その時は来た!~スーパーフォーミュラ 第7戦・第8戦inもてぎ~

  • 左から中嶋悟監督と優勝の山本尚貴選手/TCS NAKAJIMA RACING(2022スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ)

    左から中嶋悟監督と優勝の山本尚貴選手/TCS NAKAJIMA RACING(2022スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ)

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  • 左から2位の平川亮選手、星野一樹監督代行、優勝の関口雄飛選手/carenex TEAM IMPUL(2022スーパーフォーミュラ第8戦もてぎ)

    左から2位の平川亮選手、星野一樹監督代行、優勝の関口雄飛選手/carenex TEAM IMPUL(2022スーパーフォーミュラ第8戦もてぎ)

SNSのフォロワーさんから、“熱いピットに居たんですね”という主旨のコメントをいただきました。きっとチームインパルのピットが、夏の暑さとレースの熱気とで熱い!と表現してくださったんだと思います。
おもしろくて笑うどころか、本当にそうだったと我に返った私です。

みなさん、こんにちは!あの名勝負、レースご覧になりましたか?レースのダイジェストでももちろん良いんですけどね。熱すぎましたよね~。
関口雄飛選手と平川亮選手の最後のバトル。週末また鈴鹿の現場があるので向かうのですが、その前に振り返ります。

まずは第7戦の振り返りから

今回は、1ラウンドで2レース開催されました。

  • 山本尚貴選手/TCS NAKAJIMA RACING

    山本尚貴選手/TCS NAKAJIMA RACING

  • 山本尚貴選手 64号車

    山本尚貴選手 64号車

まずは8月20日に行われた第7戦。こちらは、Hondaの山本尚貴選手がポールトゥウィンでした。彼は強く、そして私もリスペクトしているドライバーのひとりです。その彼に久しぶりの笑顔が戻りました。おめでとうございます。

タイトルを獲ったチームから移籍し、新たなシーズンを迎えたのが昨年。
この移籍は私には正直、謎でした。なんで?チャンピオン獲得したのに?

インタビューで「中嶋悟監督にタイトルをプレゼントしたい」と話していたのを見ました。なるほど!と納得でした。Hondaの2チームでタイトルを獲られていたので、環境を変えたいとか、他にも何か理由があったかもしれません。

移籍後、それまでの華々しい戦績からは遠のき、苦しいシーズンを過ごしていました(ごめんなさい中嶋レーシングさん)。
今回、山本選手は、出身校の学生さんたちを招待していると場内アナウンス。そんなレースで、ポールトゥウィンとはかっこ良すぎるぞ先輩!

予選で上位にきたとき、お!復活!来たきた!と思った訳です。2度のタイトル獲得、そしてタイトル争いに絡むシーズンもあり、強さを持ったままだと信じていたので、絶対立て直してくるだろうと。チャンピオンは簡単には死なない(本当に死ではない)。

ご自身が一番ほっとしているかもですね。もちろん、シーズン中の1レースですので、まだまだ山本選手は君臨して来るはずですから、これで終わりではない。何か苦悩の道から脱出する突破口になったかもしれませんね。まあ苦悩と言ってもたった1年半ですけどね。

中嶋レーシングさん、どんな戦略を取ってもハマり、とても強く本当にうらやましいと思った時期がありました。私が強く記憶しているのはロイック・デュバル選手がいた頃。そしてかつて中嶋レーシングから移籍し、タイトルを獲ったトムス、アンドレ・ロッテラー選手。

昔、中嶋さんと一緒に金網越しにこのピット見て、勝ちたいなあと二人で見たことがありました。檻の中の動物が外を見るような体勢でね(笑)。それがもてぎだったなあと先日思い出しました。
トムスは、初めての参戦年度は2006年でしたね。当時タイトルを立て続けに獲っていたチームインパル星野一義監督が、新人チームでこれだけ要注意なチームはないとおっしゃっていました。

  • その当時の写真がありました!優勝のロイック・デュバル選手 写真:トヨタ自動車

    その当時の写真がありました!優勝のロイック・デュバル選手 写真:トヨタ自動車

その時のもてぎ、たしか雨がらみで最後尾から優勝したんですよね。
すみません、またおばさんの回顧録が始まりました。いまや参議院議員である山本左近さんもコンド―レーシングで現役として走ってましたわ。懐かしいです。

