7万人の観衆を集めた富士GT450㎞ ~SUPER GT第2戦~

  • 2022 スーパーGT 第2戦 富士 GT450㎞

    熾烈なトップ争いで盛り上がっていた決勝58周目のシーン

みなさん、こんにちは!
少し日にちが経過しましたが、いろいろ考え書いては消しで今に至ります。ごめんなさい。ゴールデンウィーク恒例のスーパーGTが、今年は行動制限なしの中で開催されました。7万人以上もの観衆が戻って来てくれて、素直にうれしい限り。

しかし、何とも切ない結末となりました。

あのシーンに想うこと

  • 2022 スーパーGT 第2戦 富士 GT450㎞ 決勝スタートシーン

    決勝スタートシーン ポールポジションは19号車WedsSport ADVAN GR Supra

素晴らしいバトルだった…。長丁場のレースは、楽しみしかなかったです。もうバチバチのトップ争い。観たいものがそこにありました。そして、39号車関口雄飛選手は、巧みにブロックをしつつ、先頭争いが接近戦という盛り上がり。気力が伝わって来る力の入るレースにワクワクしていました。

今年デビューの新型Zもストレートが速く、富士はGRスープラ勢のホームコース…という牙城を崩す勢い。争いの行方が読めなくなって来た矢先の出来事でした…。

最終コーナーを立ち上がって来たクルマたち。2番手の3号車のZがかなり勢いあって、トップに勝って(まさって)いるようにも見え、3番手37号車も2メートルだけ離れていたもののスリップに興奮しました。
そんな中、大クラッシュが発生。状況だけ述べれば、トラブルを抱え車速の遅いクルマがいて(白旗は出ていたそう)、それをトップのクルマはイン側のラインを連なって走っていたので、アウト側の左にステアリングを切って回避しました。スリップに入っていた真後ろの3号車は当然回避できず…。前のクルマに反応して左にステアリングを切ったものの(これさすが、プロですよ)、車速の遅かったクルマに接触してクラッシュ。

37号車は気持ち離れていたので、どうにか回避できた(これもプロさすが)ということですがクラッシュしてもおかしくないスリリングなタイミングだったそうです。
未だショックが残っていてやりきれない想い。その瞬間に涙も出て恐怖でした。

この業界に何年いても、モータースポーツが危険と隣り合わせなのは承知しておりますが、クラッシュ時には、マシンの安全性がわかっていたとしても誰もが心配になるものです。今回は、ホームストレートで起きた大クラッシュ。トップスピードが300km/hにもなるSUPER GTですからね。

トップを走行中の39号車は、299 km/h。スリップに入っていた3号車は297 km/h。ドライブしていた高星明誠選手の無事だけを祈りました。ほどなく安全が確認され安堵しましたが、ショックは簡単に消えませんでした。病院で精密検査を受け、夜には無事だというツイートもご自身で投稿されていました。大変な目に遭われたのに、周囲への気遣い。この報告には感謝しかなかったです。

自宅に戻り、録画をじっくり見ました。派手にパーツが飛び散っていて、やはりお客様にけが人が出たそうで、大きな事故だったことを改めて実感しました。お見舞い申し上げます。

あれだけやりきれない現場も久しぶりでした。現場全員がそう思っていたに違いありません。レースは、最大時間延長が迫り、ガードレールの修復を待って、残り10分でセーフティーカースタート。セーフティーカーラン3周で時間切れとなり終了しました。

あのリスタートは、とても重苦しいムードでしたね。お客様は、満足にレースが見られない結果となりましたが、終了後あたたかい拍手を沢山送ってくださいました。感謝。

その後の優勝記者会見でも、質疑応答でこの件の質問が出ていて、当たり前ですが事後も反響は大きかったです。あれだけの大きなクラッシュですので、さまざまな意見はあって当然だと思います。自分でもあれこれ考えましたから…。ただ、人命を尊重して無事であっても高星選手やマシンが大破してしまったチームへ、気遣いがあって欲しいと思います。あとは、オーガーナイザーの判断。タラレバを考えてみたところで、なんとも難しい結末。さまざまな面で乗り越えていかないといけませんね。改良できることがあれば…ということで事後の対応に期待しております。

ファンサービス

  • 2022 スーパーGT 第2戦 富士 GT450㎞ 大勢の観客

絶好の天候に恵まれ、いつものゴールデンウィークの富士。観戦日和でした。これには恵まれたと思っています。

取材している中でハッとしたのが、もっとファンサービスをしたいとおっしゃったドライバーさんがたくさんいらしたこと。わたしは「慣れ」…の中で仕事をしていたことを反省しました。タイムスケジュールの順番と化していたんです。これはダメですね…。

プロスポーツは夢を売るのも仕事です。将来を担う子どもたちにも、そしてSUPER GTが大好きなファンの方、またサーキットに足を運んでくださる方へ、楽しんでいただきたいという気持ちはみなさんお持ちです。ただピットウォークも最初から最後まで対応されるチーム、チームで決めた時間のみの対応としているところもあります。これはダメとは言いません。それぞれ違うのは、それぞれのチームの方針なので…。

  • 2022 スーパーGT 第2戦 富士 GT450㎞ 土屋圭市氏
  • 2022 スーパーGT 第2戦 富士 GT450㎞ 土屋圭市氏

ピットウォークにて土屋圭市氏

そんな中、ドリキンこと土屋圭市さんとお話をしました。ドリキンさんは、常にファンサービスをしていらっしゃいます。元F1ドライバーの鈴木阿久里総監督が率いるGT500と300の両カテゴリーに参戦するARTA(オートバックスレーシングチームアグリ)のエグゼクティブアドバイザーでいらっしゃいますが、大人気のレジェンドドライバーですね。愚息は、「神」と呼んでいます。

そのドリキンさんが、ファンサービスを続けるのは、3月に亡くなられた「レジェンド高橋国光さんの教え」と教えてくれました。お客様あっての…と。そういうことを忘れてしまうとレースはすたれちゃうよ…と。ありがたかったですね。気軽になんでもお話してくださり、尊敬しておりますハイ。

  • 2022 スーパーGT 第2戦 富士 GT450㎞ 高橋国光さんを偲ぶ展示

そして、その高橋国光さんを偲ぶ展示が、ピットとイベント広場(こちらは行けないので写真ナシ)に設けられました。搬入の様子から眺めておりましたが、モータースポーツ界の宝と称した方がいらっしゃったことを思い出しました。そして、このような方をまだご存じない若い方や、これからモータースポーツのファンになられる方に、業界のレジェンドの晴れ舞台がまた用意されないかなと思っちゃいました。わたしも現役時代の知らない方が、ご健在のうちに何かね…。そのお姿を拝める機会はなかなかないので。ふとそんなことも考えた富士でした。また夏に熱い戦いをお願いします!

では、また!

(写真 折原弘之 大谷幸子 テキスト 大谷幸子)

[GAZOO編集部]