サクセスウェイト復活と9年ぶりの大逆転勝利!〜SUPER GT 2025 第5戦 鈴鹿、第6戦SUGOラウンド〜

8月は、SUPER GTが2戦あり、タイトなスケジュールと暑さに泣かされました。体力的にもキツイなあと久しぶりに思った夏でした。そしてもう第6戦のSUGO大会が終わりました。一年は早いものですね。第5戦鈴鹿大会でサクセスウェイトが復活。SUPER GTらしい戦いがまた見られ盛り上がりました。第5戦鈴鹿、第6戦SUGO大会をまとめて振り返ります。

第5戦 鈴鹿GT500

  • 23号車 MOTUL AUTECH Z 千代勝正選手、高星明誠選手

待ちに待った日産ファンの歓喜の声に沸く鈴鹿でした。2シーズンを経て千代勝正選手、高星明誠選手がエースナンバーでコンビ復活、23号車 MOTUL AUTECH Zが勝利しました。見事な勝利はさまざまな要因がもちろんありますが、ニスモ陣営の神技のピット作業で逆転という素敵なストーリーによる勝利でもありました。これは盛り上がりましたね。

  • 16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16

  • (左から) 佐藤蓮選手、鈴木亜久里監督、土屋圭市エグゼクティブ・アドバイザー、大津弘樹選手/ARTA

予選では、16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16、Honda陣営がポールポジションを獲得したので、そのままポールトゥウィンでしょうと思っていたら、それができなかったですね…。番狂わせに感じたのは、ノーミスというところと、このクルマで一昨年はポールトゥウィンでしたから、期待しちゃうわけです。Honda陣営の苦戦は、こういうところなのかなあ?と思って見ていました。残念ながら表彰台を逃してしまい4位フィニッシュの16号車。ARTAの2台の活躍も楽しみにしてるので、ガンバですよ!

  • 14号車ENEOS X PRIME GR Supra

表彰台の2位を獲得した14号車ENEOS X PRIME GR Supra!こちら大健闘でしたね。サクセスウェイト67kg。ここは耐え凌ぐラウンドなはずですが(耐えなくても良いのだけど)、表彰台も厳しいはずが値千金の2位でした。ランキングトップの1号車 au TOM'S GR Supra が9位でポイント獲得となったのですが、これも上出来なのですが、14号車の凄さが際立ちました。残りのシーズンは身内同士がますます火花を散らすでしょうね。

GT300

  • 61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT

ポールポジションは、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTでした!そして残念ながら決勝は2位でした。

  • 7号車CARGUY Ferrari 296 GT3

  • (左から)ザック・オサリバン選手、小林利徠斗選手、芳賀美里監督/CARGUY MKS RACING

そして、シンデレラボーイが誕生しました。第3戦セパンラウンドでも“シンデレラボーイ”と3位に入った4号車グッドスマイル 初音ミク AMGの代走を務めた奥本隼士選手がそう呼ばれていましたが、今回は2年目の参戦となる優勝ドライバー小林利徠斗選手(7号車CARGUY Ferrari 296 GT3)です!TGR-DC(TOYOTA GAZOO Racingドライバー・チャレンジ・プログラム)ドライバーでもあります。夏に二十歳になったばかりの小林選手。実直で話す言葉のセレクトが、本当に謙虚。

レース終了後の驚きは、無線がずっと繋がらない中での優勝だったことでした。ご自身のポジションがわからないまま前に来るクルマは抜く!って感じで走っていたそうです。相棒は、ザック・オサリバン選手。お互い二十歳。2人合わせても40歳ですよ。イマドキなコンビですが、速い速い。スーパーフォーミュラでもザック選手は、コンドーレーシングに所属するレギュラードライバー。ウィリアムズの育成ドライバーだった経歴を持ちます。

まだ二十歳ですが、F1を目指す育成ドライバーは、若い頃にすでに試練を味わっていることがわかります。若いドライバーたちとしか走ったことがないと言っていましたから、スーパーフォーミュラのチームメイト山下健太選手はとってもお兄さんに感じるみたいですね。

日本はどう?と、ざっくり伺ったらボキャブラリーバリア…と言ってましたので、日本人がもっと英語を話すことは必要と感じますし、彼はそのうち日本語をマスターしちゃうんだろうなあとも思います。きっと早いかもね。やっぱり英語は必修科目と感じました。この若いコンビが、次の菅生でも驚きでしたよ。まずは鈴鹿での優勝、おめでとうございました!モアスマイル!

第6戦SUGO GT 500

  • 決勝4位 チームARTA

またもや16号車がポールポジションを獲得しました!これはもうHondaさんの今期初勝利に期待となりますよね。誰もがそうだったと思いますが、決勝はまたもや4位でした。表彰台に昇りたかったはず。残り2戦でHondaはてっぺんに立てるんだろうかと心配にもなりますね。

そしてこの予選、チャンピオンカー1号車au TOM’S GR Supraが4位という驚愕のポジションを得ました。でも、驚くような驚かないような?クルマ、ドライバー、チーム、このパッケージは向かうところ敵なしだからこそ「3連覇」を目指していますよね。それを遺憾無く発揮した感があります。強すぎる…。