  • やっぱり雨の記憶は正しかった笑 写真:トヨタ自動車

    やっぱり雨の記憶は正しかった笑 写真:トヨタ自動車

さらに余談…。併催の当時の全日本F3選手権(現、スーパーフォーミュラ・ライツ)で、ドイツ人ドライバーのエイドリアン・スーティル選手も優勝して、“トムスデー”だねなんて言ったのを覚えています。ドイツ国旗を用意していたんだけど、表彰台で振ってくれてね。あれどこ行ったかな、ずっと気になってたんだけど…。

まあそんなこともあり「その時」はいつか来ると…。
待てば海路の日和あり…なんて簡単な話ではありません。プロスポーツですからね。皆さん努力し続けているわけですからね。

同様のことを、第7戦優勝の山本尚貴選手が記者会見でおっしゃっていました。(スーパーフォーミュラ公式YouTubeをご覧ください)。

わたしももう年なので、近い将来いつかそっと引退しますが、それまでにいろんなチームに「その時」が来て、歓喜する姿をこの目で観たいと思っています。苦悩しているチームが初ポイントを獲るとか、初優勝もいいですね。私の冥途の土産にしたいぞ。

同チームで争った熱い第8戦の振り返り!

8月21日には第8戦が行われました。

  • ガッツポーズの関口雄飛選手(左)と拍手でたたえる平川亮選手(右)

    ガッツポーズの関口雄飛選手(左)と拍手でたたえる平川亮選手(右)

第8戦の名勝負は、もう取材人生に思い残すことなし!と一瞬思うほどでした。

なかなか見られないじゃないあんなレース。同じチームの2台が、それぞれ別の戦略を取って、ノーミスで戦って来たら、ファイナルラップでバトルになるという展開。
こんなのない。ほんとない。ないよ!とずっと言ってました。語彙が出て来ない…。

  • 第8戦優勝の関口雄飛選手(左)と星野一義監督(右)

    第8戦優勝の関口雄飛選手(左)と星野一義監督(右)

  • 関口雄飛選手の19号車

    関口雄飛選手の19号車

その2台を戦わせた星野一義監督。多分チカラが入ってお疲れになったのでしょうか。表彰式と会見を監督代行に任せていました。暑かったですし、かなりの集中力でご覧になっていたんだと思います。

決勝がはじまってすぐ、イケ!といつも通り大きな声でモニターに声援を送りましたが、そのあと、ずっとサイガードに向かっていって立ったまま見守っていました。

「俺75歳だよ」、「周りの75歳より若いだろ?」っていつもの雑談も相変わらずお元気で変わりなかったですけどね。チームオーダーなしのガチバトルは、感動を与えてくれました。関口雄飛選手はすっかり安堵してましたね。その辺は、TGRコラムで。

平川亮選手は、ランキングが2位から3位になってしまったものの、そもそもディフェンディングチャンピオンが脅威で、かなりポイントは水をあけられています。戦いぶりはもちろん負けてないんだけどね。第7戦では、トラブルに見舞われ、まさかのリタイアでしたが、これはもう仕方ないです。

サッシャ・フェネストラズ選手がランキング2位となりました。彼も来季、世界の大舞台へデビューする素晴らしいドライバーですね。もうね、今シーズンは安定感がスゴイ。TGRコラムに書いたのでもろもろ省きますが。

  • 第7戦で3位、第8戦で4位となった野尻智紀選手/ TEAM MUGEN

    第7戦で3位、第8戦で4位となった野尻智紀選手/ TEAM MUGEN

  • 野尻智紀選手の1号車

    野尻智紀選手の1号車

そして、終わってみればHonda野尻智紀選手は、今回もやっぱり盤石にシーズンを戦ってポイントを積み上げています。彼が次の2戦でリタイアなどの大きなアクシデントがない限り、タイトルを他のドライバーが獲得するのはかなり至難の業です。

それはわずかな可能性にかける、と書くのが正解だと思うのですが、私は野尻選手やチームが何かミスをするということが今や全く想像できません。
そんなこと分からないじゃないかと言われるかもしれませんが…。ごめんなさい、最初から謝っておきます。

もちろんGR勢もチームタイトル「も」かかっていますので、最終戦の鈴鹿、1ラウンド2レースをしっかり見届けますよ。平川選手は、鈴鹿で2回勝って終わりたいと会見でおっしゃっていました。それは大いにあり!
10月に開催される最後の鈴鹿まで少し時間がありますが、全力で取材をしたいと思います。みなさまお疲れさまでした!

(写真 折原弘之、テキスト 大谷幸子)

[GAZOO編集部]