フロントフェイスに一目ぼれしたクラウンは、懐かしさと心を満たしてくれる人生の相棒
1994年式のクラウン(JZS141型)2.5Lロイヤルサルーンに乗り、カーライフを存分に楽しんでいるTRさんは、現在25歳。
19歳の時に自動車免許を取得し、それから数年間は友達から譲ってもらったフィットに乗り、気付くと自分のネオクラシックカーが欲しいと思うようになっていたそうです。
そして、大学生活を送る日常の中で、クラウンの魅力に気付く瞬間があったのだとか。
徐々にクラウンをマイカーにしたいという気持ちが強くなり、22歳の時にはクラウンを購入しました。
TRさんとクラウンはどのようにして出会ったのか、そして、クラウンへの思いを伺いました。
今回は、クラウン×TRさんのお話です。
――クラウンは元から愛車として迎え入れるつもりだったんですか?
元々、80年代や90年代のクルマが好きではあったんですが、クラウンを愛車として迎えるとか、購入したいとかは、本格的には考えていませんでした。
――購入しようと思ったきっかけは何だったんでしょう?
自分が大学生だった時、通学に電車を利用していたんですよね。それである時、ちょうど乗り換えの駅から見える駐車場に、14クラウンの前期が停まっていたんです。
当時はクラウンのことを全く知らなくて、よーく見てみたところ、エンブレムでクラウンだということが分かったんですよ。
それで「本当にクラウンなのかな」なんて思いながらネットで調べてみたら、確かに自分が見たクルマがクラウンだったことに気付いたんです。同時に「このクルマって、フロントフェイスがめちゃくちゃカッコ良いんだな!」って、ひと目惚れしちゃったんです。
――クラウンのデザインがTRさん的にどストライクだったわけですね。
そうなんです(笑)。ただ、前期モデルのテールランプだけは、あまり好きになれなかったんですよね。どちらかというと、13クラウンの角張ったテールが好きだったので「14クラウンの顔に、13クラウンみたいなテールランプが付いていたら良かったのに」って思ってたんです。
そうしたら、マイナーチェンジで、後期型が理想通りの形になっていたのを知ったんですよね。「ああ!自分が求めていたのはこれだな!」って、そのデザインがほぼ決め手となり、マイカーの1番の候補として考えるようになりました。
その後は中古車サイトで毎日のようにチェックして探していました。
――その後ネットで見つけたと思うのですが、現車を見た時はどう感じましたか?
まず、ドアを開けて内装を確認した時の香りに衝撃を受けました。というのも、自分がまだ小さい時、祖母がクラウンに乗っていたんですけど、その時と同じ香りがしたんですよ。
すでに買うつもりで現車確認に行った時だったんですけど、めちゃくちゃ懐かしい気持ちになって、買う前から愛着が湧いたのを覚えてます(笑)。同時に「いつかこのクルマにおばあちゃんを乗せてあげたいな」っていう気持ちも芽生えましたね。
――なんて素敵なお話!その後はお祖母様をクラウンに乗せてあげられたんでしょうか?
はい。祖母は今、定期的に通院しているんですが、病院が遠い所にあるので、いつもクラウンに乗せて行っているんですよ。
――クラウンを見た時のお祖母様の反応はどうでしたか?
買った当時は「燃費が良くない車」だとか「お金がないのにこんな高級車買ったの?」っていう反応でしたね(笑)。「手間がかかる車だよ」って言われたりもしました。
でも、いざ乗せてあげると「静かだね」とか「良い車だね」って、昔を思い出してか、最終的にはポジティブな事を言ってくれました(笑)。その時は自分もなんだか嬉しかったです。
――きっと懐かしい気持ちになったんでしょうね…。TRさん自身のクラウンに乗った時の印象はどうでしたか?
それが、買って1ヶ月くらいは、運転していても自分の車っていう感覚がなかったんですよね。誰かから借りているみたいな、初めての感覚でした。
多分、今まで自分の好きな車を購入したことが無かったから、そう感じたのだと思います。なんだか現実じゃないような、ずっとフワフワした感覚でした。
――そのくらい、待望の瞬間だったんですね。運転した感じはどうでしたか?
2.5リッターなだけあって、加速がすごくスムーズで、特に高速道路に乗った時は、苦労せずに加速してくれる感じがさすがだなと思いました。何よりも、走行中の静粛性に1番感動したのを覚えています。
――クラウンに乗るようになってから今までで、印象的な思い出はありますか?
1番印象に残っているのは、クラウンの納車日に親しい友人(以下、Tくん)が自身のセルシオで乗せて行ってくれたことですね。帰りは、Tくんのセルシオと自分のクラウンで連なって帰ったのですが、その時間に幸せを感じたというか、満たされる感覚があったんですよね。
――Tくんとは結構長いお付き合いなんですか?
そうですね…。付き合いは小学生の低学年の時からあるので、18年くらいでしょうか。自分がクラウンに乗る前は、バイクにも乗っていたんですが、そのバイクに乗るきっかけもTくんだったんですよ。
実は、今のクラウンを買おうと決断できたのも、Tくんの影響があったんですよね。彼の旧車に対する姿勢とかスタイルに共感する部分が多くて。
例えば、極端に車高を下げたりしないで乗っているスタイルも、自分がしたかったスタイルと同じなんですよ。自分のカーライフの中で、彼の影響は大きいと思います。
――なるほど…。だからTさんとツーリングできた時も、心の底から楽しめたんですね!
心のどこかで、自分が買った愛車で、Tくんとツーリングをしたかったっていう願望があったのかもしれないですね。あと、90年代の車を並べて写真を撮ってみたいっていう望みも叶えられたので、その時もとても満たされました。
――今後、ご自身のクラウンでやりたいことや予定はあるんですか?
そうですね…。そういえば、この3年間で悔しい思いをしたことがあったんですよ。というのは、純正オプションのダストボックスが、1度オークションに出ていたことがあって、それを購入出来なかったことなんです。
入札時間が終わるギリギリに買えば良いやと思っていたら、忘れてしまってオークションが終わっちゃって。それ以降オークションに出てこなくなっちゃったんです。
なので、今後はそういう、まだ付けられてない純正のオプション品を購入して、自分のクラウンに装備したいと思っています。
――今のTRさんにとって、クラウンはどういう存在なんでしょうか?
うーん、そうだな…。人生の相棒ですかね。
このクラウンが完全にどうしようもない壊れ方をしない限り、それと自分が死ぬまでは、ずっと乗り続けたいと思っています。
――クラウンが大切な存在だということ、この取材を通してとても伝わってきましたよ!
自分でもそう感じるのが、例えばクラウンに特に用もないのに、車内の香りを嗅ぐために、意味もなく運転席に座りにいくことがあるんですよ(笑)。そのくらい今の自分にとってクラウンって特別だし、あの香りが自分にとって、とても大切で絶対に消したくない要素なんだなって実感します。
クラウンに乗り始めて3年が経ち、早くもTくんとのツーリングやお祖母様を乗せるという望みを叶えたTRさん。
「純正というカタチを残しながら、大切に乗り続けていきたい」という想いは、きっとクラウンや周りの人に浸透していき、楽しさや幸せが、この先も連鎖していくのではないでしょうか。
(文:秦 悠陽)
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