決勝は、マルチクラッシュの発生する荒れたレースとなりました。ドライバーたちは無事で安堵しました。1時間ほどの中断もあり、レースの75パーセントを消化しないとフルポイントのレースにはならず。また、日没との兼ね合いもあり最大延長16時30分というタイムレースに切り替わるなどの状況も迫る中、レース再開に向けガードレールの補修などが行われました。

  • 39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra

16時にレースが再開したのですが、ここからが激闘!素晴らしいレースを魅せてくれました。ファイナルラップ、チェッカー20秒前の勝利。それまで競り合っていた39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraと24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zの攻防はとても見応えがありました。24号車は、ヨコハマタイヤを履きサクセスウェイト1キロとめちゃくちゃ軽い。39号車は、順風なTGR勢の中で未勝利であり、かつ前戦では予選で最下位に沈み、どん底から這い上がり決勝でごぼう抜きの6位。クルマのポテンシャルがあがったことを見せつけていました。これが今回も活きて戦闘力があるクルマで良いコンディションなのも理解でき、予選2位に結びつきました。期待が膨らみましたよね。

第6戦スポーツランドSUGOは、シーズンでサクセスウェイトが最大の大会。ここでサクセスウェイトが軽いチームがチャンスを掴むことになります。決勝の最後の結末は、ぜひ動画でご覧になっていただきたく。24号車が勝利したのですが、あのせめぎ合いは記憶に残るレースですね。勝ったコンドーレーシングのピットに走ったら、近藤監督の絶叫が胸を打ちました。軽いからとかそんな簡単には言いたくない、9年ぶりの勝利。その間にコンドーレーシングはGT300のタイトルは掴みましたが、500はとても苦労していましたね。スタッフさんみんな泣いてたし、ヨコハマタイヤさんも、ありとあらゆるこちらのチームに関わるみなさんが涙…。男泣きをあちこちで目にし、かっこ良いというかもうほんと心からおめでとうの気持ちがこちらも溢れました。おめでとうございました!

  • 100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT

決勝で注目だったことは他にもありまして、予選最下位の100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GTが6位フィニッシュ!マシントラブルに泣かされた予選でしたが、決勝のこのポジションを見ると、ちゃんとクルマは直ったようですね。よかったです。にしても、すごい追い上げです、拍手!

  • CARGUY MKS RACING

GT300は、予選では、7号車 CARGUY Ferrari 296 GT3がポールポジション!あの2人です。速かったけど、飄々としてました。そこが小林選手です。相変わらず無駄に笑顔は見せない(笑)。素直な気持ちをコメントするところもいつも通り。むしろ鈴鹿よりもコメント量が増えてましたね。あれ?よくしゃべる!と。

チームのSNSを見ていたら、決勝ではドライバー交代するまで寝ていたようで、ある意味大物であると…、確かに間違いないですね。ほんと同い年のザックがお兄さんに見えますが、とても頼もしい彼らです。8位フィニッシュでした。

  • 60号車Syntium LMcorsa LC500 GT 河野駿佑選手、吉本大樹選手

そして決勝は、路面のコンディションが前日とかなり変わったようで、予選上位のクルマが最初のスティントは苦労して後退したり、もちろんサクセスウェイトのこともあるので、ポジションはめまぐるしく変化していきました。最終的に、前回2位だったけれど最低重量違反失格となってしまった60号車!こちらが優勝しました!前回は、800グラム足りなかったんですよね。ルールはルールだから仕方ないんだけど、無事にリベンジ成功しました。

  • GT300 優勝 60号車Syntium LMcorsa LC500 GT 吉本大樹選手、河野駿佑選手

  • 60号車Syntium LMcorsa LC500 GT

表彰式や記者会見は、暫定で行われるため「まだ車検終わっていない」と気にされていましたが、その気持ちももちろんわかりますよね。LC500が菅生の日差しを受けて、走る姿はとてもかっこよかったです。このクルマは、菅生に合っていると吉本くん。以前走っていたGT500のクラス1車両のLC500とまた違って、より市販車に近いルックス。迫力もあるんだよね。ほんとLCかっこいい。無事に戴冠となりました。河野駿佑選手の号泣にもらい泣きしそうになりました。あちこち男泣きのサーキット。おめでとうございました。

今年、大ベテラン4号車谷口信輝、片岡龍也選手組が頑張っていますね。こちらドライバーランキング3位です。若手も大ベテランも活躍できるのがSUPER GT。残り2戦も楽しみです!

  • 14号車 ENEOS X PRIME GR Supra

タイトル争いも佳境に入ってきました。GT500のチャンピオン1号車と2位の14号車 ENEOS X PRIME GR Supraは、8ポイント差。これ思いの外、追いつきましたね。どちらも調子良いです。14号車は、前戦の2位が大きいね。楽しみ!

  • GT300 表彰台

GT300は、今回2位、ランキング2位の56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R平手晃平選手が、トップ65号車 LEON PYRAMID AMGに4.5ポイント差。3位の4号車グッドスマイル 初音ミク AMGも8.5ポイント差。最後まで目が離せません!そして、石浦宏明選手と伊沢拓也選手のGT500からの卒業。こちらもしっかり見届けましょう!

GAZOO.comでの国内モータースポーツの執筆は最後となります。
今までありがとうございました!
残り1本は、WEC富士。最後の取材も頑張りますのでよろしくお願いします!

(写真:折原弘之、GTアソシエイション/テキスト:大谷幸子)