2023新シーズンの幕開け ~スーパーフォーミュラ ぶっつけ本番で初優勝~

ようやく私たちの春が開幕しました。おめでたい!と思いながら開幕戦が開催される富士スピードウェイに向かいました。

あの日は、春の嵐に見舞われていて大荒れでしたね。本戦は晴れたから良かったけどね。そうそう、ギリギリ「SFgo」というアプリを有料登録したのですが、これは良かった。ダウンロードおすすめです。書きたいことが山盛り…。今回は2つに絞って書きますね~。

TEAM MUGENが次元の違う強さを見せつける

  • 第1戦、1位に輝いたリアム・ローソン選手(TEAM MUGEN)

開幕ラウンドは、第1戦、第2戦と2レース行われた訳ですが、チーム無限が2レース共に勝利。

大型新人、F1のリザーブドライバーも務めるリアム・ローソン選手(ニュージーランド出身)は、富士スピードウェイを全く走ったこともない、今季は富士での事前テストもない、レースウィークのフリー走行も荒天でキャンセル、という“ないないづくし”から、開幕戦でいきなりの優勝。

こういうセンセーショナルなの欲しかった~!をやってくれました。次元の高さを見せつけて勝ったというのが、かっこ良すぎです。しびれましたね。

  • 第1戦表彰式より 1 位:リアム・ローソン選手、2位:野尻智紀選手、3位:平川亮選手

  • 第2戦表彰式より 1位:野尻智紀選手、2位:坪井翔選手、3位:山下健太選手

あのタイミングであの速さは、チャンピオン野尻選手も追いつかない、と仰っていましたが感化されたはず。翌日は、チャンピオンの勝ちでしたが、野尻智紀選手にふさわしすぎるドライバーをチームは迎えましたね(過去のチームメイトがダメという意味ではなくね…)。

走ってなんぼ、魅せてなんぼのプロフェッショナルなスポーツ。さまざまな感動のシーンは、やっぱり速くてかっこいいしかない!と思うのですが、今、その中でめちゃくちゃ波に乗っているのが、チーム無限。どうしましょう、このチームを超えないとタイトルはない…、まさに実感したシーズンの幕開けでした。

  • 15号車 リアム・ローソン選手

以前、ある重鎮から、「勝つとクルマがそれまで以上にかっこ良くなるんだよ」と言われたことがあります。元々かっこいいマシンに愛着も沸くものですが、レッドブルの2台が神々しすぎてね。ブランディングと強さ。F1のレッドブルと全く同じじゃないですかー。

それとフォーミュラのファンもさらに楽しいんじゃないかな。サーキットにレッドブルグッズを身に付けた方もますます増えてますね。F1チームのブルゾンかもしれないけれど、あとキャップかぶってレースを観に行く。テンション上がりますよね。

そして、あの強さでしょう。あとね、日曜日の朝、2階から見ていたら、気さくにファンサービスするローソン選手を目撃。ピットウォークでも、頑張っての声にしっかり応えていたんですよね。英語だったと思うけど。こんなのファンの心わしづかみです。私も話しかけたことあるけど、ちゃんと応えてくれます。いい人だ、ヤバいね。ファンがますます増える(笑)。

そしてチャンピオン!野尻智紀選手

  • 野尻選手と大湯選手とのバトルは迫力満点でしたね

冷静かつ、何かますます洗練されて来ました。発言は以前からとても冷静だしクレバーだし。第2戦の記者会見でのエピソード。もう既出だと思いますが残しておきます。

  • 3号車 山下健太選手(KONDO RACING)

第2戦トップ3記者会見で、3位に入ったKONDO RACINGの山下健太選手がコメントをしていました。山下選手と言えば、“何に乗っても速いドライバー”と以前私は例えていました。ヨーロッパでWECも参戦しましたし、SUPER GTでタイトルも獲っています。健太が乗れば間違いなし!的なドライバーでした。スーパーフォーミュラのデビューイヤーもポールポジションを獲得するなど、華々しいデビューでした。チームメイトは、同じく新人のニック・キャシディ選手でしたね。のちにチャンピオンになりました。

しかし、ほんの少しの間なのですが、山下選手、戦績が奮わず…。彼も悩んだようです。向いてないんじゃないかと思ったことまで会見でおっしゃり、涙が込み上げるシーンも。今回チェッカーを受けている際に、テレビで泣いているシーンが流れたのかしら?私は現場で走り回っていたのでわからなかったんですけどね、会見場に行くまで。

今年1月に行われたSUPER GTのテスト中の怪我。その後、オフのテストにも参加できなかったし、自分を追い込んだかもしれません。オフテストは笹原右京選手が代走をしてくれ、開幕に間に合わせた格好となりました。

ですので、まったくSF23に乗っていないんですよ。しかし、3位表彰台です! うれしさと苦労を重ね合わせ、いろいろ思い出したようですね。強いコだと思っていましたが(失礼)、やっぱりそこはフツーの男の子です。プロのドライバーがかわいく思えました(またもや失礼)。

その心のうちを吐露した会見中、チャンピオン野尻選手がマイクに顔を近づけ話し始めました。「ランキング18位の時もおれもやめてやろうと思った」と。そして、「頑張ろう!」と同士に声をかけました。

野尻選手に尊敬しかなかったです。プロの世界が厳しいのはわかっていても、常に戦績はついてまわります。そのランキング18位の時にシートを失っていたら、2度のタイトル獲得はなかったわけで、頑張ってこられたからこその「今」なんだなと感慨深かったですね。いろいろさすが。

会見が終わってからも、たくさんの記者に囲まれる山下健太選手。今のカラダのことなどいろいろお話をされていました。きっと沢山の記事になっていると思うので、私は言葉だけ少し聞いて、様子だけ眺めるだけにしました。すみません…。なんかこう私は会見だけで、山下健太選手の気持ちを汲み取ったつもりで充分だなと思ったので…。

レースにこもったハートを早速感じて、なんか良かったなあってね。語彙がないのか私は…という表現ですが、こちらも勇気をいただきました。ありがとうございます。

GR勢も頑張った!

