世界初公開「Honda 0 α」からロケットまで・・・ASIMOで育んだ技術で“陸・海・空”を制する!?【ジャパンモビリティショー2025】

2000年に発表され、愛嬌のあるダンスなどで注目を集めたホンダの二足歩行ロボット『ASIMO』。その開発DNAはクルマやオートバイに引き継がれ『モビリティの知能化』に活かされていた!?

2025年10月29日、本田技研工業（以下、ホンダ）は、JAPAN MOBILITY SHOW 2025（ジャパンモビリティショー2025）にてプレスカンファレンスを行った。
そこで登壇した取締役 代表執行役社長の三部 敏宏氏が語った出展コンセプトは『“夢”を原動力に、「陸・海・空」へと広がるHondaのモビリティ』だ。

ホンダは創業以来、“夢”を原動力に、技術と独創的なアイデアで、人と社会の可能性を広げるモビリティを創造してきた。現在は、クルマやバイクはもちろん、船外機などを中心にしたマリン事業、さらに空へ羽ばたく航空機「ホンダジェット」や宇宙領域へのチャレンジとなる「サスティナブルロケット」までカタチにしている。

そして、このジャパンモビリティショー2025では“ホンダの今”が詰まったブースを展開。
四輪では、電気自動車『Honda 0』シリーズの3台を中心に、ワールドプレミアとなる小型EV「Super-ONE Prototype（スーパーワン プロトタイプ）」や今冬発売予定「CR-V e:HEVプロトタイプ」、北米市販予定の「Acura RSX Prototype（アキュラ RSX プロトタイプ）」のほか、市販モデルとして「プレリュード」や「N-ONE e:」「CR-V e:FCEV」を出展。

二輪車、船、ジェット機、さらにはロケットまで展示されているホンダブース

二輪もコンセプトモデルの「EV OUTLIER CONCEPT（イーブイ アウトライヤー コンセプト）」「EV Urban Concept（イーブイ アーバン コンセプト）」をはじめ、ワールドプレミアとなる電動アシスト付きのマウンテンバイク「Honda e-MTB Prototype」のほか、市販予定車も含めて10台以上を展示。さらに航空機「HondaJet Elite Ⅱ（ホンダジェット エリート ツー）」、6月に離着陸実験を行った「サスティナブルロケット」、さらに船外機やボートと、ホンダの多彩さとチャレンジ精神が伝わるブースとなっている。

その中でも注目なのが、メインステージ中央に展示された、世界初公開となるHonda 0シリーズの新型SUVモデル「Honda 0 α（ホンダ ゼロ アルファ）プロトタイプ」。Honda 0 αは、今年1月にアメリカ・ラスベガスで開催されたCES2025（アメリカ最大級のテクノロジー見本市）で発表された「Honda 0 SALOON」「Honda 0 SUV」に続く、シリーズ第3弾モデル。ちなみにHonda 0シリーズは、「EV時代における“自由な移動の喜び”とは何か」という原点に立ち返って生み出した新しいEVシリーズ。そのゲートウェイモデル、いわゆる入門モデルとして準備を進めているのが「Honda 0 α」というわけだ。

その特徴は、Honda 0 シリーズの開発アプローチである「Thin, Light, and Wise.（薄い、軽い、賢い 」を具現化した洗練されたデザインと、広い室内空間による高い快適性。Thin（薄い）の思想に基づいたパッケージ設計により、全高を抑えつつ、クリアランスを両立した薄型のキャビンで、ワイド＆安定感のあるSUVらしい力強さを表現。近未来的でコンセプト感の強いモデルだが、2027年に日本やインドを中心にグローバルでの発売を予定しているということがアナウンスされた。

また、興味深かったのが世界初公開となる小型EVの「Super-ONE Prototype」。クルマ好きの中には、「今年のグッドウッドフェスティバルで走行したクルマ」だと気づいた人もいるのではないだろうか？　軽自動車のN-ONEをベースに左右に張り出したブリスターフェンダーを備えた姿は、ブルドックの愛称でも親しまれた往年の名車「シティ ターボⅡ」の再来を思わせるスタイル。

このマシン、見た目だけじゃなく、徹底的に空力も煮詰められ、鋭い加速力が得られる「BOOSTモード」に加え、ギアチェンジの感覚を再現した仮想有段シフト制御、EVでありながらエンジン音を再現するアクティブサウンドコントロールなど、走り好きに刺さりそうなポイント満載のホンダらしい1台。しかも2026年に日本を皮切りに世界で市販予定というので期待が増すばかり！

運転支援やASIMO OSなど“モビリティの知能化”に取り組んでいるというホンダ

そして、これらの車両には『ASIMO OS』と名付けられたソフトウェアが搭載され、使えば使うほど乗っているオーナーに合わせて"個人に最適化された愛車”に進化。次世代ADAS(先進運転支援システム)などとともに、未来のモビリティとしてさまざまな機能や価値を提供してくれるという。
すでにアメリカの公道でテスト走行をおこなうなど開発は順調に進んでいるそうなので、ホンダがコンセプトとする“夢”や”ワクワク”が形となり、我々の愛車で体験できる日も遠くなさそう!?

そのほか、2035年の街を擬似体験できる「Tokyo Future Tour 2035」には、ポケモンとのコラボで話題になった「ホンダコライドン」をはじめ、未来のモビリティも出展。合同展示となる「Mobility Culture Area」では往年の名車やレーシングカーの展示なども行われる。EV・ハイブリッド問わず、操る喜びを感じられる車両展示が盛りだくさんのホンダ。さらに陸・海・空への挑戦など、ぜひジャパンモビリティショーの会場で体感してほしい。

（文：三木宏章）