日産・テラノは心を許せる空間 樹木とクルマは僕のエネルギーの源
今回お話を伺ったのは、カメラマンアシスタントとして活動されているHTさん28歳。
彼がまだ大学生だった頃、初めての愛車として日産・ラシーンを選び、約3年間、写真の作品制作や趣味で山の中へ頻繁に行っていたそうです。
その後、91年式の日産・テラノ(WD21)に乗り換えカーライフを存分に楽しんでいますが、テラノとはどういう結びつきだったのか、そしてHTさんにとってのクルマとはどういう存在なのかを伺いました。
今回は、テラノ×HTさんのお話です。
――2台目にテラノを選んだのは、元々決めていたことなんですか?
ラシーンに乗っていた時、2回目の車検を通すか悩んでいた時期があったんですが、散々悩んだ結果、他のクルマにも乗ってみたいと思ったんですよね。その時にデザインも好みで、元々意識をしていたテラノを選びました。
――具体的にいうとデザインのどういうところに惹かれたんでしょう?
テラノで特に好きなのが、真横から見た時の形なんですけど、リアゲートの後ろの部分が、天井から垂直に降りずに、リアにかけて斜めに落ちていくラインがすごく好きで、そこにグッときたんですよね。シートのデザインも可愛いし、他にも身近に感じる要素があって総合的に惹かれました。
――デザイン以外にもテラノを選んだ理由があったということでしょうか?
ずっとラシーンを運転していてその大きさに慣れていたのもあり、サイズ感が同じくらいのクルマが良いなって思っていたんです。極端な大きさにしちゃうと、山に入っていけないかなとも思っていたので。
もう1つの理由は亡き父が昔テラノに乗っていて、当時の写真を見ていたのもあり、自分との繋がりをどこか感じていたのもあります。
――テラノはお父様の愛車でもあったんですね
父は僕が1歳の時に亡くなっていて、母から聞いた話によると、初代テラノ2台を乗り継いでいたらしいんですよ。僕が生まれる前に1台乗っていて、一旦別のクルマを挟んで、やっぱりテラノが良いって、再度テラノを買ったらしいです。
2度目に買ったテラノは僕が生まれてからも乗っていたと聞いています。母から父の話を聞いたり、当時の写真とかを見せてもらったりした時は、免許取得前だったんですが「こういうクルマが欲しいな」っていうのは既に思っていました。
――クロカン四駆好きなのは幼少期からなんでしょうか?
実は、昔はクルマの知識が全くなくて、クルマを見る時も、完全に見た目だけしか気にしてなかったんですよね。免許を取得してから徐々に興味を持ち始めました。基本的に四角い直線基調のクルマが好きで、SUVやクロカン四駆に限らず、旧いクルマは好きでした。
四駆を好きになったきっかけは、元々自然豊かな場所で育ったのも影響してか、そういう場所にも行ける四駆が良いなと思ったんですよね。なので、見た目のデザインから入って、それに四駆という要素が後から付いてきたという感じです。
――ご趣味で樹木を撮影されているのをSNSで拝見しましたが、それも幼少期の環境が影響しているんでしょうか?
そうですね……、昔住んでいた場所が山や川に囲まれていたっていうのがベースにあると思います。「樹」を撮影するようになったのは、大学の卒業作品を制作する際に、何かないか探し始めたのがきっかけなんですよ。
最初、日本の八百万の神様の信仰に興味を持ったんですが、山の神様とか海の神様とか、あまりにも規模が大きすぎる中、樹だったら身近で探せるんじゃないかって思ったのがきっかけでしたね。
御神木って、山に入って何時間も歩かないと出会えないイメージだったんですけど、調べてみるとそんなことはなくて、駐車場から少し歩くだけで行けたりするのを知ったんです。「これだったら行けるかも!」と思って撮り始めることになったんですが、気付いたら8年間ずっと撮影し続けていましたね。
――勝手な予想なんですが、樹木のような原始的なものに惹かれることは、旧車好きの理由にも少なからず繋がっているんじゃないでしょうか?
確かに、アナログ的なものやビンテージものが好きですね。長い年月が経過しているもの、そういう括りをするなら、樹もクルマも共通して当てはまるかもしれないです。形とかデザインに魅了されることが多いですね。
樹に関しては、見た目ももちろん好きなんですけど、ここまでハマった理由は、日本の暮らしと樹の関係性に深い関わりがあったこと、民俗学的なところに興味を持ったのが大きいんですよ。
例えば、今僕たちってカレンダーとか暦があって、春がきたから桜が咲く時期だって認識するじゃないですか、でも、カレンダーがまだ無い時代の人たちって「桜の木が咲いたからもうすぐ春が来て、田植えの季節が始まるね」っていうふうに、今とは順番が違ったんですよ。
それで、人と樹の関係性の歴史を調べたり、実際に地方に行って住民の方に話を聞いたり、樹を撮影するのがすごく楽しくて、今でも続けているんですよ。
――テラノで行った場所で素敵な樹に出会えたことなどはあるんでしょうか?
基本的には出発前にリサーチしてルートを決めて行くので、思いがけない出会いっていうのはそんなにはないんですが…。全然意識していなかった場所にあった神社に、心揺さぶられる御神木があった時は驚きましたね。
それと、道中で突然大きな樹が生えてるのを見た時は、テラノが軽自動車に見えて、面白くて撮影したこともあります(笑)。そういうのもテラノとのカーライフの楽しさの1つですよね。
――カーライフ、本当にめちゃくちゃ楽しんでいますね。今後はどのように乗っていきたいなど、予定はあるんでしょうか?
実は、テラノって北米ではパスファインダーっていう名前で販売しているんですが、僕のテラノは購入時、既にサイドミラーなどが北米仕様になっていたんですよ。国産車と見比べると微々たる差なんですけど、それも含めてスマートな印象を受けてとても気に入っているんです。
なので、カスタムに関しては考えてなくて、逆に現状維持をしたいです。今、パーツの値段がすごく高くなってきているので悩まされますが、気持ち的にはこれからもずっと乗り続けたいですね。
――では、HTさんにとってテラノはどんな存在になっているんでしょう?
なんだろう……。難しいですね。
僕、クルマの中の空間ってすごく好きで、自分の家の部屋とはまた違う、すごく“特殊な空間”なんですよ。1人でいる時ももちろんなんですけど、例えば友達とクルマに乗って移動している時、すごく深い話をしたくなるんですよね。
人によっては喫茶店とか、それぞれ落ち着く場所があるんですけど、今の僕にとってはそれがテラノなんです。全く他の人がいない空間っていうのがすごく好きで、ちょっと話さない?みたいな感覚で友達とかをドライブに誘うことが多いですね。
自分1人の時は独り言を言って自分を解放して、友達を乗せる時は真剣な話ができる「心を許せる空間」になっています。
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福井県の岩屋の大杉
「現在は仕事が忙しく、テラノに乗る時間があまり無いけど、本当はいくらでも乗っていたい」そう語っていたHTさんですが、これまで巡ってきた樹の中で1番印象的だった樹を聞くと、何度も足を運んだという福井県の岩屋の大杉だと教えてくれました。
知識のない人が見てもエネルギーを感じる、その逞しく遠慮のない姿の存在感に、畏敬の念を抱かずにはいられないのだとか。
そんなHTさんが日々、樹木を巡る理由。それは『他では得られない、原始的な物が持つエネルギーを得るため』なのではないかと感じます。そして、テラノを選んだ理由にも、少なからず結び付いているような気がします。
【Instagram】
HTさん(クルマのカウント)
HTさん(「樹」のカウント)
(文:秦 悠陽 写真提供:HTさん)
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