すでに完売なのが悩ましい…スバル『レヴォーグ STIスポーツ#』は走りの質感も操る愉しさも「一歩上」

  • スバル レヴォーグSTIスポーツ#
スバルのモータースポーツ活動を統括し、ニュルブルクリンク24時間レースやスーパーGT300クラスに参戦しているSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)は、過酷なモータースポーツフィールドで得られた技術やノウハウを駆使して、活躍の場を量産車の分野まで広げている。

独自のチューニングを施し、意のままの走りを実現したコンプリートカーはその代表だ。最近は量産車の走りの領域を少し広げたSTIスポーツも登場した。また、購入後に走りの愉しさの部分を、さらに伸ばしてスポーツテイストを高められるようにと、STIが開発したチューニングパーツも多い。

◆内外装、足回り、フレキシブルパーツで差別化
STIが開発したコンプリートカーの最新作が、スバルAWD車の誕生50周年を記念して500台が限定発売された『レヴォーグSTIスポーツ#』だ。ベース車はフラッグシップの「レヴォーグSTI スポーツR EX」で、フロントグリルやバンパー、ドアミラーなどをブラックアウトしている。

インテリアは、ブラックとシルバーで統一して、よりスポーティさを感じるように演出した。フロントシートはレカロのバケットタイプだが、専用カラーである。リアは専用のウルトラスエード&レザーのコンビシートとし、高級感を加えた。

タイヤは225/40R19サイズのミシュラン・パイロットスポーツ5だ。組み合わされるアルミホイールは、スーパーブラックハイラスター塗装を施したBBS鍛造タイプ(19インチ×8J)を組み合わせている。また、試乗車はブラックのSTIエアロパッケージやスカートリップ、ルーフエンドスポイラーを装備し、排気系はSTIスポーツR用のパフォーマンスマフラーとして差別化をさらに鮮明にした。

メカニズムで大きく変わったのはフレキシブルパーツの追加だ。新開発のフレキシブルドロータワーバーをフロントに、フレキシブルドロースティフナーを前後に装着し、走りの質感を高めている。フロントに装着されたフレキシブルドロータワーバーと既存のタワーバーの違いは、ジョイントのピロボールに加え、スプリングを追加していることだ。あらかじめ負荷をかけておくことで、常にスタンバイ状態にあり、操舵初期の応答遅れを大幅に減少させた。フレキシブルドロースティフナーも車体剛性の遊びを取り除くのに効果が大きい。

◆より正確な応答性、高速走行時も際立つ安定感
ちなみに比較のために、カタログモデルのSTIスポーツを駆り出し、違いをチェックしてみた。STIスポーツはよくできたスポーツモデルだと思っていたが、STIスポーツ#に乗った後にステアリングを握り比較してみると、剛性感や舵の利きに物足りなさを感じたのは驚きだ。それほど走行フィールは違う。STIスポーツ#はフロアの板厚が上がったような剛性感があり、舵を入れたときの動きもリニアだ。1ランク引き上げられたハイパフォーマンスタイヤも上手に履きこなしている。

ステアリングの応答性はより正確さを増し、連続するコーナーをリズミカルに駆け抜けていく。ロールの出方を上手に抑え込むとともに、ロールさせたときの揺れの収まりが速やかだ。舵を入れたときの応答性がよくなっているから、修正舵を必要とするような場面でも滑らかさを失わない。タイトコーナーでもアンダーステアを意識させることなく、気持ちよくノーズが狙った方向に向きを変えていく。ブレーキング時のノーズの沈み込みにも無駄な動きがなくなり、滑らかに減速してくれる。

高速道路ではSTIが開発したエアロパーツの効果か、どっしりとした安定感が際立っていた。乗り心地はちょっと引き締まったように感じられるが、スポーティ派にとっては心地よい硬さだ。突起や段差を乗り越えたときも路面からのショックを上手に受け流してくれた。

高度にチューニングされ、操縦性と乗り心地の妥協点が高いSTIスポーツは、満足度の高いスポーツグレードだ。だが、さらに正確なハンドリングを期待する人やハイパフォーマンスタイヤで走りの愉しさを極めたいという人にはSTIスポーツ#をおすすめしたい。走りの質感と操る愉しさは一歩上を行き、車格が上がったようにも感じられるだろう。悩ましいのは、この魅力的な特別記念車はすでに完売し、手に入らないことだ。

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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