  • TEAM無限ワンツーに続き3位表彰台を獲得した平川亮選手

  • 20号車 平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

初日は、平川亮選手が表彰台を死守。ほっ…。圧倒的なHondaパワーにこれは成す術がないのかと思ったら、やっぱり決勝はうまい。予選一発は、チームの課題。もっと前に行けていたらなあと昨年から特に思いますけど安堵。もうちょっと話したかったけど、WECの為にとんぼ帰りですね。

先輩でチーム代表の小林可夢偉選手もお疲れさまでした。そうそう、日曜のペナルティは、ありゃダメだ、当然ぺナルティだと思う。チームのバタバタっぷりがよくわかりました。ぺナルティをもらったので終わった話、ということで。まずは、WECガンバ!

  • 38号車 坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)

坪井翔選手、来た~!復活、いやもともと速いね。第2戦で2位。チームの2台ともに良い感触でしたね。阪口晴南選手は、ペナルティを受けてしまったけれど、2台で表彰台なんてことも今季期待です。ガンバ!

  • 37号車 宮田莉朋選手 (VANTELIN TEAM TOM’S)

宮田莉朋選手は、予選が2戦共に2位。相変わらず速い!チーム無限の次に速いなんてスゴイぞ。「また2位」と言われていましたが、これ結構スゴイことだと私は思っています。

レースは結果がなんぼだけれど、今の「チーム無限」に近づけること、ここがまず重要。しかも彼はまだ3年目。もちろん私も初優勝が見たいのですが、今、日本のフォーミュラを見ていると、若さでもないのかなとも思っているんです。大ベテランが連覇しているじゃないですか。直近だと野尻選手もそうですが、Honda山本尚貴選手もそう。

もちろん海外から来て、サクッと勝ってF1に行くルートもレッドブルのルートだとあると思うけど、それはそれ。だから宮田選手も焦らず見守りたいですね。

彼や坪井選手のターゲットは、トヨタのWECチームで世界に出ることだと思うし。もちろんさっさと国内を卒業するのが正しいのかもだけど、まずは、幸先良いと捉えましょう!

Out of KidZania in SUPER FORMULA

  • グリーンのタバードをつけている子どもたちが職業体験をしている方々です

今季、子どもたちの職業体験施設「キッザニア」とスーパーフォーミュラがコラボしOut of KidZania in SUPER FORMULA(以下、キッザニア)として誕生しました。この試みは、良い!いよいよモータースポーツ業界へも、という想いです。

レースウィークの一コンテンツ、と捉えて現場で様子を見ておりましたが、ふと思い出したんです。小さい頃、サーキットに行き何かしら体験したことから、レーサーになったというプロドライバーが沢山にいることを。

プロスポーツは、とても子どもたちを大切にします(もちろんそこだけではないけれど)。サッカーは、ピッチへ入場する際に子どもたちと手を繋ぎ入りますよね。ワールドカップだってそうです。ブラジルなどサッカーが世界レベルに盛んな国だと、本当に憧れの選手の近くにいられる喜び、その「価値」を子ども自身がよく理解しているのがよくわかります。

■富士スピードウェイで実施したコンテンツ 全 7 職種
※体験できる職種や内容は大会毎に異なります。

〇グリッドボードホルダー
スタート進行時、チームのメカやレースクイーンと一緒に入場し、グリッドードを持つ仕事。

〇エンジンスタートコーラ
決勝レース時に『Start your engine』の掛け声で 22 台一斉のエンジンスタートを指揮する仕事。

〇サーキット場内アナウンサー
サーキットの放送室にて、場内の催し事やイベントスケジュールなどを実況 発信する仕事。

〇モータースポーツジャーナリスト
予選と決勝レース後の記者会見で、ドライバーへ取材して記事作成、魅力を発信する仕事。

〇コースオフィシャル
レースセッションのインターバルに、コース上に落ちたタイヤカスやデブリ(破損部品)を清掃 回収したり、コースを点検したりする仕事。

〇レースディレクター
コントロールセンター内の管制室からコースオフィシャルとの無線通信や競技の判定などをおこなう仕事。

〇チームマネージャー
ピットウォーク中に、ドライバーのファンサービスやファンとの交流のためにサポートをする仕事。

今回は、7種の職種を子どもたちが体験していました。実にうらやましい。私も経験してみていものがありますしね。しかも、全戦この企画が実施されるとのこと。キッザニアそのものを発案した人を素晴らしいと思っていましたが、JRP(日本レースプロモーション)さんもやるなあ。

将来憧れの職業に、モータースポーツに関わる仕事が対象として出て来ること間違いなし!と思いたいですね。子どもたちの人生の経験値が、そぎ取られてしまったコロナ禍。大人がそこを補填してあげることが必要です。

これまでの失われた3年間は、人生の中で大きな損失になっているように思います。給食すら「黙食」なんて変な言葉が生まれ楽しさも禁止、子どもたちのことを心配していました。今後は沢山のことを経験させてあげたいですよね。個人で出来る話ではないので、こうした企画は全力で応援します。サーキットへ来られるみなさん、ぜひ対象の方は参加してみてくださいね。

さて、書きたいこと満載ですが、今回はここで〆ます。もう次の現場へ移動です。4月、5月がなかなかキツイ。頑張りますね。今シーズンもあらためてよろしくお願いします!

(写真:折原弘之、大谷幸子 ・テキスト:大谷幸子)