元バスの運転手が選んだトヨタ・GR86。自分好みにアレンジできる「等身大のプラモデル」
今回お話を伺ったのは、バスの運転手を約10年間務めていた、あさとしさん42歳。
トヨタ・86(ZN6型)を初めての愛車に迎え、約12年間乗り続けてきましたが、昨年、GR86(ZN8型)のRZに乗り換えたそうです。
86に乗っている時には、マツダ・RX-7やスバル・WRXにも同時に乗られていたこともあるという、生粋のスポーツカー好きな彼はどんなカーライフを楽しんでいるのでしょう。
そして、バスとスポーツカーの運転、一見すると共通点がないように思える両者には、共通点があるとも教えていただきました。
今回は、あさとしさん×GR86のお話です。
――86からGR86に乗ろうという思いは強かったんでしょうか。
そうですね、その意思は固まっていました。
86というクルマ自体は、2009年に東京モーターショーで公開されたコンセプトカーのFT-86の頃から追いかけていたんですよ。
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約12年間乗られていた86(左)とGR86(右)
――そもそもスポーツカー好きになったルーツは何なのでしょう?
スポーツカー自体は、ただ単に子供の頃からの憧れもあると思いますね。
自分も乗りたいと思ったきっかけは、今思うとグランツーリスモのゲームの影響が大きいのかもしれないです。
最初に乗った初代のZN6型の86もゲームの中で頻繁に使用していたんですよ。
――あさとしさんが愛車に求める条件というのは何なのでしょう?
MT車かAT車かは実はどちらでも良かったのですが、ボディカラーは絶対白が良かったですね。
というのは、元々、86の時から白の車体がずっとお気に入りで、そのこだわりはGR86でも継続したいなと思ったんです。
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デカールでアレンジした86
――86もGR86は見た目がレーシングカー仕様ですよね!デカールが映えるように白にしたということもあるのでしょうか?
もちろんそれもありますね。
86に乗り始めてから10年目の時だったと思うのですが、社外バンパーだったものを純正に戻した時に、外装デザインの方向性も考え直そうと思ったんです。その時目標にしたのがトヨタ・86のGRMNでボディカラーは「ホワイトパールクリスタルシャイン」のみだったんです。
その当時から更にペタペタとデカールを貼ってみたんですよ。
――あさとしさんがレーシングカー仕様にするのは、他にも理由があるんでしょうか?
高速道路のサービスエリアなどでトイレに寄った時、戻ってきたら見知らぬちびっ子がクルマと一緒に写真を撮っていたことがあったんですよ。こういうレーシングカー仕様にしていると、クルマ好きの子供が注目してくれたりもするので、それがすごく嬉しいんです。
86との写真が思い出の1枚として記憶に残ってもらえるのも嬉しいですし、それがきっかけで将来的に、少しでもクルマ離れの抑止力になれたらいいなという思いもあります。
――あさとしさんが1番気に入っているデカールってどれなんですか?
気に入っているというか、苦労した部分でもあるんですが、ドア側面の黒と赤の斜めのGRのsはフェンダーの造形がずごく複雑で、貼るのがすごく大変だったので思い入れがありますね。
あと、自分でアレンジした部分なのですが、GRらしく、イメージカラーの黒と赤を差し色で入れたというのもこだわりです。
――初めてGR86を運転した時の感覚はどうでしたか?
排気量が400ccアップしてパワフルさを感じたのを覚えています。あと、ボディ剛性がガッチリしていて良いなって同時に思いましたね。それまで乗っていた86は12年も経っていてヤレている部分もあったから、比較対象として微妙かもしれないけど、“技術の進化”をめちゃくちゃ体感できました。
ただ、楽しいと思う反面、戸惑う部分もありましたね。
――例えばどんなところに戸惑いましたか?
ギア比が86と全然違うので「〇速でこんなに走れちゃうんだ」とか、そこらへんは慣れが必要だなって思いましたね。
――バスの運転手さんだったということですが、やっぱり運転自体がお好きなんでしょうか?
運転自体は全然苦じゃないですよ。納車日当日、お店から家までの距離が約500kmという長距離だったんですが、帰ってくるまでの間に、今までのクルマとの違いを確認したり色々試しながら帰ってくることができたので、逆に楽しかったです(笑)。
――様々な種類のバスに乗られてきたからこそ、1つ1つのクルマの個性を感じやすいとかがあるんでしょうか?
そうですね。バスって個体差が本当にすごいんですが、それと同じような感覚で、このクルマはこういう個性なのかってすぐに察知して受け止められるというか。そういう点は、確かにバスの運転手ならではなのかもしれないです。
――仕事ではバスを運転して、プライベートではスポーツカーに乗るというギャップに困ることはなかったですか?
実は運転について、スポーツカーとバスって全く違うように思われるんですけど、共通していることがあるんですよ。
バスを運転する時に意識しないといけないのは、お客様を出来るだけ酔わせないようにする丁寧な運転が必要とされるんです。いわゆる「変な挙動をさせない」っていうのは、実はスポーツ走行と共通しているんですよね。適切な荷重移動やコーナリングの安定性を意識したりする技術の応用が出来るわけです。なので、全く無関係でもないんですよ。
――すごく説得力を感じます。運転する中で気をつけていることなどは他にもありますか?
デカールを貼らなくても、スポーツカーっていうだけで白い目で見られる時もあるので、模範的な運転をしないといけないなと常日頃から思っています。
――今後はGR86をどのように乗っていきたいですか?
カスタムはほとんどやり尽くしちゃっているので、現状維持っていう感じでしょうね。エンジンは故障しやすくなるので、過給機は付けずにあくまでもNAのままにこだわって、長く維持していきたいなって思っています。
今後、もしかしたら次期型がハイブリッドになるかもしれないという話も聞いたことがあるので、純正エンジンのスポーツカーは最後なのかもしれないと感じています。尚更大事にしていくべきだなと強く思います。
――現在、GR86はあさとしさんにとってどんな存在になっているんでしょう?
乗り始めて1年という期間ですが、既に相棒感がありますね。それと、デカールを貼っているのは趣味というか、自分の中での楽しみでもあるんですよ。
貼る時は大変ですが、完成後の達成感が最高なんです! 貼っている時はプラモデル感覚で無我夢中という感じで黙々と作業ができますし、思い描いていたものが現実になるのが堪らなくて。そういう経験をさせてくれる存在でもありますね。
あさとしさんが乗られているGR86のデカールは、90スープラのニュルブルクリンクの耐久レースのデザインを意識して落とし込んだのだと教えてくれました。ボディカラーが本来は黒なので、デカール色を全て反転させているんだそう。
そして、完成イメージのシミュレーションは、グランツーリスモのデカールモードを駆使して欠かさず行うのだとか。
私たちが幼少期に作ったプラモデルと同じように、自分の手で作り上げる過程と、完成したときの達成感は彼にとって、唯一無二の楽しみとなっているようです。
今後、このGR86がどのレースのどの車種のモデルをイメージしてカスタムしていくのか、そして、そこにあさとしさんのどんなアレンジが加わるのか、非常に楽しみです!
【Instagram】
あさとしさん
(文:秦 悠陽 写真:あさとしさん提供)
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