これからも、ビートとともに。地元を愛するYouTuberが交わす「愛車との約束」
今回の主人公は、ホンダ・ビートを所有して約6年半のオーナー「おもち」さん。
5万人以上の登録者を持つYouTuberでもあるおもちさんは、自身のチャンネルでクルマの魅力や運転する楽しさ、地元・静岡東部の風景や文化なども盛り込みながら、カーライフを発信しています。
そんなおもちさんとビートのストーリーをお届けします。
――まずは、おもちさんがクルマに興味をもったきっかけを教えてください
4歳くらいの頃には、すでにクルマが好きでしたね。親のクルマに乗せてもらってドライブするときは、街中のスポーツカーを見つけることが楽しみでした。特にR34型のスカイラインGT-Rが大好きで、小学生になってからも登下校の途中にすれ違うと目で追ってしまうほどでした。
中学生になると、ワゴンやSUVにも興味が湧きました。今は四輪ならすべて好きですね(笑)。カスタムのジャンルも関係なく、それぞれの魅力に惹かれます。
――当時、ビートの存在は?
ビートの存在は知っていたんですが、軽自動車のスポーツカーといえばスズキ・カプチーノの印象が強かったですね。当時、近所の人や学校の先生がカプチーノに乗っていたこともあったので「ビートは同じジャンルにあるクルマ」という認識でした。
――これまでの愛車歴を教えてください
初めての愛車はホンダ・CR-Zです。アウトドアが趣味になったので、人も乗れて荷物もしっかり積めるステーションワゴンが必要になり、アウディ・A4アバントに乗り換えました。
2019年にビートを増車。2021年にA4アバントから現行スズキ・ジムニーに乗り換えて軽自動車の2台体制に。2023年に北関東へ転勤するタイミングで、ジムニーから30系後期型のトヨタ・セルシオに乗り換えて現在に至ります。ビートは4台目の愛車で、これまでいちばん長い所有歴になっています。
――軽のオープンとビッグセダンの2台体制はいろいろ楽しめそうですね。では、愛車ビートとの出会いをお聞かせください
ある日、中学生時代の同級生から「父親がビートを手放したいと言っている」という話が巡ってきたんです。市場に流すとどう扱われるかわからないのは嫌なので、大切に乗ってくれる人に譲りたいとのことでした。それで僕が購入させてもらうことにしたんです。
――納車当時の出来事は覚えていますか?
納車された日は2019年1月4日、正月休み中の夕方でした。キーを受け取ると「本当に自分のクルマになったな」という実感が湧いてきて、ビートと暮らす未知のワクワクと、うまくやっていけるだろうかという不安が入り混じった複雑な心境だったことを覚えています。
――ビートのコンディションは?
良好でした。エンジンは前オーナーである友人のお父さんが載せ換えているので、安心感がありました。驚いたのは、どんな大雨でもまったく雨漏りしないことです。雨漏りはある程度覚悟していましたので…!
――実際に乗ってみて、どんな魅力を感じましたか?
いい意味で「ねずみ」みたいなクルマですよね。小さくて、すばしっこくて愛嬌があって、とにかく運転が楽しいです。まるで身体の一部になったようにキビキビと走ってくれます。
エンジンが気持ちよく回って、ハンドルのフィーリングも自然。ブレーキを踏んで荷重をかけると、素直に応えてくれる感じもすごく心地いいです。
電子制御に頼らないフィーリングも、この時代の軽スポーツならではですよね。現代のクルマにはないダイレクトさが、走りの楽しさを一層引き立てているような感じがします。
――ビートと過ごしてきたなかで、印象深い出来事はありましたか?
そうですね、地元・静岡の山奥にある吊り橋へ行ったときの景色に感動して記憶に残ってまいす。新緑がきれいな5月で、眼下には青い湖が広がっている場所なんですよ。
――クルマで渡れる吊り橋って、なかなか珍しいですね
橋自体はかなり丈夫で、揺れもなくて全然怖くなかったんです。サイズ的にもビートだからこそ安心して行けた場所だなって思います。
――他に、思い出に残っているエピソードは?
「MEET THE BEAT!」に参加したことですね。ビートオーナーが全国から集まるイベントで、30周年の節目は当時のツインリンクもてぎで行われたんです。
街中でビートを見かけることって少ないじゃないですか。あの日はサーキットを見渡してもビート、ビート、ビート!このクルマを大切にしている仲間がこんなにもいるんだと思うと、胸が熱くなりましたね。
――後ろは見渡す限りビートですね!ビートに乗り始めて変化したことはありましたか?
YouTubeへの動画の投稿を、本格的に始めました。構想は高校生くらいの頃からあったんですよ。当時は動画サイトが流行り始めた頃で、運転免許を取得する前からやってみたいなと思い続けていました。
ある日ソファでスマホを眺めていたときに、突然スイッチが入ったような感覚があったんですよね。気づいたら立ち上がっていて、カメラやPCなどの機材を一気に揃えてしまいました。ちなみにそのときのソファも、「もうゴロゴロしている場合じゃない!」と思って手放しました(笑)。
――すごい行動力ですね!動画制作でこだわっていることはありますか?
