「もう替えのきかない存在」ホンダ・S2000は自分が求めていたリアルオープンスポーツカー
「S2000は気付いたらもう、替えのきかない存在になっています。」
そう話してくれたKDさんは28歳という若さで、これまでに10台以上のクルマを乗り継いできている、生粋のクルマ好き。
そして先日もご紹介したピアッツァに乗るごっちゃんさんと一緒に『横浜カーセッション』を主催したお一人です。
これまでの愛車歴はほとんどがヨーロッパ車で、現在はロータス・エスプリV8とBMW・M135iを所有していますが、4年前に2006年式のS2000(AP2)を初の国産車として購入、3台体制でカーライフを楽しんでいるそうです。
輸入車を好む彼がS2000を購入したのには、どのようなストーリーがあったのでしょう。今回は、S2000×KDさんのお話です。
――KDさんはどちらかというと、輸入車の方がお好きだったんでしょうか?
そうですね。完全に欧州車派でした。イタリア車は外装のデザインと内装の雰囲気に色気があるところとか、エンジン音が好きなんです。多少壊れても許せるような、生き物的な魅力があるんですよね。
ドイツ車は機械としての性能が優れていて、高速域での安定性とか、ボディの頑丈さとか、造り込みがしっかりしていて、そういうところが好みです。
――そんな中、S2000を購入したのは何故だったのでしょう?
S2000の購入前、シボレー・コルベットC5に乗っていたんですが、個人的にあまり肌に合わなかったんです。パワーがあって直線は速いですが、山道を走っていてもあまり面白くないと感じてしまったんです。だから、次はカーブが楽しめるクルマを買おうと思ったわけです。
それと、当時徐々に値段が高騰していたのもあり、早めに国産車のスポーツカーに乗ってみたかったっていうのはありました。「日本人なんだから国産車に乗ってみなきゃ」とは元々思っていたんです。
――S2000が自分の求める性能を持っていると気付けたのは何故だったんでしょう?
大学生の時、1個上の先輩がS2000に乗っていて、何度か乗せてもらえる機会があったんですが、その時に、とにかくカーブが気持ち良いなって感じたんです。オープンカーが好きだったのもあり、運転を楽しめて屋根もオープンに出来るってことで「国産ならコレに乗ってみたい!」って思いました。
――S2000に初めて乗った時はどう感じましたか?
やっぱり良いなっていう“納得感”というか、選んで良かったってホッとしたのを覚えています。「これは楽しく乗れそうだな!」って、安堵感で一杯でしたね(笑)。
さっきも話しましたが、ひとつ前に乗っていたクルマが、合わずに手放してしまっていたので、次こそは自分に合ったクルマに乗りたいという気持ちが強かったんですよ。
――初めての国産車の購入は大成功だったわけですね。ところで、KDさんは幼少期から輸入車が好きだったんでしょうか?
クルマ自体は物心ついた時には好きになっていましたね。トミカはほぼ全部持っているくらいには大好きでした。欧州車に惹かれ始めたのは5歳ぐらいからですかね。VHSテープで観たグループAのランチア・デルタに一目惚れでした(笑)。あと、初めてのクルマは17歳で購入しましたが、実は私、5歳の時から貯金をしていたんです。
――5歳から貯金ですか!?
子供の時、お年玉とか、クリスマスプレゼントとかをもらう機会がある時はできるだけ、定期預金口座に貯めてもらうように、親にお願いしていたんです。そのおかげで17歳の時にスムーズに自分が欲しいクルマを購入できたんです。
――まさか5歳の時からとは……。欲しいものをおねだりしていた自分の幼少期が恥ずかしいです(笑)その後、大学に入ってからは自動車部に入ったそうですね
そうなんです。大学に入学後、『体育会自動車部』っていう部活に入部しました。部で競技用のクルマを持っているんですけど、修理や整備をしながら大会に参加して、スピードを競ったり、運転の正確性を競ったりするんですよ。部内での活動もまた、貴重な体験になり、大変勉強になりましたね。
――S2000に決めたのは、そういった部活動も関係してそうですね
そうですね。小さい頃からスポーツカーの類が好きで、レースの映像を見たりして、自分も乗ってみたいっていう憧れはずっと強くありました。
大学で自動車部に入ったのも、運転が上手くなりたいという理由だったんですよね。「運転の技術を磨いてスポーツカーに乗る」っていう当時の目標は、走りを楽しみたくて選んだS2000の購入にも結びついていると思います。
――国産車がカーライフに加わったことで、何か気が付いたことはありましたか?
1つ目は壊れづらいということですね。仮に壊れたとしても、修理代がかなり安いっていうところです。おかげで本当に心理的負担が減りました(笑)。
輸入車に乗っていると、当たり前のように何十万円というお金が修理費で飛んでいたんですよ。
S2000も、購入当時には古いクルマだし、そこそこ掛かっちゃうかもなって覚悟していたんですが、車検の時に気になる箇所の部品を全部変えても、全部込みで15万円くらいで収まった時は本当に驚きましたね。
あとは、当然ですが日本車って日本に合っているなって本当に思います。というのは、そんなに速いスピードじゃなくても楽しめるんですよね。ドイツ車って設定スピードが高いっていうか…。スピードを出した先に面白さがあるって感じるんですよ。
だけど、S2000って何気なく交差点を曲がる瞬間でも楽しめるから、そこが本当に良いところだなっていつも思っています。
今までの輸入車だと、珍しさもあり所有欲が満たされる割合が大きかったんですが、S2000はそういう特別感はないものの、運転そのものがすごく楽しいから、そこにとても満足出来ています。
――KDさん的に、今後はどんなカーライフをS2000と過ごしていきたいですか?
私はクルマをノーマルで乗る方というか、カスタムをしないで純正を維持して綺麗に乗りたいタイプなので、細かなリフレッシュとかはもう結構やり尽くしたと思っています。
強いて言うなら、部品供給は今後難しくなっていくと思いますが、このオリジナルの状態を保つために、現状維持のための方法を模索していけたら良いなって思っています。
――S2000はKDさんにとって、どんな存在になっているんでしょうか?
間違いなく言えるのは、今となっては1番の相棒っていうことですね。これまで乗ってきたクルマは全部で10数台ありますが「1台残すならどれ?」と聞かれたら、間違いなくこのS2000を残すと思います。他のクルマ達にもそれぞれ思い入れがあるけれど、一緒に走っていて一番楽しいのはこの子なんです。
KDさんがS2000に乗るタイミングは、基本的に天気やクルマのコンディションが揃った日だけなんだそう。
でも、どうしても乗りたくなってしまう日は無いのか聞くと「仕事の繁忙期を乗り越えた後の快晴の夜は必ず乗りたくなります」とのこと。
今の3台体制についても「結局長く乗るために、余計に痛めないために考えた結果が今の3台体制になっているんです」とその理由を教えてくれました。
さまざまな輸入車に乗ってきたからこそ気が付いたS2000の魅力。これからもKDさんとS2000の相性抜群のカーライフは長く続いていきそうです。
(文:秦 悠陽)
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