッソリと見せてくれるかのような…ワクワク生き生きした声色で取材に答えてくれた「yo-renさん」。
その30年の間に、結婚をし、家族という守るべきものが増え、そして、いつの間にか子育てが落ち着き、今までの人生をともに歩んできた愛車。
現在は自分のペースでカーライフを楽しめていると嬉しそうに話してくれました。
そんな、yo-renさん×セリカ GT-FOUR ST205 の お話をお届けします。
―――購入のキッカケは何ですか?
WRC(FIA 世界ラリー選手権)をテレビで見たのがキッカケです。
それまではラリーに全く興味がなかったんですけど、たまたまテレビを付けたら放送されていて。何気なく眺めていると、針穴に糸を通すような走りをしているクルマがゴロゴロいたわけですよ。
それからは、ちょくちょく観るようになりました。
そうだなぁ…インパクトが強かったのは、砂利道で土埃をぶわっと舞い上げ、よくそんな猛スピードで走っていくな!ってくらい駆け抜けていく“ラリー・モンテカルロ”かな。
で、そのラリーで活躍していたのがセリカで、こんなに過酷な走りをしてもしっかり走れるクルマなら、自分の愛車はセリカにしようと決めました。
というわけで、ディーラーに駆け込みましたが、限定車は買えなかったので今のセリカになりました。
実は父が整備士をしていてね、シボレーやジャガーなどお客様のクルマを納車していたのを見て、将来は輸入車が良いなぁ♪なんて子供の頃から思っていたんです。
そんな私からしたら、考えられない車種を選びました。
―――画面越しではなく、実際に見てみてどうでしたか?
見た目や性能など、あぁ……やっぱりコイツはラリー車両なんだなと感じさせる箇所が多々あって胸が熱くなりました。
―――例えば、どんなところですか?
まずは、当時 角張ったデザインのクルマがトレンドだったのに、直線基調ではなく曲線的な部分が多い所です。
特に、フロントフェンダーからリアフェンダーにかけて滑らかなラインを描き繋がっているのを見ると、空気抵抗を考えて作ったのかな〜なんて感じます。
あとは、雨が降っても、雪が降っても、どんな道も安定して走れるところかな。
多少ラフな運転でも大丈夫なところをみると、さすがラリーで培った技術が反映されているなと感じます。
セリカを買って3年目くらいに、世の中で走行会たるものが流行り出しましてね〜。
スポーツランド菅生で格安の走行会があったから、自分のクルマにどれだけの性能があるか試してみたくて、よく走りに行ったものですよ。今じゃあ、もっぱら毎日の買い物や通勤車ですけどね。
―――週末だけ乗るという使い方ではなく、毎日乗っているというのがすごいです。
それが当たり前と思っていたから気付きませんでしたが、確かにそういう風に大切に乗っているオーナーさんもいらっしゃいますよね。
だけど、私の場合は独身時代からの付き合いだから、自分の体の一部というか、いて当たり前というか、普通に使っています。
―――故障に悩まされることはなかったのですか?
経年劣化で壊れる箇所は出てきましたが、壊れてどうしようもなくなったというのは、9年ほど前にコンピューターがダメになって走行中エンジンが止まった1回くらいですね。
それこそ長い付き合いだから、調子が悪くなるとすぐに分かるんです。
例えば、あま〜い臭いがし始めたら、ラジエーターが故障してクーラント液が漏れ始め、外側に蒸発し出すだとかね。
そういったサインを出してくれるから、大事になる前に予防整備で何とかなるんですよ。週1回の洗車の際にボンネットを開けて、素人なりに確認したりしています。
私が住んでいる所は融雪剤を撒くから、冬場は足周りを中心に時間をかけてピカピカにしています。
面倒じゃない?と聞かれることもあるんですけど、毎週のルーティンになっているから、やらなかったら逆に調子が狂っちゃうんです(笑)。
―――手放そうと思ったことはありますか?
ありますよ。
結婚してサーキットも行けなくなったし、維持費がかかるようになってきたから、そろそろ乗り換えかな〜なんて思った時期があります。
それくらいの時期は、手入れもせずにただ何となく乗っていましたね。
―――なのに、売らなかった理由は何ですか?
1番大きいのは妻の理解があったからですね。好きな車に乗って良いよと言ってくれたこと。
あとは、1年に1回は“やっぱりセリカじゃなきゃ、カーライフを楽しめない!”ということが起こるからです。
最初はサーキット走行で、自分の手足のようにクルマを操る楽しさを教えてくれたことでしょ。
中だるみがあったものの、その後、僕と同じようにセリカに乗り続けている仲間に出会わせてくれたことなど、節目節目で乗りたいと思わせてくれる“何か”があるんです。
宮城県で東日本大震災が起こり、その後少しでも復興の助けになればと、石巻市鮎川で一品食べて帰ってこようというクルマの集まり「オシカーズ」を毎月やっていたんです。
その時に来て下さる方が、旧車に乗っている人が多かったんですよ。ものを大事に、愛着を持って扱うというのを目の当たりにして、そういう風に自分も維持していきたいと感じたこともありました。
そういう当たり前の事に気付かせてくれ、また一味違うカーライフを楽しませてくれる。セリカはそんなクルマなんです。
だから、手放せないんですよ。
と、愛車への想いを話してくれたyo-renさん。
今のままを維持して、もう少し子育てが落ち着いたら、全国のセリカ乗りの方と交流することが目標だそうです。
これからも楽しいカーライフとなることは間違いないでしょう。
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