今はYouTube全体の動画クオリティが上がっている時代ですけど、僕はあえてシンプルな編集にしています。効果音やBGMは控えめで、テンポの良い進行を心がけていますね。視聴者の皆さまは作り込まれたテレビを観たいわけじゃないと思うので、自分の言葉と空気感を大切にしたいんです。
――機材にもこだわりが?
車載カメラとスマホを使い分けています。最近のスマホは性能がいいので、それだけでもしっかり撮れるんですよ。あとは企業さまからご提供いただいているカメラも、用途に応じて活用しています。
――実際に拝見しましたが、おもちさんの素の感じが伝わってきました。ビートに加えたカスタムやメンテナンスについても教えてください
メンテナンスとしては、大きく手を入れた部分でいうと足回りとエアコンですね。エアコンは、やはり夏場は不可欠です。そして足回り一式をリフレッシュ。走る楽しさがまた一段階上がったように感じています。
古いクルマですが、今の生活に馴染んでくれるように必要なアップデートは惜しまず行っています。
――具体的にはどのようなカスタムを?
テーマは「純正+α」としているので、基本的には素の姿を崩さないようにしていますが、よく見るとわかるカスタムを施しています。
たとえば、ヘッドライトをLEDに交換していますが、ポイントは白色光ではなく電球色のLEDをあえて選んでいるところですね。それからフレームの色。ビートのサイドステップ下のフレーム部分って、意外と目立つんですよ。もともとボディと同色だったのですが、黒に塗装して引き締めました。
――最近、カーライフに大きな転機があったと伺いました
2023年に転勤となり、長く暮らしていた地元・静岡を離れて北関東での生活が始まりました。もちろんビートも一緒に連れてきたんですが、住まいの事情で屋外駐車になってしまったんですよね。
地元の自宅には、ビート専用のガレージを建ててあったんです。それなのに今は青空駐車。カバーを掛けていても、雨や紫外線、ホコリは避けられません。「せっかくガレージを建てているのに、なんでこんなところに置いているんだろう」と…。
時間と環境が少しずつビートを劣化させていく様子をただ見守るしかないし、しかも夏場は暑すぎて、日中は乗ることすらできない。ストレスが蓄積していったんです。
それはつらいですね……
それで、ビートだけ地元に戻すことにしたんです。その決断をしてからは、心が軽くなった気がしました。できるだけ月に一度は会いに帰りたいですが、なかなか時間を作れません。でも、ガレージで守られているだけでメンタルが落ち着いています。
――ビートへの深い愛情が伝わってきます。ゆくゆくは、おもちさんも地元へ?
戻る予定で動いています。地元・静岡は「帰ってくるべき場所」ですし、骨を埋めたいと思っています。ゆくゆくは、ビートのガレージがある隣に家を新築して、もう1台も置けるようにカーポートも作れたらいいなあと考え中ですね。
――実現するといいですね! 静岡という土地の魅力も大きいですか?
クルマ好きにとって、本当に恵まれた土地だと思います。箱根にも伊豆にもすぐ行けて、東京へもアクセスしやすい。雪は降らなくても、ウインタースポーツできる場所にもすぐ出られますし、自然と都市のバランスがいいんですよ。さらに、ビートで走るには最高のドライブロードばかりです。
――この先、ビートとどんなふうに付き合っていきたいですか?
これまでと変わらず「定期的に乗る」ことを大事にしていきます。走行距離が少なくても、油脂類は交換するようにしていますし、異音や異臭などの小さな変化にも気づけるように意識しています。
リフレッシュも考えていて、まずタイミングベルトですね。今年で10年目になるので交換予定です。今はディストリビューター駆動の点火方式ですが、将来的にはダイレクトイグニッション化し、アップデートしていきたいと思っています。
あと行ってみたいところとしては、フェリーで行って夏の北海道を一緒に旅してみたいなとも思っています。
――あらためて、ビートはおもちさんにとってどんな存在ですか?
物理的に壊れて直せなくならない限り、ずっと手元に置いておきたいです。今後も必要に応じてメインカーは変わっていくかもしれないけれど、ビートだけは「いてくれると落ち着く」という安心感がありますね。
いろんなクルマに浮気しても、最後に戻ってくるのはやっぱりビートだと思います。いつも待っていてくれる存在。そういう意味で、自分の中では軸みたいなものかなと思っています。
ビートに注ぐ愛情、故郷への想い。そして自身のYouTubeチャンネルに込める熱意すべてがまっすぐなおもちさん。そんな背中に、物語は自然とついてくるのだと感じさせられました。ブレのない姿勢に心から惹かれる取材でした。
おもちさんのYouTubeチャンネルもぜひご覧ください!
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おもちさん
【YouTube】
おもちのビート【POV Drive ch】
(文:野鶴美和 写真:おもちさん提供)
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